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先週の動き・・・・FOMCを控えてドル安後に決定を受けてドル戻す

ポイント
・FOMCではかなりタカ派的な政策決定が行われたが、市場ではその実効性に疑問符がついており、ドル高圧力が鈍く米長期金利も2.1%台で低迷した状態が続いている。
・ドル・円相場はFOMCを控えてダメ押しになった後、政策決定後に鈍いながらもドル高に転じてかつての保合い圏内に回帰しており、それ以前の下放れがダマシになりつつある。



 先週の国際金融市況は13~14日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の動向が大きな焦点になったなか、おおむねリスク選好の地合いが続いて株価が底堅く推移した。
 米株価は週初12日には前週末9日にナスダックが急落した余波でハイテク株の軟弱な動きに影響されたが、すぐに本来の地合いに回帰した。
 FOMCではかなりタカ派的な決定が行われたが、市場では米連邦準備理事会(FRB)の思惑通りに金融政策を運営していけないとの見方が支配的ななかで、米長期金利も週央には一段と低下して10年債利回りで2.1%台に一段と低下したことからそれほど圧迫要因にはならなかった。
 それにより、ダウは12日と15日を除いて史上最高値を更新する展開が続いた。

 日本株は週初12日にハイテク株主導の軟弱な地合いから日経平均が前週末比100円超下げて再び2万円を割り、15日もFOMCでのタカ派的な政策決定にもかかわらず、複数の低調な米景気指標の発表を受けたドル安(円高)から前日比50円超ほど下落した。
 ただ翌日の週末16日には、日本銀行(日銀)の金融政策決定会合後の黒田東彦総裁の会見を背景とする円安から同110円超ほど反発した。

 外国為替市場ではFOMCの政策決定もあって比較的大きな値動きになった。
 ドル・円相場は週前半には1ドル=109~110円台で推移した後、14日のニューヨーク市場では米消費者物価指数(CPI)や小売売上高が前月や事前予想を下回る低調な内容だったことからドル安圧力が強まり、108円80銭台に突っ込んだ。
 しかし、その直後のFOMCで打ち出された政策決定が極めてタカ派的な内容だったことから一転して切り返し、翌15日にはフィラデルフィア、ニューヨーク両連銀製造業景況指数が予想を上回る好調な内容だったことから一段高になった。
 週末16日の東京市場では、日銀の黒田総裁が会見で出口のことより2%の物価目標の達成を優先する姿勢を示したことで、現行の量的緩和策がしばらく続くとの観測から円安圧力が強まり、111円40銭まで上昇した。しかし、ニューヨーク市場では米住宅着工件数やミシガン大学消費者信頼感指数が低調な内容だったことから110円60銭台まで軟化した。

 ユーロ・ドル相場は週前半には1ユーロ=1.12ドル前後で推移した後、14日のニューヨーク市場では米CPIや小売売上高の発表を受けて1.13ドル近い水準に上昇したが、FOMCの結果を受けて反落していった。
 さらに翌15日のニューヨーク市場では、複数の地区連銀景況感指数の発表を受けたドル高圧力から1.113ドル割れまで一段安になったが、週末16日には複数の米景気指標の低調からやや戻した。


ドル売りの踏みが出てドル高に弾みがつくことも

 FOMCでは非常にタカ派的な決定が行われたのを受けて外為市場ではドル相場が上昇しているが、それほどドル高圧力が強まっているわけではなく、長期金利もやや上がっているとはいえ依然として2.1%台で低迷している。市場では、FRBは想定通りに利上げやバランスシートの縮小に向けた措置を打ち出すことができないとの見方が根強いようだ。
 しかし逆に言えば、市場では既にそうしたことが織り込まれているため、FRBがシナリオ通りに政策運営を進められなくても、信用不安が引き起こされるなどしてリスク回避から円高圧力が強まるといったことがない限り、中長期的にドル安圧力が強まるともいえない。むしろ、本当に今回のFOMCで打ち出された通りの政策運営が推進されていけば、かなりドル高圧力が強まるリスクを想定しておくべきだろう。

 通常、相場というものは市場で売り人気が根強い場合には思うように下がらないものであり、何かのきっかけで踏み(売り方の損切り)が一気に出て急騰することが多く、そうした安値因果玉が整理されるまでは上昇圧力が止まらないものだ。
 気になるのは、テクニカル的にドル高に向かう“サイン”が点灯しつつあることだ。例えばドル・円相場の場合、5月半ばから1ドル=110~111円台での保合い状態が続いたが、6日にこれを下放れた。その後、この保合い圏内への復帰を試す局面になった後、14日にはFOMCでの政策決定の発表を控えて“ダメ押し”になった。ところがその政策決定を受けて、上昇圧力が鈍いながらもかつての保合い圏内に回帰しつつある。それによりいったん下放れたのが“ダマシ”になるため、今度は上放れる公算が高まることになり、そうなると踏みが出ることで上昇圧力に弾みがつくだろう。


 今週は徹底的にFOMCでの政策決定の検証や分析を行ったうえで、それをもたらした政治的な環境を踏まえたうえで、その背後の米権力者層の戦略について考えます。
 まず、明日は今回の決定内容を概観し、明後日はどうしてFRBが利上げやバランスシートの縮小を急いでいるのかを考えます。そのうえで、週後半には今回の政策決定の背後の大手金融資本の意向や、さらにその背後の権力者層の意向や戦略を考察することで、今後の展開を大まかに展望してみます。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。