記事一覧

先週の動き・・・・リスク回避もイベント通過して選好に回帰の兆し

ポイント
・8日に重要なイベントが重なったなか、それを織り込む形でややリスク回避が強まったが、それを過ぎるとリスク選好に回帰する兆しを見せた。
・ドル・円相場は8日のイベントを控えて保合いを下放れたが、それを過ぎるとそのレンジ内に回帰しつつあり、“ダマシ”を形成するか注目される。



 先週の国際金融市況は前半にリスク回避の様相がやや強くなったが、後半になるとリスク選好の地合いに回帰する兆しを見せた。
 週初5日にサウジアラビアはじめ中東5カ国がカタールと国交断絶に踏み切ったことや、8日の英国での総選挙に加え、米国でもジェームズ・コミー前連邦捜査局(FBI)長官の議会での公聴会を控え、警戒感からややリスク回避が強まった。それにより米長期金利が一段と低下して10年債利回りが6日には2.15%を切ったなか、米国株も週初2日間でダウが前週末比70ドルほど下げた。
 しかし、コミー前長官の証言が終わると警戒感が払拭されたこともあって米国株は安定感を取り戻し、ダウは8日以降には再び史上最高値を更新する展開になって週末9日には前日比80ドル近く上げた。

 日本株は円相場に左右されて米国株より値動きの大きな展開になった。中東での地政学的リスクに加えて8日の重要な複数のイベントを控えて、6日にはリスク回避による円高も加わって日経平均が前日比190円安になって2万円を割り、8日も同75円安になった。しかし、そのイベントを過ぎた週末9日には円安とともに同100円超ほど上伸し、2万円台を回復した。

 外国為替市場ではリスク回避から円高が進んだ後、週末にはその揺り戻しになった一方で、週後半にはユーロ安も進んだ。
 ドル・円相場は1ドル=110円台で始まった後、中東での地政学的リスクや8日の相次ぐ重要なイベントを控えてリスク回避から円高圧力が強まり、6日の東京市場ではそれまでの保合い下限を割り込んで、7日のロンドン市場では109円10銭の安値をつけた。
 しかし、それを過ぎるとリスク回避ムードが後退して値を戻し、さらに英国での選挙結果を受けたユーロ安圧力がドル高圧力をもたらしたことも加わり、8日に110円台を回復して週末9日のニューヨーク市場では一時110円80銭に達した。

 ユーロ・ドル相場は週前半から半ばにかけて、1ユーロ=1.12ドル台での高値圏での推移が続いた。その後、8日の欧州中央銀行(ECB)理事会でインフレ見通しが引き下げられたことや、現行の量的緩和策の縮小に向けた議論が行われなかったことが明らかになったことからユーロ安圧力が強まりだした。
 さらに、英国での総選挙の結果を受けた急激なポンド安圧力がユーロ安圧力をもたらしたこともあり、同日のニューヨーク市場で1.12ドルを割り、週末9日のロンドン市場では1.116ドル台まで下げた。


ドル・円のダマシが成立するかどうかに注目

 ドル・円相場は4月末以来、上値を1ドル=114円台前半、下値を110円台前半とするレンジ内での推移が続いたが、先週6日にこれをいったん下放れた。しかし、すぐにその2日後にレンジ内の水準を回復していきつつあり、それが実現すれば一時的に下放れたことが「ダマシ」になり、強力な「強気サイン」が点灯することになる。
 ただ、週末9日にはいったん110円80銭まで上昇してからやや上ヒゲの長い形状で引けるあたり、まだ完全に実現したとはいえない。先週のECB理事会や英国の総選挙、コミー前FBI長官の議会証言を経過したことで、週明け以降、13~14日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を織り込む展開になれば、それが実現することになる。

 今週のFOMCでは利上げが決まるのは既定路線であり、9月の追加利上げや12月の連邦準備理事会(FRB)のバランスシートの縮小開始の決定を市場が十分に織り込んでいないなかで、声明文やジャネット・イエレン議長の会見の内容が焦点になる。
 その内容がどのようなものになっても、いずれ市場がそれを織り込んでいくうえで、外為市場の主役がしばらくはユーロ高からドル高に交代していくことが見込まれる。それによる円安の進行とともに、主要国の中で最も出遅れていた日本株はかなりの上昇余地が見込めそうだ。


 今週は、明日はECB理事会の結果について簡単に検証したうえで、明後日は英国の総選挙の結果を、その翌日にはサウジアラビアはじめ中東各国がカタールと断交したこと、そして週末にはイランでのテロ事件について考察していきます。
 よろしくお願いします。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

17894176

Author:17894176
永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。