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米中間での合意に向けて様々な利害が絡み合う

ポイント
・米国側でも習近平国家主席が専制権力体制を確立していくのを望んでいる勢力が多く、こうした様々な勢力の利害が絡み合いながら成立したのが今回の「100日計画」である。
・米国の方針転換を受けて日本側も中国の国際会議に代表団を派遣したが、安倍首相もアジア極東での巨大な経済圏の構築を目指しているので符合する面がある。
・米国は極東では「新冷戦」を、中東では「熱戦」を引きおことうとしているので、今回の合意がまとまった背景には韓国やイランの大統領選挙が予定されている事情もありそうだ。



米国内でも各勢力の利害が絡み合いながら成立した今回の合意内容

 その一方で、米国側でも欧州ロスチャイルド財閥系は中国に対して資本取引の自由化を求めて強硬に要求したのに対し、米ロックフェラー財閥系や軍需産業はあまりに中国を、それも特に習近平国家主席を追い詰めることを望んでいなかった。
 この米財閥系としては、その直系の“ハゲタカ”であるブラックストーン・グループのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)が習国家主席を取り込んでいるなかで、今秋の共産党大会を控えてあまりに中国側を追い詰めることで、その権力基盤が動揺することを望んでいなかったからだ。また軍需産業系も、アジア極東では中国と「新冷戦」構造に持ち込もうとしているなかで、同様に習国家主席が専制権力体制を確立していくのを後押しこそすれ、それが動揺することを望んでいなかった。
 つい最近まで米ロックフェラー財閥直系のエクソンモービルCEOだったレックス・ティラーソン国務長官が、国境を越えて北朝鮮側に侵攻することで体制の崩壊を意図していないと表明したのはこのためだ。またドナルド・トランプ大統領も、5月1日に条件が合えば金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長をワシントンに招いて直接会談する可能性に言及したのも、こうした意向が働いていたのかもしれない。

 こうした表面的な北朝鮮問題を巡る動きと水面下での中国側と米国側の交渉、及び米国側でも各勢力による利害関係が複雑に絡み合いながら成立したのが今回の「100日計画」の合意内容だ。いうまでもなく、この合意には実際には水面下での交渉で表面的に記載されている事項よりさらに突っ込んだ議論が行われていたのであり、また事実上、中国側もそれを受け入れざるを得なかっただろう。
 ただ表面的な合意事項だけでも、米国の金融機関に格付けや電子決済、債券の引き受け業務への参入を認めれば、自在に相手企業や銀行に格付けを付与して信用を低落させ、また破綻企業や銀行の債権者になることで買収していく大きな道が切り開かれたといって過言ではない。米国側が「一帯一路」構想に関与していく姿勢に転じたのも、ロスチャイルド財閥系の意向であることはいうまでもないが、ロックフェラー財閥系としても習国家主席を取り込んでいるだけに、それ自体は決して悪い話ではないはずだ。


米国の姿勢転換で日本も代表団を派遣

 日本もこの国際会議に代表団を送ったが、そこに米国の姿勢が転換したことが大きく関係しているのはいうまでもないことだ。ただ、安倍晋三首相もその背後の特異な宗教勢力との関係から、アジア極東での巨大な経済圏の構築に大きな関心を示していたのであり、だからこそロシアのウラジーミル・プーチン大統領と個人的に良好な関係を結んできたのである。
 今回の国際会議を開催するにあたり、中国側は地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備を巡り対立している韓国の首脳には招待状を出さなかったのに対し、安倍首相には出したようだ。さすがに安倍首相自身はトランプ大統領とともにこれに出席することは避けたが、代わりに親中派として知られる二階俊博自民党幹事長を中心とする代表団を送った。
 おそらくこれまでもそうだったように、本当の水面下での裏交渉では、安倍首相の後見人のような存在である高村正彦党副総裁が、習国家主席を支えている張徳江全国人民代表大会(全人代)委員長と会談していたのだろう。


韓国やイランの大統領選挙の時期に交渉が決着した背景

 米国としては共和党系新保守主義(ネオコン)派主導で“自作自演(ヤラセ)”で北朝鮮問題を緊迫させておいて、それを沈静化させるにあたり、韓国で「親北」的な左派系の政権が成立した方が有利である。大統領選挙で保守系の期待を受けた「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)前代表が世論調査で一時的に文新大統領に肉薄したものの、その後急速に失速したのはこのためだろう。
 文在寅(ムン・ジェイン)新大統領としても、米国の軍需産業系や共和党系ネオコン派が要望しているTHAADの配備を、中国の猛反対を押し切って容認すれば比較的安定した政権運営ができるのではないか。

 米国の親イスラエル右派や共和党系ネオコン派、軍需産業系は極東では中国を相手に「新冷戦」構造を構築していく一方で、中東では「熱戦」を引き起こそうとしている。それも特に核開発問題を再燃させるなどして、イランを攻撃するための準備とその大義名分を手にすることを画策している。北朝鮮問題が一段落すれば、米国の好戦的な外交・安全保障政策の主要な関心はイランに向かうはずだ。
 19日に行われるイランの大統領選挙では、改革派のハサン・ロウハニ大統領がやや優位に立っているようだが、保守派の候補者も一本化されて予断を許さない。米国の好戦的な勢力としては、革命防衛隊出身のマハムード・アハマディネジャド前大統領が復帰すれば申し分ないのだろうが、他の保守派の大統領が誕生しても、少なくともロウハニ現大統領より好ましいのはいうまでもないことだ。
 そうした意味でも、イランの大統領選挙の開催をメドに北朝鮮問題を一段落させることにつながる大きな進展が望ましかったといえるだろう。ただ、共和党系ネオコン派や軍需産業系としては中国を相手に「新冷戦」構造に持ち込むことを欲しているので、欧州ロスチャイルド系を中心に米産業界があまりに経済的に中国に進出することを望んでいない。「一帯一路」国際会議が開催されている最中の14日にミサイルが発射されたように、北朝鮮のこうした動きは今後も続いていくと思われる。


 今週最後となる明日はFBI長官の解任劇について簡単に考察します。
 その後、今週に入ってからロシア外相に機密情報が漏洩されたり、前大統領補佐官に対する捜査の中止を要請したなどといったトランプ政権の醜聞が出ていますが、これについては来週にでも採り上げようと思っております。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。