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先週の動き‥‥米追加財政政策への期待や良好な米経済指標から株高傾向に

ポイント
・株価は米国で追加財政政策を巡る交渉が米政府と野党・民主党の間で行われていたなか、その成立に向けた期待やISM指数の好調が材料視されて堅調に推移した。週末は交渉が決裂したが、米雇用統計が予想を上回る良好な内容になったことから切り返した。
・外為市場ではどちらかといえば米追加財政政策を巡る交渉で悲観的な見通しが注目されたことや、ADP雇用統計の不振から米長期金利の低下とともにドル安気味に推移した。ただ、週末は米雇用統計が予想を上回る良好な内容になったことからドル反発が進んだ。



 先週の国際金融市況は米国で追加財政政策の成立期待がくすぶり続けたことから、ナスダックが史上最高値を更新し続けるなど総じて株価が堅調に推移した。

 米国株は週初3日には2兆ドル規模の財政出動政策がいずれ成立するとの期待が根強いなかで、米供給管理協会(ISM)製造業景況指数が予想以上に改善したことも好感されてハイテク株主導で上伸し、ダウは前週末比236ドル高に、ナスダックはそれ以上に上昇して同157ポイント高になり、最高値を更新した。4日は追加財政政策を巡り、ドナルド・トランプ政権と下院で過半数を占めている野党・民主党との交渉が難航したことから当初は反落したが、その後同党のチャック・シューマー上院院内総務が「協議はやっと正しい方向に動き出した」と述べたことから上昇してダウは前日比164ドル高になり、ナスダックは同38ポイント高にとどまったものの最高値を更新し続けた。5日も追加財政政策の交渉を巡りトランプ政権が譲歩する姿勢を示したことや、米製薬企業ノバックスが新型コロナウイルスのワクチンの治験で良好な結果を公表したことから大型株主導で買い気が強まり、ダウは同373ドル高と上伸した一方で、ナスダックは利益確定売りに上値を抑えられて同57ポイント高にとどまったものの引き続き最高値を更新した。6日は週間失業保険申請件数が3週間ぶりに減少したことや、トランプ大統領が追加財政出動政策がまとまらずに成立させられなかった場合、家賃支払いの立ち退き猶予の延長を含む大統領令を出すことを検討していると報じられたこと、さらに国務省も3月19日から実施していた全面的な海外渡航禁止勧告を解除し、対象国別に判断することを発表したことから続伸してダウは同185ドル高になり、ナスダックはそれ以上に上昇して同109ポイント高になって最高値を更新し続けた。週末7日は追加財政政策を巡る交渉が行き詰まり、さらにトランプ大統領が中国の動画投稿アプリ「Tik Tok」や対話アプリ微信(ウィーチャット)を運営する企業との取引を禁じる大統領令に署名したこと、米政府が香港の自治を侵害したことを理由に林鄭月娥行政長官はじめ11人に制裁を科すと発表したことから当初は反落した。しかしその後、米雇用統計が事前予想を上回る内容だったことが評価されて切り返していき、米政府による中国の情報技術(IT)企業への制裁を強化する動きが嫌気されたことからナスダックは最高値を更新してから再び下落して同97ポイント安になったが、ダウは同46ドル高と高値引けした。

 日本株は週初3日には前週末の米国株が上昇したなか、日本の実質国内総生産(GDP)成長率の確報値が下方修正の予想に反して改定値と変わらなかったことや、中国の財新による製造業景況感指数(PMI)の改定値が上方修正されたことから上値を追う展開になり、日経平均は前週末比485円高と急伸した。その後、米国株も上伸した流れを受けて4日も買い気が強い状態は変わらず、前日比378円高と大幅続伸となった。5日は利益確定売りが出やすい状況になったなか、中国の財新によるサービス業PMIが予想に反して前月から低下したことから反落したが、下値では買い拾われて下げ幅は同58円安にとどまった。6日は米国と中国の対立が激化するなか、香港株が大幅安になったことから業績低迷銘柄を中心に売り込まれ、同96円安になった。週末7日は米政府が中国の通信企業に制裁を科したことから香港株が大幅続落になったなか、日本のハイテク企業にも悪影響が及ぶことが懸念されて同88円安と続落した。

 外国為替市場では前週に続いてドル安気味に推移したが、週末にはその巻き戻しが見られた。

 ドル・円相場は週初3日には1ドル=105円台後半で始まり、東京市場では日本のGDP統計や中国の財新PMIが、ニューヨーク市場ではISM製造業指数が予想ほど悪くなかったり良好な内容になったこと、米追加財政政策への期待からリスク選好が高まったなか、円安やドル高圧力が強まり、106円台半ば近くまで上昇した。4日は米国での追加財政政策を巡る不透明感から軟化した後、シューマー上院院内総務の発言から一時楽観的な見通しが強まって戻したものの、その後ナンシー・ペロシ下院議長やスティーブン・ムニューシン財務長官が交渉が難航していることをほのめかす発言をしたことから米長期金利の低下とともにドル安圧力が強まり、下落していった。さらに5日のニューヨーク市場では、オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)雇用統計の当月分が予想を大幅に下回ったことからドル安圧力が強い状態が続いて105円30銭付近に一段安になったが、その後その前月分が極端に大きく上方修正されたことが見直されたことや、ISM非製造業景況指数も予想以上に改善したことからドル高圧力が強まり、いったん切り返した。6日の東京市場では、米中対立の激化による香港株安から円高圧力が強まって再び105円30銭付近に下落した。しかしニューヨーク市場では、週間新規失業保険申請件数が3週間ぶりに減少したことや、トランプ大統領が失業給付金の延長等に向けて大統領令の発令を検討していると報じられたこと、国務省が海外への渡航禁止措置の緩和を発表したことからドル高圧力が強まり、切り返していった。週末7日も東京市場では香港株が大幅続落したことから円高圧力によりいったん105円50銭割れに軟化したが、ニューヨーク市場では米雇用統計が予想を上回る内容だったことから米長期金利の上昇とともにドル高圧力が強まり、106円台乗せまで上昇した。

 ユーロ・ドル相場は週初3日の東京市場では、前週末のユーロ圏域内総生産(GDP)成長率の結果を受けたユーロ安圧力が強い状態が続いて続落した後、ロンドン市場ではIHSマークイット社によるドイツ及びユーロ圏製造業PMIの上方修正からユーロ高圧力が強まり、上昇していった。その後、ニューヨーク市場ではISM製造業指数の好調によるドル高圧力からいったん下押した後、4日のロンドン市場ではユーロ圏生産者物価指数(PPI)が予想ほど落ち込まなかったことや、ニューヨーク市場でも米追加財政政策を巡る不透明感から米長期金利の低下によるドル安圧力からさらに上昇していった。5日のニューヨーク市場では、米ADP雇用統計の当月分が予想を大幅に下回ったことから当初はドル安圧力から一段高になった後、前月分がかなり上方修正されたことに関心が集まってひとまず下落した。しかし、6日の東京市場からロンドン市場にかけて、米中対立の激化によるドル安圧力から1.191ドル台まで上昇した後、失業保険申請件数が減少したことによるドル高圧力から反落していった。週末7日のニューヨーク市場では米追加財政政策を巡る悲観的な見通しや米政府による中国製アプリの禁止措置、香港問題での制裁措置によるドル安圧力から1.189ドル近い水準に戻した後、米雇用統計の発表を受けたドル高圧力から1.175ドル台に反落していった。


 今週は、明日は足元の市況の動きが今後の展望を簡単にしておきます。
 翌日以降は今週のテーマとして、米国との貿易戦争や新型コロナ禍を受けて中国では輸出が伸びなくなったなかで、習近平執行部は内需主導型経済構造への転換路線を打ち出しましたことを取り上げます。
 この路線がうまくいくのか、それにより中国が覇権国に近づいていくのか、その障害になるものその他について考察していきます。
 また、今週は通常より1日多く、15日の土曜日まで掲載します。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。