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イランでのテロ事件の背後に黒い影

ポイント
・イランでのテロ事件はワッハーブ主義思想に感化された人物の犯行だとしても、それが組織立って行われたあたり、革命防衛隊や秘密警察にモサドが潜入していた可能性も。
・今回のテロ事件を受けてイラン国内では保守強硬派が米国やサウジを批判し、それに民衆が乗らされているが、それによりハメネイ師にとっては不都合な事態になりつつある。
・ロシアゲート問題でトランプ大統領が追い詰められつつあるが、大統領周辺とイスラエルとの関係を考えると、弾劾されたり辞任するとしたらイラン攻撃の後になるのではないか。



一貫した戦略に基づいて行われたと思われるテロ事件

 今週の最後に、先週7日に起こったイランでのテロ事件について少し考察する。このテロ事件は首都テヘランの国会議事堂とその郊外のルーホラー・ホメイニ師の墓廟で銃撃が起こったものであり、17人が死亡したとされる。
 テロ事件が起こるとすかさずイスラム国(IS)が犯行声明を出している。実際に実行犯はイラン南部出身のスンニ派アラブ人であり、サウジアラビアに渡って同国の国教である原理主義的なワッハーブ派に感化されていたという。

 ただ、イランでは革命防衛隊を中核とする秘密警察部隊がしっかり監視していることもあり、中東で最も治安が良いとされることはよく知られている。そのイランで今回のテロ事件が起こったあたり、いかに同国南部出身で同国籍のスンニ派アラブ人の犯行であるとしても、それが組織立って行われたあたり、革命防衛隊や秘密警察にイスラエルの諜報員(モサド)が潜入していた可能性を考えないわけにいかない。
 それがサウジとカタールとの断交の2日後に起こり、さらにそれらが時期的にドナルド・トランプ大統領がサウジやイスラエルを訪問した直後であることを考えると、これら一連の出来事や事件はつながっており、一貫した戦略に基づいて行われている可能性を考えないわけにいかない。


イランの最高指導者にとって不都合な状況に

 このテロ事件を受けて、イラン国内ではその背後にサウジや米国がいるとの「本当の」見方が強まり、保守強硬派主導で両国を批判する声が強まりつつあることで、米国やイスラエルにとっては“思う壺”になりつつある。
 実は、こうした状況は最高指導者であるアリ・ハメネイ師が最も恐れる事態である。ハメネイ師はこれまで、表面的には保守派を支持する言動を続けながら、裏側では“危険な”改革派の人物を大統領選挙で出馬を禁じる一方で、かつてのムハンマド・ハタミ元大統領、そしてロウハニ現大統領のような穏健で安心できる候補者を密かに当選するように仕向けてきた。そうすることで米国が攻撃する名分を与えないようにし、また外交問題評議会(CFR)系が主導権を握ったバラク・オバマ前政権下では核開発問題を和解の方向に進ませ、国際的な経済制裁を解除させてきた。
 そのハメネイ師にとって、革命防衛隊出身のマハムード・アハマディネジャド前大統領は最も危険な人物であるように映っていたようだ。今回、テロ事件が起こったのを受けて、おそらくモサドの工作から保守強硬派がサウジや米国を批判する姿勢を強め、それに多くの民衆が扇動されて“乗せられてしまい”、それに押されてハメネイ師も乗らざるを得なくなっているあたり、同師にとってはかなり不都合な状況になりつつあるといえるだろう。


現米大統領の辞任・弾劾はイラン攻撃の後か?

 トランプ大統領が任期途中で弾劾されたり辞任せざるを得なくなり、いずれ共和党系新保守主義(ネオコン)派が推しているマイク・ペンス副大統領が次期大統領に昇格するとしても、それはイランを攻撃した後のことになるのではないか。それまではイスラエルと十分に連携して動く必要があるが、それには娘婿であるジャレッド・クシュナー上級顧問の存在が重要になってくるからだ。

 8日に行われた上院情報特別委員会での公聴会では、ジェームズ・コミー前連邦捜査局(FBI)長官は自身を解任した政府側の理由は明確に「嘘」であることや、ロシアが大統領選挙に干渉したのは間違いないこと、トランプ大統領の言動が信用できないのでメモをとっていたことを明らかにした。
 しかし、トランプ大統領が自身に要求してきたことが司法妨害に当たるかははっきりと述べなかったが、これはロバート・モラー元FBI長官を特別検察官とする捜査が動き出しているなかで、重要な証言や資料はそちら側を優先するので当然である。モラー検察官の捜査は数カ月から数年を要すると言われているだけに、少なくともそれまではトランプ大統領は現職のままでいられることになり、またイスラエルとの密接な関係も続くことになりそうだ。


 今週はこれで終わりになります。
 来週はこれまでと同様に19日月曜日から掲載していきます。
 FOMCで重要な政策決定が行われ、それが今後の市況に大きな影響を及ぼしつつあるのでその件が主体になるかとは思いますが、よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。