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日本の財政問題の本質とデタラメな認識

ポイント
・S&Pグローバル・レーティングが米国債の評価に言及しないで日本国債の格付け見通しを下方修正したたが、この大手格付け会社は米系財閥直系であるだけに裏側の権力者層の意向で動いているところがあり、政治的な要素が強いといえる。
・日本の財政破綻問題が巷間を賑わせて久しいが、圧倒的な貯蓄超過国にしていまだに経常黒字国なので本当はその問題自体が存在しない。日本が公的債務残高を積み上げることで米国は世界覇権を運営し、ドルも基軸通貨としての信用を失わずに済んだといえる。
・しかも、日本の公的債務残高が米欧より悪化しているというのもデタラメだ。米国では公的債務は連邦政府に限定されて地方自治体については議論されていない。欧州でも統合通貨ユーロの発足とともに粉飾会計をしていたことがギリシャ危機で暴露されたものだ。
・すなわち、米国では基軸通貨ドルの信用を、欧州は統合通貨ユーロの信用を守るために公的債務を小さく見せようとしているのに対し、日本では消費税はじめ増税を正当化するために大きく見せようとしているといえる。
・その背景には米国と官僚層の思惑がある。官僚層は将来的な自分たちの天下り先を確保するために資金をプール(埋蔵金)しており、米国は信用不安が強まるなどして日本に資金還流が進んでも、何らかの形で米金融市場に資金流入が続くことを維持する必要がある。



米系財閥直系の大手格付け会社が日本国債の評価を下方修正

(前回の続き) そこで注目されるのが、先週9日に大手格付け会社の米S&Pグローバル・レーティングが、上から5番目の「Aプラス」としている日本国債の格付け見通しを「ポジティブ」から「安定的」に下方修正したのに対し、将来的にドル不安に陥る恐れがある米国債については何ら動きを見せていないことだ。
 そもそも、この格付け会社による格付けは裏側の権力者層の意向に左右されており、政治的な意向によるところが大きいのは裏事情通の間では“常識”になっている。しかも、いわゆるウォーレン・バフェット氏が大株主であるムーディーズ・インベスターズ・サービスとともに米国では二大格付け会社として、さらにそれに欧州系のフィッチ・レーティングスを加えて三大格付け会社とされている中でも、日本では日本経済新聞に近く、米ロックフェラー財閥直系であるだけに、その格付けの発表には最も政治的な要素が強いことでも知られていることに留意する必要がある。


日本が公的債務を積み上げたことで米ドルは信用を維持していた

 以前、当欄で指摘したことだが、この問題を考えるうえでまず指摘すべきことは、経済評論家の藤巻健史前参院議員がかなり以前から馬鹿げた著作本を出しており、大投資家といえども経済学を理解していないジム・ロジャーズ氏も日本に対して馬鹿げた論調を展開しているが、そもそも日本では財政破綻などしていないばかりか、財政問題自体も大きな問題でもないことだ。
 日本では大きな公的債務残高を民間の貯蓄残高が圧倒的に上回っている世界でも群を抜く貯蓄超過国(債権大国)であり、しかもいまだに経常収支が黒字基調を続けており、国全体の貯蓄が増え続けている。そうした国のどこに財政事情に問題があるというのか? 日本では公的機関の累積債務がいくら積み上がっても国内での貯蓄で賄われており、さらに圧倒的に余剰分がある状態なのに、財政破綻の問題があるわけがない。その余剰分の多くは米金融市場で運用されており、それにより米国は世界覇権国としての運営が成立しており、また基軸通貨としてのドルの信用も維持されているわけだ。
 これはすなわち、これまで日本政府が財政赤字を大きく積み上げてきたことで、日米の貯蓄投資バランスもうまく均衡がとれていたといえる。日本政府が公的債務を積み上げてこなかったら、日本の貿易・経常黒字と米国の貿易・経常赤字は飛躍的な規模に膨れ上がっていたことになり、米ドルは基軸通貨としての信用を維持できなかったはずである。


日本の公的債務残高が米欧より大きいとされているのはデタラメ

 しかも、日本では確かに公的債務残高の規模が大きいが、米欧先進国と、それも特に米国と比べてその規模が大きいとされているのは“デタラメ”である。欧米では公的債務残高を債務から債権を差し引いた「純債務」で見るものだが、日本では意図的にそれを差し引かない「粗債務」の数値ばかりが出回っている。
 しかも、米国では公的債務残高といえば連邦政府の債務ばかりが取り上げられており、州(ステート)や郡(カウンティ)といった地方自治体の債務についてはほとんど取り上げられることはない。欧州でも財政赤字を対GDP比3%以内、公的債務残高を同60%以内とする財政収斂基準が遵守されていることになっているが、実際には統合通貨ユーロが発足する際に財政事情が脆弱な南欧諸国を中心に、米ゴールドマン・サックスの“入れ知恵”で“粉飾会計”をして調節していたことが、ギリシャ危機の際にはからずも明らかになったものだ。ドイツを中心に財政状態が健全だとされる北部加盟国の間でも、どこまで財政事情が正確に開示されているのか不透明なところがある。
 すなわち、米国では基軸通貨ドルの、欧州では統合通貨ユーロの信用を維持するために公的債務残高の規模を少なく見せようとしているのに対し、日本では消費税はじめ増税を正当化するためにそれを大きく見せようとしているわけだ。


日本の財政問題は米国と官僚の策動によるもの

 どうして日本では意図的に公的債務残高を大きく見せて財政問題を誇張して取り上げているのかというと、「宗主国」である米国と日本の官僚層の意向によるものだ。
 日本で最もこの問題を取り上げているのはいうまでもなく財務官僚だが、それは自分たちの将来の天下り先である特殊法人を設立するための資金をプールするためだ。その密かにプールされている資金を以前、経済学者で嘉悦大学の高橋洋一教授が「埋蔵金」と呼んでいたものだ。実際、高橋教授が財務省理財局に勤務していた際に上司から増税プランを策定するように指示されたのに対し、埋蔵金を取り崩して充てればその必要はないと反論したところ、特殊法人を設立するために密かに貯めているものなので取り崩してはならないものだと言われたことを指摘していたものだ。
 また米国としても、世界覇権国を運営するために、また基軸通貨ドルの信用を維持するためには日本から安定的に米金融市場に資金流入が続く状態を維持する必要がある。信用危機が起こるなどで日本に資金還流が進むような状況になった際に、何らかの形で流入を維持する安全弁を整備しておく必要があったわけだ。
 さらにいえば、大企業の経営者組合とでもいうべき財界が消費税引き上げに賛成しているのは、法人税引き下げを目論んでいるからである。
 いわば日本の財政問題というのは、覇権国である米国がその中核的な「属国」である日本を官僚機構を利用して統治するシステムとして形成されてきたものであり、それに多くの人たちが洗脳されて騙されているのである。銀行や証券会社といった金融機関に所属している“馬鹿エコノミスト”ですら、経済の専門家を気取っていながら実際には洗脳されて騙されているわけだ。


 明日もこの続きを掲載します。
 明日はS&Pが日本国債の格付け見通しの下方修正に動いた背景について考察することで、よりグローバルな視点から、国際情勢において日本が求められている役割について、また必要とされる構造転換について考察します。
 なお、今週は1日多く、20日の土曜日まで掲載します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。