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先週の動き・・・・米追加利上げ観測の後退によるドル安、リスク選好の動きを継続

ポイント
・米追加利上げ観測の後退によるドル安やリスク選好の動きが続いたが、週末には良好な米雇用統計の発表から一気にドル高に振れた。



 先週の国際金融市況はリスク選好が根強い状態が続いた。米株価は米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測が後退していることや主力企業の好決算から週を通して上昇し続けた。
 1日には米供給管理協会(ISM)製造業指数や自動車販売が、3日にはISM非製造業指数が事前予想を下回り、追加利上げ観測の後退に拍車をかけたことが支援要因になった。また週を通しておおむね主力企業の好決算の発表が続いたが、特に2日にはアップルの発表がかなり好感された。週末4日には米雇用統計が良好な内容になって一気にドル高に振れたが、米株価はゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長が税制改正案の提出に積極的な姿勢を示す発言をしたことから、それまでの地合いを継続して底堅く推移した。
 それによりダウは先週も週を通して上昇して連日、史上最高値を更新し続け、週央2日には2万2,000ドル台に乗せた。

 日本株は米利上げ観測の後退による円高(ドル安)から上値の重い展開が続き、日経平均は2万円を挟んで一進一退の展開が続いた。
 週初31日には前週末からかなり円高に振れたが、日本銀行(日銀)による上場投資信託(ETF)買いに支えられて下げ幅が圧縮された。週央2日には米アップルの好決算が国内企業にも恩恵を及ぼすとの期待から前日比90円以上も上げたが、その後週末2日間は円高から軟調な展開になった。

 外国為替市場では週末4日のニューヨーク市場を除き、米利上げ観測の後退からドル安含みの展開が続いた。
 ドル・円相場は米国で前週末28日のラインス・プリーバス大統領首席補佐官に続き、週初31日にもアンソニー・スカラムッチ広報部長が更迭されたことから、ドナルド・トランプ政権の動揺が嫌気されてドル安に振れた。翌1日には複数の低調な米景気指標の発表から一段とドル安が進み、ニューヨーク市場では一時的に1ドル=110円を割った。
 2日にはアップルの好決算によるリスク選好の状況から東京市場で111円近い水準に戻したが、3日には再び低調な米景気指標の発表が嫌気されて109円80銭台に沈んだ。しかし、週末4日のニューヨーク市場では米雇用統計の発表やコーンNEC委員長の発言を受けて一時111円超に上伸した。

 ユーロ・ドル相場も米利上げ観測の後退によるドル安圧力から週央にかけて一段高になった。
 週初31日はトランプ政権の動揺からニューヨーク市場で1ユーロ=1.18ドル台に上昇し、翌1日には4-6月期のユーロ圏域内総生産(GDP)成長率の発表を受けてその水準に定着した。さらに2日のニューヨーク市場ではアップルの好決算の発表を受けたリスク選好から一時1.19ドル台に達したが、トランプ大統領がロシア制裁法案に署名したことでリスク回避から上値を抑えられた。
 週末4日のニューヨーク市場では米雇用統計の発表やコーンNEC委員長の発言を受けて一気にドル高圧力が高まったことから1.17ドル台前半に急落した。


ドル・円は三点底を形成して底入れか

 ドル・円相場は米雇用統計の発表を受けて急伸したが、それでも1ドル=111円台に瞬間的に乗せただけですぐに押し返されているあたり、まだ上昇傾向に転じたとはいえない。テクニカル的には4月17日に108円13銭、6月14日に108円84銭と2回にわたり108円台の安値をつけているだけに、三点底(トリプル・ボトム)を形成して底入れするとすれば、まだ目先的にはもう少し下値余地を残している可能性が高い。
 直近の1年サイクルは英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)が決まった昨年6月24日の99円の安値から始まっており、「オーブ(許容範囲)」を考えれば、底入れの時期が8月中まで延長されている可能性がある。その場合、三転底をつけずにさらに一段と崩落していくこともあり得なくはないが、その可能性は小さいだろう。
 基本的には、9月19~20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBのバランスシートの縮小開始の決定に加えて、声明文やジャネット・イエレン議長の会見を機に12月の追加利上げ観測が再燃することで上昇傾向に転じるシナリオが最も現実性が高いだろう。あるいは、それに先立つ今月24~26日の米ジャクソンホールでのカンザスシティ連銀主催の講演会で、イエレン議長やスタンレー・フィッシャー副議長がそれを匂わす発言をするかもしれない。


金ETF残高の減少傾向が意味するもの

 注目されるのは、金先物市場での上場投資信託(ETF)の残高が7月に入ってから減り続けていることだ。
 対照的に金相場自体は最近の米追加利上げ観測の後退によるドル安傾向から堅調に推移しており、ETF残高の減少傾向と反する動きになっている。ただ、このETF残高の推移は相場実勢と連動することが多いが、先行して動くこともあり、その時には異なる動きを示しておかしくない。
 おそらく、足元で金相場が上昇しているのは買い戻しや小口の商品ファンド系が買っていることによると思わる。ゴールドマン・サックスのような金市場でも活発に参入していながら金融市場でも主導権を握っている大手投機筋は、短期的に買い煽って“提灯買い”を誘っておきながら、高値で売り場を探っているのだろう。


 今週は、明日は先週末に発表された雇用統計の検証を簡単にします。
 明後日以降は最近、北朝鮮問題や通商問題で米国が中国に対して再び圧力を強めており、また中国では北載河会議が開催されているなかで、中南海を巡る権力闘争が米欧二大財閥の代理戦争のような性格を帯びていることを考えていきます。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。