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ドル高に加え割高感が強いが米株高傾向の流れは不変か

ポイント
・FRBの今後の利上げやバランスシートの縮小に向けた動きがまだ市場で十分に織り込まれておらず、対円では依然としてドル高が進む余地がある。
・米企業には収益基盤が弱体化しているなかで米国株には割高感が強いが、しばらくはまだ急落することはなく、ダウで2万ドル台乗せに定着すると一段高へ。


 ドル・円相場はジェームズ・コミーFBI長官の解任による米政局リスクが上値抑制要因とされたが、4月17日に1ドル=108円13銭で底入れしてから1カ月も経たない間に6円以上も上昇してきたので、ひとまず上値が重くなって当然である。
 ただ、米連邦準備理事会(FRB)執行部は年内では6、9月と利上げをしていき、12月にバランスシートの縮小開始を決めるシナリオを描いているとされるが、それがまだ市場では十分に織り込まれているとはいいがたい。次回6月13~14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決まるのは9割方織り込まれたが、その次の利上げについては12月の段階で5割程度に過ぎない。ましてや、バランスシートの縮小についてはほとんど織り込まれていないようだ。
 このため、対ユーロについては欧州中央銀行(ECB)が出口戦略について検討しているのでともかくとしても、基本的に対円でのドル高傾向は不変だろう。

 米国株はダウで2万1,000ドル台に乗せても定着できず、決算の内容が低調なものが多いことから上値を抑えられた展開を強いられている。前回の当欄で指摘したように多国籍企業の収益基盤が弱体化しており、生産性の低下や労働コストの高止まりに悩まされているなかで、予想株価収益率(PER)が20倍を大きく超える水準にまで上昇しており、かなり割高感が強い状態だ。
 このため、何らかのきっかけで急落していく懸念が拭えないが、今すぐそれが到来する可能性も小さそうだ。むしろ、決算の発表に伴う上値抑制要因が払拭されてダウが2万ドル台乗せに定着できると、さらに買い上げられていく可能性が高いだろう。
 明日以降、述べるように北朝鮮問題の陰に隠れた米国と中国との間での通商交渉がひとまず決着し、米国の金融資本勢力が中国を攻撃するために信用不安を引き起こす必要性が薄れているからだ。むしろ、米ロックフェラー財閥系や軍需産業系としては、今秋の中国での共産党大会を控えて習近平国家主席が権力基盤を強化していくのを後押しするためにも、それまではリスク選好が強い状態が続くことを望んでいておかしくない。


 明日、明後日と米中間での「100日計画」の合意について考察した後、週末にはFBI長官の突然の解任を受けた米大統領の辞任の可能性について検討します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。