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追加財政出動や追加金融緩和を実現するのに株安が必要な場面

ポイント
・先週後半にそれまで株高を主導していたハイテク株に利益確定の動きが強まったなかで、大型株は買い戻しから上昇しておかしくなかったが、ハイテク株の下げがきつ過ぎてダウも急落してしまった。
・今回の株価急落局面でも新型コロナ禍やリーマン・ショックの時と同様に小規模ながら安全資産の金も換金売りを浴びたことで、米ドルの万国共通の国際通貨である基軸通貨としての信用が盤石な状態にあることが改めて裏付けられた。
・金融危機に陥っても米国では当該金融機関はFRBから迅速に資金供給を受けられることで金融危機に陥る心配はなく、他の先進国・地域もギリシャ危機や今回の新型コロナ禍で中央銀行を介してドル資金を融通する枠組みが整備されているので同様である。
・しかし、迅速に供給を受けられない新興国勢が危険な状態にある。その代表格である中国も例外ではなく、香港問題で米国から四大銀行も含めてその裁量によりドル決済網から放逐できる制度が成立したので、その気になれば“殺す”ことができる。
・それほど信用のある基軸通貨が大量に供給されればその多くが株式はじめ資産市場に向かうことで資産バブルが引き起こされやすくなるが、それが崩壊するとドル基軸通貨体制が動揺しかねない。それこそが新型コロナウイルスが投入された大きな目的の一つだ。
・そのためにはさらなる追加的な財政出動や金融緩和策を打ち出す必要があるが、特に前者は野党・民主党の抵抗に遭っている。日程的にも15~16日にFOMCを控えているなかで株高が続くとはなはだ不都合でり、ここにきての株価急落はそうした意味がある。


ハイテク株主導で調整局面に

 先週は半ばまではヘッジファンド勢はそれまでの大型株売り・ハイテク株買い・長期債買い(金買い)のストラテジーを推進し続けたものの、3日以降、一気にその巻き戻しに動いた。翌日の週末4日に米雇用統計の発表を終えると、週明け7日に「労働者の日(レーバー・デー)による休場を控えていただけに、利益確定の動きが進んでおかしくない場面ではあった。
 ただ、本来ならそうしたポジション調整が進むと大型株――すなわちダウは買い戻しから上昇しておかしくなかったはずだが、それまであまりに値動きが軽い構造のなかを買い進まれていただけに、そうしたハイテク株の調整がかなりきついものになり、ダウも追随して急落してしまったといえる。


極限的なリスク回避局面では換金売りを浴びることが改めて裏付けられる

 ただ今回の動きについていえば、留意すべきことが二つある。一つは先週3、4日に株価が急落した際に、安全資産の代表格である金相場が「質への逃避」で上がることなく、反対に換金売りを浴びて下落したことだ。
 今年3月には新型コロナ禍からニューヨーク州を中心に米東部で感染爆発に見舞われて経済活動が停止されたことで短期間で株価が大暴落したが、その際にはかなり大規模な金の換金売りが見られた。さらに10年以上も以前の08年9月以降のリーマン・ショックによる巨大な金融危機の際にも、それなりに規模の大きな換金売りが見られた。それに比べると、今回は株価がダウで1,000ドル超ほど下げたに過ぎないため、換金売りも小規模なものにとどまったが、それでもそうした現象が見られたこと自体、特筆に値すべきものだ。
 通常、リスク回避が強まって株式はじめリスク資産が急落すると、日米独の国債と並んで安全資産とされている金(貴金属)が買われるものだ。ただ、そうした動きが極限的に高まって手元資金としての現金のニーズが高まると、“万国共通”の基軸通貨である米ドルが買われる傾向があることが今回、改めて裏付けられたといえる。


金融危機の際にはドル資金を調達できなくなる新興国勢が危険な状況に

 大事なことは、リスク回避が極限的にまで高まることで「永遠普遍にして不変の無国籍通貨」とされる金まで売られて米ドルが買われるのは、その基軸通貨としての信用が少なくとも足元では盤石な状態にあることを示唆するものだ。こうした状態では、実体経済が極端に悪化することで米国の金融機関の財務内容が毀損しても、連邦準備理事会(FRB)が迅速に当該金融機関に資金供給に動けば(実際に供給するのはニューヨーク連銀)金融危機に発展することはない。必要以上に大量に資金供給に動けば過剰流動性がもたらされてしまい、株式や住宅その他の資産市場に流入して資産バブルを引き起こすことになる。
 むしろ、そうした状態になって信用危機に陥る懸念が高まるのは、必要な時にドル資金を調達できないところだ。日本やユーロ圏、英国、カナダといった先進国・地域については、ギリシャ危機の際にFRBが中央銀行を介してドル資金を供給する枠組みが構築されており、最近の新型コロナ禍を受けた対応で一段とそれが拡充されている。そうした枠組みが設定されておらず、必要な時に迅速にドル資金を調達できない新興国が危険な状態に陥ることになる。
 それもとりわけ、最近では安全保障面で米国との対立を強め、香港問題を巡り中国側が6月30日に香港国家安全維持法を制定した報復措置として7月14日に米国で香港自治法が成立し、四大銀行を含む中国のいかなる銀行もその裁量によりドル決済網から放逐される可能性が出ているため、制度上では要注意である(ただし、ドナルド・トランプ政権の背後で主導権を握っている親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の権力者層は将来的に中国に覇権を明け渡そうとしており、また当面は習近平国家主席に必要な構造改革を推進させようとしているので、そうした“伝家の宝刀を抜く”ことはないだろうが)。


ドル基軸通貨体制の弱体化に向けて資産バブルが再燃へ

 もう一つ指摘すべきなのは、米ロックフェラー財閥傍流系を中核とするナチズム系の権力者層がこれから資産バブルを膨らませていくにあたり、FRBがさらなる追加的な金融緩和策を決める必要があるが、そのためには株価が足元でいったん調整局面を迎える必要があることだ。
 ナチズム系の権力者層は将来的に世界覇権を中国に明け渡すにあたり、中国政府に国有企業改革を中心とする構造改革を推進させるとともに、足元では盤石な状態にあるドル基軸通貨体制を弱体化させる必要がある。そのためには、FRBがさらに強力に大量にドル資金を供給して資産バブルを再燃させることであり、それが崩壊すればドル不安を引き起こさずにおかない。
 かつて、米系財閥本流系を中心に親イスラエル左派的で社会主義的、リベラル的でコスモポリタン志向の米軍産複合体の直系であり、世界中の主要国・地域の中央銀行の金融政策を実質的に統轄し管理しているグループ・オブ・サーティ(G30)は、最高幹部の一員であるスタンレー・フィッシャー前イスラエル中央銀行総裁をFRB副議長に据えて利上げ路線を推進し、世界的に信用収縮を強めることで中国はじめ新興大国を撃滅していき、米ドルの信用の維持も目論んだものだ。
 しかし現在、ナチズム系の権力者層の意向で動いているジェローム・パウエル現議長は、かつてジャネット・イエレン前議長が「高圧経済」の概念で唱えていたような、インフレ率が2%を超えてもすぐに超金融緩和策の修正に動かない体制の構築に取り組んでおり、実際にそれが成功しつつある。連邦公開市場委員会(FOMC)委員を構成している地区連銀総裁の多くが依然として本来的にG30の影響下にありながら、ほぼすべての委員がハト派的になっているのは、いうまでもなく新型コロナ禍に襲われたからだ――それこそが、遺伝子操作を駆使した人造兵器である新型コロナウイルスが投入された大きな目的の一つである。


追加財政出動や追加緩和策の決定のためにも株安が必要に

 そうした意味で、ナチズム系の権力者層にとって当面の政策課題は、ドナルド・トランプ政権が新型コロナ化支援のための追加的な財政出動政策を、またFRBも追加的な量的緩和策を決めることだが、現状では特に前者が上手くいっていない。
 トランプ政権が議会共和党との間で合意したところでは、失業給付金を減額して廃止する一方で、所得税を中心にもう一段の大型減税を成立させ、さらに航空業界を筆頭に新型コロナ禍により構造的に業績が悪化して大幅な人員削減が避けて通れない業界への救済を重視している。これに対し、下院で過半数を握っている野党・民主党は、失業給付金をこのまま延長し、さらに“金持ち優遇”の減税より中低所得者層を対象にさらなる大規模な現金給付を重視しており、今のところ合意の兆候がまったく見られない。
 そうしたなかで民主党側の抵抗を跳ね返すには、新型コロナ禍により経済活動が停止されたとはいえ最悪期を脱して経済活動が回復傾向を示しており、株価も高騰している状況は甚だ都合が悪い。いうまでもなく、FRBがもう一段の強力な追加緩和策を決めるうえでも、株高傾向が継続していては不都合である。ここにきて、ナチズム系の権力者層が軍産複合体系につらなる金融資本勢力とともに株価調整を演出したのは、日程的な面でいえば前週27日にジャクソンホール会議でパウエル議長がインフレ率の2%超容認路線を打ち出したなかで、翌々週15~16日にFOMCを控えていたことが大きかったといえるだろう。
 本来的にナチズム系にとっては軍産系は“不倶戴天の敵”であるはずだが、新型コロナウイルスの投入でも見られたように、両者は個別の目的意識が共通する部分では共闘する傾向があるからだ。


 明日もこの続きを掲載します。
 明日は、将来的なドル不安を巡る闘争の最前線が現在の日本での水面下の政治闘争という形で行われていることについて、もう一度見ておきたいと思います・
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。