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嵌められたトランプ大統領

ポイント
・トランプ大統領やその周辺から連日のように“醜聞”がメディアにリークされているが、いかにも嵌められているといった印象が強く、弾劾に向けた動きが進んでいるようだ。
・メディアにリークされている情報にはイスラエル絡みのものが多く、トランプ大統領も親イスラエル派や共和党系ネオコン派に脅されて身動きがとれなくなっているようだ。



トランプ大統領が弾劾されていく・・・・

 先週はこれまで述べてきたように、トランプ大統領やその周辺を巡る政治不安が一気に高まり、一時的とはいえリスク回避が急激に強まった。
 前週9日にドナルド・トランプ大統領がジェームズ・コミーFBI長官を電撃解任したのに続き、週明け15日にはワシントン・ポスト紙がロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談した際に、大統領が機密情報を漏洩したことを報じた。さらに翌16日には、2月13日にマイケル・フリン大統領補佐官がセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と対ロ制裁の解除を巡り交渉していたことが明るみになったことで辞任したが、その件をその後もFBIが捜査していたのをトランプ大統領がコミー長官(いずれも当時)にやめるように要請していたと報じられたことで急激に政治問題化していったものだ。
 こうした状況を受けて、ロッド・ローゼンスタイン司法副長官が特別検察官にロバート・モラー元FBI長官を指名し、これから疑惑の解明に向けて、また権力者層が当初から描いていると思われるシナリオに沿って、トランプ大統領が弾劾されていくのだろう。

 先週は米国だけでなく、国内でも森友学園に続き、安倍晋三首相周辺が関与しているとの疑惑が出ている加計学園の問題が高まった。また19日に実施されたイランの大統領選挙では穏健派のハサン・ロウハニ大統領が勝利したが、米国が核開発問題を再燃させて追い詰め、さらに軍事攻撃を意図しているなかで、これからどのような外交政策を展開していくかも興味深いところだ。
 このうち、イラン問題についてはいずれ採り上げるとしても、国内の加計問題については米国での問題とは異なり市場ではまったく材料視されていない。しかも、森友問題では安倍政権にそれほど打撃をもたらすことがなかったが、少なくとも現時点ではこの問題ではそれ以上に動揺することはないと見られているので、さしあたり、今回は詳しく考察することは見送ることにする。

 今回のトランプ政権を揺るがす政治スキャンダルについては、かつてのリチャード・ニクソン元大統領の辞任をもたらしたウォーターゲート事件を文字って「ロシアゲート」と名称されているが、いかにも嵌められているといった印象を拭えないものだ。
 ここにきて、フリン前補佐官がトルコから金銭を受け取り、バラク・オバマ政権(当時)に「イスラム国(IS)」の掃討作戦を延期するように求めていたといった疑惑まで出ている。連日のように、米政府高官や当局の関係者から内部情報がメディアにリークされるという異常な状態に陥っている。
 その背景には、政府内部にトランプ大統領やその腹心の偏狭なナショナリスト勢への不信感や不満が鬱積していることがあるといわれている。実際、各当局の高官のポストにはまだ空席のところも多く、オバマ前政権から引き継いでいる高官は現政権にかなり敵意を抱いていておかしくない。
 ただそれにしても、政府の内部情報を次々にリークするというのは「国家」を裏切る行為にほかならず、民間人以上にそうした規律が求められる高官クラスの公人がすることではない。敵対国による諜報工作員の仕業ならともかく、世界覇権国として一流先進国である米国の政治状況とはとても思えない。


情報漏洩の背後にイスラエルの影

 注目されるのは、米政府から漏れ出てくる内部情報の多くがイスラエル絡みのものが多いことだ。
 例えば、トランプ大統領がロシア側のラブロフ外相やキスリャク大使に漏洩した情報は、イスラエルが米国に提供した機密情報だったことが報じられている。イスラエルの情報機関(モサド)がつかんだISのテロ計画やその都市名といったことがいわれている。とはいえ、そもそもIS自体がイスラエル軍の士官によって率いられているなどそのコントロール下にあるだけに、果たしてそれが機密情報といえるのか定かではなく、実際に漏らしていたとしても“ガセネタ”である可能性を考えないわけにいかない。
 しかも、問題となる会談が行われた2日後の17日に、ウラジーミル・プーチン大統領がトランプ大統領はこの時、ラブロフ外相に秘密は伝えていないと述べたうえで、その時の会話の録音を渡すことができると表明している。そこで米国側がそれを渡すように求めてもロシア側がそれに応じないのでプーチン大統領が“デタラメ”を述べたといったことがいわれているが、実際には米国のある権力機関からロシア側にそれを出さないように要請されているといった話も出ている。
 いずれにせよ、この時、本当に機密情報を漏洩したのかどうかも含めて、トランプ大統領が嵌められている可能性が極めて濃厚である。

 イスラエル絡みの情報がリークされている背景には、敬虔なユダヤ教徒であるジャレッド・クシュナー上級顧問が意図的にそれを防がずに放置していることによるところが大きいようだ。
 それによりトランプ大統領とクシュナー顧問との関係が険悪な状態になりつつあるようだが、いかに顧問が自身の娘婿であっても容易に解任できないのは、親イスラエル右派や共和党系新保守主義(ネオコン)派に脅されて身動きがとれなくなっている状態にあることをうかがわせるものだ。いかにも、かつてのロナルド・レーガン大統領やジョージ・W・ブッシュ大統領は親イスラエル的で軍需産業系の“殺し屋”に脅されて身動きが取れなかったが、それと同じ運命をたどりつつあるといえる。
 ただ、両大統領ともにジョン・F・ケネディ大統領のように任期中に殺されたり、ニクソン大統領のように辞任せざるを得なくなることはなかったが、トランプ現大統領は殺されることはなくても辞任を余儀なくされることは十分あり得る。
 それはトランプ政権の成立が、“同床異夢”の関係にある米ロックフェラー財閥と欧州ロスチャイルド財閥が一時的に妥協したことによる“産物”であることと深く関係している。


 明日は今日の続きを掲載します。
 週末となる明後日はこの問題の背後で暗躍している米国の諸勢力や二大財閥の利害や思惑について考察します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。