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先週の動き‥‥米物価目標の柔軟化でドル不安定、安倍首相辞任表明で円高

ポイント
・米国株は新型コロナ治療での血漿療法の緊急承認やワクチン開発に向けた楽観的な見方、感染者数の減少傾向等から悲観的な見方が後退しつつあるなか、住宅関連を中心に良好な米景気指標の発表もあって総じて堅調に推移した。
・外為市場ではジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が2%の物価目標を超えてもすぐに超金融緩和策の修正に動かないことを表明したことから米長期金利が上昇し、ドル高に振れた。週末は安倍首相の辞任表明からアベノミクス後退懸念で円高圧力が強まった。



 先週の国際金融市況は新型コロナウイルスの感染拡大に対する悲観的な見通しの後退もあって米国株が総じて堅調に推移した。

 米国株は週初24日には米食品医薬品局(FDA)が新型コロナ治療での血漿療法を緊急承認したことや、米ドナルド・トランプ政権が英アストラゼネカとオックスフォード大学が開発しているワクチンを大統領選挙前に承認し実用化することを検討していると報じられたこと、米フロリダ州の感染者数が6月中旬以来の低水準に減ってきているとの報道から大型株主導で上昇し、ダウは前週末比378ドル高と上伸してナスダックも同67ポイント高になって史上最高値を更新した。25日は米消費者信頼感指数が予想外に低下したことが嫌気されて当初は軟調な展開になったが、その後ハイテク株が買い直されたことで切り返していき、ナスダックは前日比86ポイント高まで水準を引き上げて最高値を更新し、ダウも同60ドル安にまで下げ幅を縮小した。26日は当初、利益確定売りが先行したが、その後最近の全米での感染者数の減少やワクチン開発に向けて前向きな報道が相次いでいることから買い直されていき、さらにジャクソンホール会議でジェローム・パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が追加緩和に向けて前向きな発言をするとの期待も加わって押し上げられ、ダウは同83ドル高になり、ナスダックは同198ポイント高と急伸して最高値を大幅に更新した。27日はパウエル議長が講演で金融緩和策が長期間続くとの見通しから上昇し、さらにトランプ政権が医療機器メーカーのアボットが開発した新型コロナの検査キットを1億5,000万個購入するすると発表したことから一段高になった。それにより、ナスダックは一時、最高値を更新した後、ハイテク株に利益確定売りが出たことから同39ポイント安になったものの、ダウは同160ドル高になった。週末28日は米個人消費支出(PCE)やミシガン大学消費者信頼感指数が予想外に良好な内容になったことから上昇した後、ゼロ金利の長期化見通しが強まるなか、携帯端末アップルや電気自動車テスラの株式分割を31日に控えて一段高になり、ダウは同161ドル高に、ナスダックも同70ポイント高になって引値ベースで最高値を更新した。

 日本株は週初24日には前週末の米国株がワクチン開発に向けて楽観的な見通しから上昇したのを受けて底堅く推移し、日経平均は前週末比65円高になった。その後も米国株が上伸する展開になったことから、円安気味に推移したことも加わって翌25日は一段と力強く上昇し、前日比311円高になった。ただその後、米国株が大型株主導で利食い売り圧力が強まったことから翌26日は当初、利益確定売りが先行して下落したが、その後最近の良好な環境が見直されて買い拾われていき、同5円安と前日とほぼ変わらない水準にまで戻した。27日は当初、米国株がハイテク株主導で買い上げられる動きに回帰したことから堅調に推移したが、その後中国軍が南シナ海に弾道ミサイル2発を撃ち込んだ(その後、米軍の高官がミサイル4発が着弾したと発表)ことが嫌気されて急速に地合いが悪化し、同82円安と安値引けした。週末28日はパウエルFRB議長の講演を受けて米国株が上昇し、また円安(ドル高)に触れたことから中盤過ぎまで底堅く推移した。しかし、その後の会見で安倍晋三首相が辞任を表明すると伝わったことでアベノミクスの後退懸念から一気に売り込まれて一時同600円以上も下げたが、引けにかけて買い戻しが出たことから同326円安まで下げ幅を縮小した。

 外国為替市場では米ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の発言内容を巡りドル相場が不安定な動きを示し、また週末には安倍首相の辞任表明から円高に振れた。

 ドル・円相場は週初24日には米FDAが新型コロナの血漿療法を緊急承認したことやワクチンの実用化に向けた動き、感染者数の減少傾向が報じられたことからリスク選好が強まり、米長期金利が上昇したことからドル高圧力が強まって1ドル=106円付近に上昇した。25日はニューヨーク市場で米新築住宅販売件数やリッチモンド連銀製造業指数が好調な内容だったことからドル高圧力が強い状態が続いた後、米消費者信頼感指数が低調な内容だったことから一時的にそうした動きが後退したが、その後株式市場でハイテク株が買い直されたことからドル高圧力が再燃して106円60銭近い水準まで上昇した。26日は米耐久財受注が好調な内容だったことから一時ドル高圧力が強まったが、その後ジャクソンホール会議でのパウエル議長の講演を控えてFRBの追加緩和観測から上値を抑えられ、おおむね106円台前半で推移した。27日は東京市場で中国軍の南シナ海でのミサイル発射による円高圧力から軟化した後、パウエル議長が講演でインフレ率が2%の目標値を上回ってもすぐに緩和策に動くことなく柔軟に対処する方針を示したことから、FRBの超金融緩和策が長期化するとの見通しから105円60選まで一段安になった。しかしその後、それによりインフレ見通しが強まって米長期金利が急上昇に転じたことからドル高圧力が強まり、翌28日の東京市場の午前中にかけて106円90銭台まで上伸した。しかし、午後になると夕方の会見で安倍首相が辞任表明をすると伝わったことでアベノミクスの後退懸念から一気に円高圧力が高まり、ロンドン市場では105円20銭付近まで下落した。その後、ニューヨーク市場の序盤では米PCE指数やデフレーター、ミシガン大学消費者信頼感指数が良好な内容だったことから一時105円70選付近まで戻したが、すぐに円高圧力が再燃して再び下落していった。

 ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.18ドル台前半で始まり、週初24日には米政府による血漿療法の緊急承認やワクチン開発、感染者の減少傾向といった新型コロナについての楽観的な報道からドル高圧力が強まり、軟化していった。25日は米新築住宅販売件数の好調と米消費者信頼感指数の低調が交錯して1.18ドルを挟む動きになった。26日もロンドン市場ではドイツ政府が新型コロナのパンデミック救済策の延長を決めたことから一時ユーロ高圧力が強まったが、ニューヨーク市場では米耐久財受注の好調が相殺して同値圏での動きを継続した。27日はニューヨーク市場でパウエルFRB議長が講演でインフレ率が2%の目標値を超えてもすぐに超金融緩和策の修正に動かない姿勢を示したことからドル安圧力が強まり、さらに新型コロナ禍に対する楽観的な見方も加わってリスク選好が高まったことからユーロ高圧力が強まり、翌28日の東京市場にかけて1.192ドル付近まで上昇していった。その後、ニューヨーク市場では米PCE指数やデフレーター、ミシガン大学消費者信頼感指数の好調によるドル高圧力からいったん反落したものの、株高傾向が続いたことでリスク選好からユーロ高圧力が強い状態が続き、再び1.19ドル台に乗せる展開になった。


 今週は、明日はジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の出席に合わせて2%の物価目標値を超えてもすぐに超金融緩和策の修正に動かない政策指針が打ち出されましたが、その意義について考察します。
 明後日以降の3日間では、先週末に安倍首相が辞任表明したのを受けて、どうして7年8カ月もの長期政権になったのか、第一次政権が1年程度の短命に終わった真因も含めて、米国との関係から考察します。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。