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先週の動・・・・地政学的リスクの継続から円高傾向を継続

ポイント
・地政学的リスクの高まりによるリスク回避から日米の長期金利が低下し、外為市場ではトランプ米大統領のドル高牽制発言もあって円高が進行し、日本株も年初来安値を更新した。
・ただ、ドル・円相場の5年サイクルが昨年6月に底入れしているので、ここからは最大で1ドル=106円台半ば程度とそれほど円高余地は大きくなさそうだ。



 先週の国際金融市況もシリアや北朝鮮情勢の緊迫化による地政学的リスクの高まりからリスク回避が強まりやすい展開が続いた。
 週前半には米空母カール・ビンソンが朝鮮半島に向かっているとの報道や、シリア問題を巡る米国とロシアの対立が嫌気された。また13日には、米軍がアフガニスタンで大規模爆風爆弾兵器(MOAB)が投下されたことで、北朝鮮への軍事攻撃が現実味を増したと受け止められた。
 それにより、米長期金利(10年債利回り)が11日と13日に前日比0.06%以上も急落したことで2.2%台前半に低下した。ただ米株価はそれほど下がらず、ダウで12日に同60ドル近く、13日に同140ドル近い下落幅にとどまった。

 他方、日本株はリスク回避による円高から、国内長期金利が週末14日には新発10年債の利回りで0.010%まで低下したなかで軟弱な動きを強いられた。日経平均株価は週初10日こそ前週末比130円超も上げたが、その後の4日間で460円超も下落して1万8,000円台前半に水準を沈め、年初来安値を更新し続けた。

 外国為替市場ではリスク回避が続いたことから円高やドル安が一段と進んだ。
 ドル・円相場は週初10日の東京市場では、前週末7日に発表された米雇用統計で失業率が大幅に低下したことから1ドル=111円60銭近くまで上昇した。しかし、その後北朝鮮情勢の緊迫化や米国とロシアの対立を背景に下落し続け、翌11日のニューヨーク市場ではそれまでの下値支持だった110円台前半を割り込んだ。
 その後も12日にドナルド・トランプ米大統領がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙とのインタビューでドル高を牽制したり、米連邦準備理事会(FRB)による低金利政策を支持する発言をしたことや、13日にはアフガンでMOABが投下されたと米軍が発表したことから、週末14日には108円台半ばまで一段安になった。

 ユーロ・ドル相場は地政学的リスクによるドル安圧力を受けて、週初10日には1ユーロ=1.057ドル前後の水準から、週央12日のニューヨーク市場では1.067ドル台まで上昇した。しかし、ユーロ自体に買える要素がなく、その後は上値を抑えられた。
 ユーロ・円相場は円高圧力を背景に、週初10日の1ユーロ=118円超の水準から、週末14日のニューヨーク市場では115円20銭台まで下落した。


ここからはそれほど円高余地はなさそう

 ドル・円相場は地政学的リスクに加え、最近では発言を控えていたトランプ米大統領が再びドル高牽制発言をしたことから、ここにきて一段と下落圧力を強めている。5年サイクルが昨年6月24日の1ドル=99円の安値で底入れしているので、北朝鮮を巡る情勢がかなり緊迫しているとはいえ、ここからはそれほど下値は深くないと思われる。
 下値のメドについては、昨年12月15日に118円65銭の高値をつけるまでの勢いのある上昇が始まった11月9日の101円19銭の安値を起点にすれば、その0.618倍の調整では107円80銭台半ば程度になる。

 あるいは、12月15日の高値で6月24日から始まった1年サイクルが天井を打ったとすれば、そのサイクルの終点としての底値のメドとしての半値押しの水準が108円80銭前半付近になり、それが妥当だとすればもはやその付近に到達していることになる。0.618倍の調整なら106円台半ばとあと2円ほど下げ余地がある。
 ただいずれにせよ、ここからはそれほど円高が進む余地はないと思われ、それに連動している日本株は絶好の買い場を迎えているのではないか。


 今週は足元の情勢から地政学的リスクを採り上げます。
 まず明日はシリア問題について考察した後、明後日以降は日本の周辺での関心事項である北朝鮮問題に移っていきます。
 中国の動向も含め、足元の危機を演出している米国内の勢力について考察するので、よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
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