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来夏以降の中国危機の再発とエクソン独り勝ちの構図

ポイント
・中国はこれまでベネズエラを筆頭に多くの新興国に簿外で巨額の融資をしてきたため、その相手国がデフォルトに陥るとそれが焦げ付くことで中国経済も危険な状態に。
・昨年3月にかけてPDVASAの社債の償還問題からベネズエラの国債まで連鎖的にデフォルトに陥る危険性が高まり、中国への波及を恐れて上海密約が結ばれた経緯がある。
・原油相場が崩落すれば米国内のシェール業者も苦しい状態になるが、それにより一段と整理淘汰が進むことで競争力が強化され、エクソンモービルはその最大の勝者に。
・来夏以降、原油相場が崩落すると信用収縮が強まり中国では人民元安圧力が強まり、外貨準備の払底懸念が高まったり、それを放置すると簿外の外貨建て債務の実質負担も激増へ。



融資債権の焦げ付きで中国経済も危険な状態に

 中国はこれまで、「新興国の“親分ヅラ”」をして、ベネズエラ向けを筆頭に多くの新興国に途方もないほどの巨額の融資をしてきたため、その相手国が債務不履行(デフォルト)に陥ると融資債権が焦げ付かざるを得ない。
 その融資案件の多くは国際決済銀行(BIS)に報告されておらず、完全に「簿外(オフバランス)」の状態にあり、実際にどの程度の融資が行われてきたか、見当がつかないほどだ。しかも、そのほとんどすべてがドル建てで行われてきたため、信用収縮から対米資金還流が進んでドル高が進行すると、それだけ相手国がデフォルトに陥る危険性が高まることになる。
 特に中国はアラビア半島を上回る世界最大の埋蔵量を誇るとされるオリノコ川流域の油田地帯での利権を握ることを目論んでベネズエラに巨額の融資をしてきただけに、極めて危険な状態に陥る危険性が高い。

 昨年3月頃にかけて、原油相場が下げたことで、米国のシェール企業が発行していた高利回り(ハイイールド)の社債の償還問題が高まったが、この時に米国で発行していたベネズエラの国営石油会社(PDVSA)の社債の償還問題が最も危険視されたことが想起される。この社債がデフォルトに陥るとベネズエラの国債そのものの信用不安に発展して連鎖的にデフォルトになりかねず、それにより中国経済も極めて危険な状態になりかねなかったのである。
 それに先立つ2月26~27日に中国・上海で開催された主要20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の際に、円高誘導による「上海密約」の裏合意が締結された直接的な目的が、中国経済が危機的な状態に陥るのを回避するためであったものだ。


米国では一段と整理淘汰が進んでエクソンは最大の勝者に

 いうまでもなく、原油相場が30ドル台に、さらにそれをも下回って20ドル台や10ドル台に崩落していけば、米国のシェール業者も苦しい状態に置かれることになる。
 ただ、これまで米国では原油価格が安値低迷の状態が続いたなかで、脆弱なシェール業者が淘汰され、採掘コストが低く競争力が強い他のシェール業者に吸収されていき、また掘削技術も以前に比べて進歩している。今では新興のパーミヤン地区では採掘コストが20ドル台にまで低下しているといわれているほどであり、また特にロックフェラー財閥直系で世界最大の石油資本であるエクソンモービルが極めて競争力を強めている。
 おそらく来年夏以降、原油相場が崩落することで米国で再びシェール業者の淘汰が進めば、“勝ち組”となる業者は一段と競争力を強めていくだろう。特にエクソンは“最大の勝者”として、原油相場が大底を入れて上昇基調に転じると飛躍的に拡大路線を邁進して業績を伸ばしていくことになるだろう。実際、これまでの石油業界の再編の歴史とはこうしたものであったものだ。
 ベネズエラのオリノコ川流域の油田地帯も、デフォルトに陥ることで“超破格”の安値で買収されることで、エクソンによって利権を握られていくのだろう。


中国危機で強権支配が強まれば「新冷戦」体制の構築に好都合

 中国では信用収縮が進んで非常に苦しい状態に陥らざるを得なくなり、資金流出による人民元安圧力に抗して強力に人民銀行が防戦買いを続ければ、外貨準備が払底する危険性が現実味を帯びかねない。かといってある程度の元安傾向を容認すれば、多くの民間企業が抱える表面的な、さらには国有企業が抱えている簿外での巨額の外貨建て債務の実質負担が増すことで、別の観点から苦しい状況に陥ることになる。
 こうした状態では「一帯一路」構想を推進するどころではなくなるため、米ロックフェラー財閥としては欧州ロスチャイルド財閥の野望をくじくことができる。また中国国内では既に習近平国家主席が専制権力体制の基盤を固めているなかで、民衆の暴動その他の動揺を抑え込むために強権的な性格を強めておかしくない。そうなれば、中国を相手に「新冷戦」構造を構築しようとしている軍需産業系としては、同国を「悪の帝国」と呼んでそうした体制を強めていくのに好都合である。
 中国を筆頭に新興国不安が高まり、米国でも割高な株価が崩落していくと見込まれるなかで、米国主導で世界経済成長を牽引していくには大規模な軍需の創出は不可欠である。


 今週はいつもより1日多く、明日も掲載します。
 明日は米国がパリ協定を離脱する本当の意味について簡単に考察します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。