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決算発表後に微妙な水準に落ち着いたナスダックと今後の展望

エヌビディアの予想を上回る好決算で急伸後、米国株は早くも失速

 先週は21日の引け後に発表された人工知能(AI)向けの半導体を供給しているエヌビディアの23年11月-24年1月期の決算の内容が注目され、もとよりかなりの好決算になることが見込まれていたなかで、結果はそれをさらに上回るものになった。
 それを受けて、発表後に最初に取引が行われた翌22日の東京市場では、東京エレクトロン株はじめ半導体関連株主導で日経平均株価が前日比800円を超える急騰劇になって一気に3万9,000円台に乗せるとともに、89年12月29日の大納会以来、実に34年2カ月ぶりに史上最高値を更新した。その後のニューヨーク市場でもハイテク株主導で急伸してナスダックが同460ポイント高となり、景気敏感株や主力株も追随高になってダウも同450ドル超も上昇して前週初12日以来の最高値の更新となった。
 ただ翌23日には日本では休場だったなかで、米国株は続伸して寄り付いたものの、早くも失速してダウの上昇幅は同60ドル超にとどまり、ナスダックは安値引けした。


展開の主導権を握る投機筋はエヌビディアの決算内容を事前に知っていた?

 決算が発表される21日まではエヌビディア株主導でハイテク株は短期志向のヘッジファンド主導で軟調な展開になり、特に発表直前の21日には相応に売り込まれたものの、引け際に一転して買い戻しに動いたことから急速に切り返し、発表後の翌日の急伸劇につながっていった。
 市況が下げていた際には決算内容への不透明感が警戒されて買玉整理の動きが先行したといったことが当然のことのようにいわれたが、こうした推移を振り返ると、展開の主導権を握る短期志向の投機筋がその内容を事前に知っていた感が拭えない。発表されるまでに売り仕掛けて提灯売りを誘っておき、その直前に自身のポジションを途転買いにしておいて、発表後に踏み上げを狙っていたことは容易に推測されるものだ。
 こうした投機筋は短期志向といえどもユダヤ系大手金融資本につらなるため、もしかしたら発表された決算内容についても実態よりさらによく見せていたのかもしれないが‥‥。


先行きを占う重要な分岐点となるナスダックの史上最高値の更新問題

 先週の当欄ではエヌビディアの決算の内容が今後の展開を占ううえで極めて重要であると述べたが、それはダウやS&Pが史上最高値を更新しているなかで、ナスダックだけがまだその水準に達していなかったからだ。
 最近では相関関係がかなり薄れたが、少し以前までは長期金利が下がると成長(グロース)株が積極的に物色されることで、主にハイテク株で構成されているナスダックが上昇する傾向が強かった。新型コロナウイルスの感染症対策として米連邦準備理事会(FRB)がリーマン・ショックによる金融危機対応を上回る強力な金融緩和策を推進したことで、当時はグーグル(親会社はアルファベット)、アップル、フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトから構成されていた「GAFAM」のハイテク5銘柄(今ではこれにエヌビディアとテスラを加えた「マグニフィセント・セブン」の方が一般化しているが)主導でナスダックが急激に高騰した。それによりダウがまだそれほど上昇していなかったなかで、ナスダックが21年11月19日にザラバで1万6,121ポイント(引値では1万6,057ポイント)と当時としては異様な高値をつけた。
 今回は特に年明け以降、FRBの早期利下げ観測の後退とともに米国経済のソフトランディング(軟着陸)観測をテーマに株高が進んできたなかで、景気敏感株の性格が強いダウが容易に最高値を更新しているのに対してナスダックはなかなかそれに到達しなかった。しかし今回、エヌビディアの決算発表を機にナスダックもそれに成功すれば「異市場間のダイバージェンシー」が成立しないことで株価には強力な“強気サイン”が点灯するのに対し、成功しなければそれが成立するためにこれから大規模な調整に見舞われる公算が高まるとされているため、大いに注目されたのである。


更新したか微妙なところとなりダマシになる可能性が高い?

 ところが、エヌビディアの決算では予想をさらに上回る高収益の計上や業績見通しが発表されたものの、ナスダックは最高値の更新をしたか――すなわちダイバージェンシーが成立するか否か微妙なところに落ち着いた。発表されるまでに警戒感から調整売りが出て下げていたこともあり、発表直後の22日にはナスダックは急上昇して1万6,000ポイントの大台に乗せたものの、ザラバ、引値ともに最高値までには達しなかった。その翌23日には当初、続伸してザラバでは最高値を更新したものの、その後地合いが悪化して大台を割ってしまい、引値では依然としてそれに成功していない。
 これをどのように解釈するかだが、再び上昇して引値でもそれを更新すれば問題ないものの、更新できなければザラバで一時的にそれを超えたのは“ダマシ”になってしまい、ダイバージェンシーが成立する可能性を考える必要が出てくる。前週末23日の市況の動きを見る限り、引値では最高値の更新に失敗する可能性について真剣に考慮すべきだろう。


米株安なら日本株も調整入りだが米国株ほど下がらないのでは?

 その場合、日経平均が34年ぶりに最高値を更新したものの、当然のことながら日本株も相応の調整局面を迎える公算が高まることになる。これまで、半導体関連株を中心に外国人投資家が物色していた主力株に偏重して高騰してきたなかで、国内勢が幅広く買ってこないと上昇圧力が途切れることになる。実際、株高の動きとは裏腹に実体経済は直近で2四半期連続でマイナス成長を記録しているだけに、ひとまず相応の調整局面に移行しておかしくないだろう。
 ただその場合でも、日本経済は90年代にバブルが崩壊して以降、慢性的なデフレ傾向を脱して投資や消費活動が活発になりやすいインフレ体質に転換したことや、米中間での新冷戦構造を迎えて国際地政学的な面でも日本に有利な情勢になっているため、米国ほど深刻な調整局面に陥ることはないと予想している。


 明日からは、来年初頭にトランプ政権が再登板することが現実味を帯びてきたなかで、先日、その政権公約集とでもいうべき「アジェンダ47」が公表されたので、そこから次期米政権の性格について考察します。
 初日の明日は、トランプ政権が打ち出すと予想される政策を挙げて、それがどのような影響をもたらすかを予想します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。