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中国敵視路線と密接に関係する福音派の米国務長官の性格

ポイント
・今回のポンペオ国務長官による中国敵視演説は、以前のペンス副大統領の演説やトランプ大統領の会見に比べると、中国の共産党やイデオロギー面での共産主義体制を標的にしているあたり、かつてのソ連に対するものと同様により「冷戦」に近づいたといえる。
・米軍産複合体は米国の世界覇権を維持するために中国を撃滅しようとしているのに対し、ナチズム系は中国に覇権を明け渡す過渡期の形態として、“ヤラセ”の軍拡競争により大規模な軍需を創出して世界経済成長を牽引するために「新冷戦」体制を構築しようとしている。
・ポンペオ長官はキリスト教福音派で最大の勢力を誇るバプティスト派の信者であり、中国に対する批判はまさに福音派が無神論的な共産主義を“悪魔視”しているものと共通しているものだ。
・かつて、ポンペオ長官は日本人拉致問題が障害になって朝鮮半島の統一が達成されず、在韓米軍が撤退できないなかで、金正恩委員長を殺害しようとしたことがある。それでもボルトン前大統領補佐官とは異なり解任されなかったのは福音派の後ろ盾があるからだ。
・今回のポンペオ長官の演説はニクソン元大統領のゆかりの記念博物館で行われたが、キッシンジャー元国務長官の動きがナチズム系と軍産系との提携をもたらしたなかで、ニクソン政権下で対中国接近外交を主導した元長官に対する“当てつけ”にほかならない。



イデオロギー対立が前面に出てより「新冷戦」体制の構築に近づく

(前回の続き) いずれにせよ、今回の香港自治法により中国の銀行をドル決済網から放逐することができるようになったなかで、米国が中国に対する“生殺与奪”を握るこうした措置は米中両大国による「新冷戦」体制の構築と密接な関係にあるため、23日に行われたマイク・ポンペオ国務長官による中国敵視演説について見ていく。今回は紙幅の関係で、重要なことだけを述べていく。

 米ドナルド・トランプ政権の要人による中国を敵視した演説については、18年10月4日と19年10月24日に米ハドソン研究所でマイク・ペンス副大統領が行っており、つい最近では大統領自身も5月29日に反中国的な会見をしたものだ。そうしたトランプ大統領やペンス副大統領に比べると、今回は国務長官によるものなので地位が劣る人物による演説ではあるが、その内容はより「新冷戦」体制の構築を意識したものだったといえるだろう。
 例えば、5月末のトランプ大統領の会見では、南シナ海での活動や新型コロナウイルスの発生を隠蔽したことによる責任、世界保健機関(WHO)での中国支配、米国内に上場している中国企業の恒常的で大規模で悪辣な不正会計、香港に対する高度な自治を維持するという公約を破ったことを指摘するなど、主に個別のことを取り上げて批判していた。それに比べると、今回のポンペオ国務長官の演説は中国への体制批判や米国の歴代の政権のこれまでの対中国政策の否定に重心が置かれていたものだ。
 今回のポンペオ国務長官の演説では、リチャード・ニクソン政権が国交樹立に動いてからバラク・オバマ前政権までの対中国政策は、経済発展を支援すれば中産階級が育って民主主義体制に移行していくとの希望的観測によるものだったが、こうした「関与政策」は明確に失敗だったと断じた。そのうえで、全体主義的な共産主義体制を変革する必要性を唱えたうえで、主にインド太平洋地域を中心とする民主主義国家を結集して中国を封じ込めていくことを提唱した。
 いわば、独裁権力を握っている共産党体制そのものを標的にしたことでイデオロギー的な対立としての性格が強く、かつてのソ連を相手とした時と同様の状況がもたらされたという意味で、より「新冷戦」体制の構築に近づいたといえるだろう。


「冷戦」とは“ヤラセ”の軍拡競争

 これまで当欄で何度も述べているように、米ロックフェラー財閥本流系によるコスモポリタン的な軍産複合体系は、米国の覇権を維持するために中国を撃滅しようとしている。それに対し、財閥傍流系によるナチズム系の勢力は将来的に中国に覇権を移行させるとしても、覇権国には「世界の一大需要基地」としての役割を担うことで世界経済成長を推進していく責務が生じるが、同国では内陸部の農村戸籍保有者の所得環境が脆弱であり、まだその責務を担える状況にはないため、それまでは日本やドイツに構造改革を実現させて内需を浮揚させながら、同国を「悪の帝国」に設定して巨大な軍需を創出することで世界経済成長を維持しようというものだ。
 いわゆる「冷戦」という概念については、多くの人たちは軍産系の意向をそれに当てはめて考えているが、本当の意味は“ヤラセ”の軍拡競争のことなのである。今回のポンペオ国務長官による演説はその標的を共産党や共産主義、全体主義といったイデオロギー面に重きを置いたことで、ナチズム系の勢力が志向している「新冷戦」体制の構築を主眼としたものであるということができるだろう。


無神論的な共産主義体制への批判は福音派の理念そのもの

 ポンペオ国務長官は下院議員に当選する前後には「ティーパーティ(茶会)運動」に取り組んで妊娠中絶や銃規制に反対しているなど、熱心なキリスト教福音派で最大の勢力を誇るバプティスト派の信者である。それだけに、自身の“打算”でナチズム系の権力者層に取り入っているトランプ大統領に比べると、かつてのジョゼフ・マッカーシー、バリー・ゴールドウォーター両上院議員、ロナルド・レーガン大統領と同様に、無神論的な共産主義を“悪魔視”する傾向が強いという。
 そうしたポンペオ国務長官自身の信念と性格が、今回の共産党や共産主義のイデオロギーを標的にした中国への批判的な内容の演説になって表れているといえるだろう。


かつては拉致問題の解決のために金正恩を殺害しようとしたことがある

 ポンペオ国務長官はかつて、中央情報局(CIA)工作員を使って北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を殺害しようとしたことがある。それは、在韓米軍を撤退させて朝鮮半島を統一させてその北部地域で資源開発事業に着手していくにあたり、日本人拉致問題が障害になって事態が一向に進展していないが、それは金委員長自身の出自問題に由来していることによるものだ。
 そこでポンペオ国務長官は金正恩委員長を廃して、米国側が保護している委員長の異母兄でマレーシア・クアラルンプール国際空港で殺害された正男(ジョンナム)氏の子息の漢卒(ハンソル)氏を擁立しようとした経緯がある。後に北朝鮮側は米国との交渉の席に、ジョン・ボルトン大統領補佐官(当時)とともにポンペオ長官もはずすように要求したとされる。
 実際、後にトランプ大統領はボルトン前大統領補佐官を解任したものの、ポンペオ国務長官はその地位にとどまり続けている背景には、安倍晋三首相の背後の右翼的な宗教勢力とも密接につながっているキリスト教福音派の後ろ盾になっている米ロックフェラー財閥傍流系の意向があるとされている。おそらくそうした意味では、同じくバプティスト派のサラ・ペイリン前アラスカ州知事やインド系でメソジスト派のニッキー・ヘイリー前国連大使よりトランプ大統領の共和党での後継大統領に近いのだろう。


記念館・博物館で中国敵視演説が行われた意味合いについて

 最後に付け加えると、今回のポンペオ国務長官の演説は中国に対する外交政策の抜本的な転換を唱えるにあたり、1972年に訪中して対中外交を切り開いたニクソン元大統領のゆかりの地であるカリフォルニア州の元大統領の生家である「リチャード・ニクソン大統領図書館・博物館」で行われたことに意味がある。なぜなら、そこで中国敵視に向けて外交政策を抜本的に変えることを高らかに宣言することは、当時の対中国接近外交を実質的に主導したヘンリー・キッシンジャー元国務長官に対する“当てつけ”にほかならないからだ。
 今回の中国敵視路線はナチズム系の勢力が軍産複合体系と提携したことで人造兵器である新型コロナウイルスが投入され、中国との間でデカップリング(分断)化が進行したことがその基盤になっている。そうした提携をする発端になったのが、貿易戦争を仕掛けられて中国経済が失速したなかで、危機感を抱いたキッシンジャー元国務長官が中国の江沢民派につらなる米ゴールドマン・サックスの背後の欧州ロスチャイルド財閥の親米的な勢力と“手打ち”をしようとしたことによるものであるからだ。


 今週はこれで終わりです。今週もありがとうございました。
 来週も週明け3日の月曜日から掲載していくのでよろしくお願いします。
 米中対立が激化しているなかで、今回のポンペオ国務長官の演説の意義についてはもう少し詳細に検討してみる必要がありそうです。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
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