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日本にも大きな影響をもたらす米税制改革案

ポイント
・米国側は貿易相手国で付加価値税が導入されていることが米国の輸出を阻害しているとの声が高まっており、日米経済対話で消費税の廃止を要求してくる可能性が出ている。
・安倍政権がネオコン派に支持されているのに対し、米CFR系が財政破綻を煽って財務官僚群を後押しし、増税路線を推進していたため、森友問題はCFR系による謀略の可能性も。
・税制改革案に対しても輸入品価格の上昇をもたらすとして共和党保守派が反対しているため、それを懐柔するためにドル高に誘導する必要がある。



米国は消費税の廃止を求めている

 前回の当欄では、米国が「アメリカ・ファースト」を追求すると世界の通商関係でブロック経済化が進展して世界経済が大きな打撃を受けてしまい、そうしたデフレ圧力を克服するには強大な軍需を創出する以外にないと述べた。
 巨大な軍需を創出するうえでは、米国の覇権による“神通力”が健在な間は中国との間で「新冷戦」構造を構築することで世界経済が機能していくだろう。しかし、それが破綻してその神通力も失われていけば、それこそ世界大戦が再現される恐れがある。
 ただここではそうした問題を考察するとかなり長期的な話題になってしまい、また非常に大きなテーマになるので、次の点を指摘するにとどめておく。

 米国は自らがそうした税制の導入を目指すだけでなく、貿易相手国に対しても米国の輸出を後押しするために不公正な制度や慣行を摘発して報復措置を採る姿勢を示しているが、そこでは各国の付加価値税も問題視しようとしているようだ。付加価値税により価格が割高になっており、それにより消費意欲が衰えて米国の輸出が不当に圧迫されているという“理屈”である。
 そこでは、主にドイツがそれにより攻撃されそうだが、日本に対しても消費税の廃止を求めるべきだといった声がドナルド・トランプ政権内部で出ているようだ。実際に、今月から始まる日米経済対話で米国側が農産物の輸入自由化とともに消費税の廃止を要求してくる可能性がある。
 それを受けて、安倍晋三政権を経済政策面で支えている自民党の特命チームも、「教育国債」の発行とともに密かに消費税の廃止に向けた議論をする雰囲気が出てきたようだ。


森友問題は米CFR系が引き起こしたものか?

 だとすれば、最近の安倍政権を追い詰めている森友学園を巡る問題は、米国の外交・安全保障政策を巡り新保守主義(ネオコン)派と対立する勢力である外交問題評議会(CFR)系が、系列である中央情報局(CIA)の対日工作班を使って引き起こしたことが考えられる。
 もとより、財務官僚の主張を後押しして日本の財政破綻の問題を煽り、増税の正当化を推進していたのはCFR系やその経済金融部門であるピーターソン国際経済研究所(PIIE)の系列だった。そうすることで日本の官僚群は自分たちの“天下り先”である特殊法人を設立するために密かに蓄えておき、また米CFR系も民間の対米資本投資が細った際に、財政面からそれを支えるための担保を確保しようとしていたわけだ。これに対し、ネオコン派系は経済成長を阻害するような増税には反対する傾向が強く、安倍政権もそれと同じような性格である。
 そうした意味では、これまで安倍政権で閣僚に登用された多くの政治家が不正会計問題で陥れられてきたが、今回の森友問題もそれと同じような性格のものといえなくもない。そして、完全に好戦的なネオコン派が主導権を握った現在では、“野に降った”CFR系の「最後の抵抗」ということもいえそうである。


税制改革案の導入はドル高を必要とする

 もう一ついえることは、米国では国境税の導入を目指している税制改革案を巡り、共和党内では保守派が輸入品の価格が上がるとして反対しているが、それだけに輸入インフレ圧力を相殺するためにドル高を容認する必要があることだ。トランプ政権は輸出を阻害するとしてドル高を牽制しているといわれているが、この改革案を導入するには反対にドル高を誘引することになるわけだ。
 いうまでもなく、輸入インフレ圧力が高まることで米連邦準備理事会(FRB)がよけいに利上げをしなければならなくなり、そうした観点でもドル高が進みやすくなるといえる。

 むろん、いかに有利な税制になっても、ドル高が進めば輸出がそれほど伸びなくなりかねず、各国・地域が米国に対抗して法人税の仕向け地主義を導入すればなおさらそうした傾向が強まるだろう。
 企業としては税制面で海外に生産拠点を移す利点がなく、またトランプ政権もそうした企業を“脅して”重税を課すような姿勢を強めれば、有力な企業は付加価値の高い仕事ができない労働者を高賃金で雇うよりは、一段とロボットや人工知能(AI)を利用した生産過程を導入して生産性を高めていこうとするだろう。この分野では日本勢の競争力が高いため、結局、日米関係の蜜月化がさらに進んでいくのではないか。


 今週はこれで最後になります。
 来週はこれまでと同様に週明け10日の月曜日から連載していくので、よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。