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トランプ政権が望んでいる政策が実現すると米実体経済が上向きへ

ポイント
・最近、金融市場が動揺している大きな要因が、追加財政政策を巡る交渉が暗礁に乗り上げていることだ。米国経済は回復傾向を示しているが、その多くは財政支援策で支えられており、それが剥落すると失速状態に陥りかねないためだ。
・追加財政政策を巡る交渉では議会共和党が大幅な圧縮案を出したのに対して大規模化し、中低所得者層への給付を重視する民主党が対立してまとまる兆しがまったくない。トランプ政権は大規模財政出動政策に踏み切ることを望んでおり、その限りでは民主党に近い。
・足元では基軸通貨としてのドルの信用は盤石であり、FRBの超大規模な金融緩和策から資産価格が高騰していきそうだ。米国経済は高度に金融市場が発展して追加財政出動効果が高いだけに、資産価格の高騰から消費活動が活発化して実体経済も浮揚していくだろう。



「財政の崖」が到来すると世界経済が失速しかねないが‥‥

 米金融市場では不安定な動きが続いている。追加的な財政出動政策を巡り、上院で過半数を握っている与党・共和党がその規模を5,000憶ドルに圧縮する案を提出したものの、下院で多数党である野党・民主党が中低所得者層を中心に現金の給付を中心に2兆~3兆ドルもの規模を要求して譲らないためだ。両者が歩み寄る兆しはなく、11月3日の大統領選挙までにそれを成立させようという意向はまったくうかがえない。
 米国の雇用情勢は週間新規失業保険申請件数で以前には100万件を超えていたのが今では80万件台にまで低下しているが、依然としてかなり高水準の状態にあることに変わりはない。そうしたなかで、確かに足元では経済指標は回復傾向を示しているとはいえ、その多くは家計に対する現金給付や雇用支援策、事業者への休業補償等の一連の財政支援策で支えられている面がかなり強い。
 そうした意味では、そうした支援策が打ち切られる「財政の崖」が本当に到来すると、米国だけでなく世界経済が失速することになりかねない。


トランプ政権は民主党と同様に大規模な財政出動を望んでいる

 ただここで留意すべきことが二つある。一つは、ドナルド・トランプ政権は議会共和党と5,000憶ドルに規模を圧縮する案で表面的には合意しているが、本当は民主党と同様にそれなりに大規模なものを望んでいることだ。もっとも、トランプ政権は失業保険給付を徐々に圧縮して最終的に打ち止めにし、また以前から所得減税がテーマに浮上するなど給付より減税を重視しているところが異なるが、それでも大規模な財政出動政策を決めることを望んでいることでは一致している。
 トランプ政権の背後の親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的であり、主に米ロックフェラー財閥傍流系で構成されているナチズム系の権力者層は将来的に米国の世界覇権を徐々に後退させようとしており、ドル基軸通貨体制を動揺させようとしている。遺伝子操作を駆使した人造生物兵器である新型コロナウイルスを投入して蔓延させた大きな目的の一つがそこにあることはこれまで、当欄で述べてきた通りであり、それにより財政赤字をできる限り膨張させようとしているわけだ。
 いわゆる財政赤字の増大を許容している現代貨幣理論(MMT)は主に社会福祉の増大を主張している民主党左派に支持されているが、それが以前、共和党の新保守的な勢力が支持していたサプライサイド経済学に通じるのと同じことだ。ただし、それでもトランプ政権としては今後も政権運営上、伝統的な保守勢力が根強い影響力を誇っている議会共和党と協調していくうえで、財政赤字の膨張を嫌っている同党の姿勢に表面的に同調せざるを得ないところがあるわけだ。


米国では資産価格が高騰すると消費性向が高まる傾向がある

 もう一つ指摘すべきことは、もとより直接金融が主体である米国では金融市場が世界で最も発展しており、その動向が実体経済に大きな影響を及ぼす経済・社会構造においては、とにかく一般家計の資産である株価や住宅価格を引き上げれば、“自然に”消費活動が活発になることだ。“貯蓄好き”で銀行融資による間接金融に慣れ親しんでいる日本人にはなかなか理解しにくいところだが、米国人は“生来の楽観好き”であり資産価格の変動に対する限界効果が極めて高く、雇用不安に悩まされていても自分たちが保有している資産価値が高騰すると、日本人には理解できないほどに消費性向が高まる性格なのである。
 以前、当欄で述べたように、金融市場でリスク回避が極限的に高まると米ドルの現金志向が高まってしまい、“究極の安全資産”である「永遠普遍にして不変の無国籍通貨」である金(貴金属)まで換金売りの対象にされるほど、米ドルは基軸通貨としての信用が高い状態にある。そうしたなかで米連邦準備理事会(FRB)が超大量に資金供給に動けば、その多くは資産市場に流入していくことでバブルが膨れ上がるのが目に見えており、それにより米国の実体経済も活発になっていくだろう。
 いうまでもなく、そうしたFRBの政策はドルの基軸通貨としての信用を毀損させ得る重要な要因になるが、それが現実化するのは資産バブルが崩壊してからのことであり、まだ先の話である。そしてその時はドルの信用の上に成り立っていた世界経済全体が動揺を来さざるを得ないが、特に新興国経済は顕著な打撃を受けてしまい、それもとりわけ中国経済が被る被害は限りなく甚大なものにならざるを得ない。


 明日からは昨日、自民党総裁選挙が行われましたが、安倍首相の突然の辞任表明の背後事情や、今回の総裁選挙の意義について考えることにします。
 初日の明日は安倍首相が辞任した持病以外の本当の理由について考察します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。