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北朝鮮問題の背後に米系財閥とロシアとの提携の動き

ポイント
・今回の米国と北朝鮮との関係を緊張化させたのは、この問題を利用して中国に通商面で圧力を強めていた欧州系財閥による可能性が考えられるが、中国が非常に微妙な時期にある状況でこうした動きに出ることは道理に合わない。
・米系財閥は共和党系ネオコン派を押し立てて中国を相手に「新冷戦」構造を構築しようとしており、そうした観点で見ることが必要だ。
・かつて、キッシンジャー元国務長官は旧冷戦時代にソ連と対峙するにあたり中国と提携したが、今回は中国と対立していくにあたりロシアと提携する戦略に動いており、それによりクリントン元国務長官ではなくトランプ現大統領が擁立された。



欧州系財閥による動きとは考えにくい

 どうしてここにきてドナルド・トランプ大統領が軍事衝突に踏み出そうとする姿勢を強めるほど北朝鮮に対して強硬な姿勢を見せるようになったかというと、まず一つ考えられるのが欧州ロスチャイルド財閥の意向が働いている可能性があることだ。
 これまで当欄で何回も指摘してきたことだが、この欧州系財閥は当初、習近平国家主席が提唱している「一帯一路」構想に相乗りし、中国が保有している豊富な外貨準備を利用してユーラシア大陸で巨大な経済圏の構築に向けて動こうとしたが、中国が天文学的な債務を抱えていることが明らかになったのでひとまずそれを諦めた。
 そこで米ロックフェラー財閥と提携してトランプ政権の成立に動き、大統領の保護主義的な姿勢を利用して人民元相場を崩落させながら、中国に対して通商問題で特に国際会計基準の導入や資本取引の自由化を受け入れさせようとしている。それにより国有銀行や代表的な国有企業を次々に買収していき、中国そのものを“乗っ取った”うえでユーラシア経済圏の構築に向かおうというわけだ。
 北朝鮮問題を煽っているのも、中国が体制の崩壊は絶対に受け入れられないことを承知のうえで原油の供給の抜本的な停止その他の要求を強めることで、水面下での通商交渉で中国側に大幅に譲歩させようとしている。ここにきてトランプ大統領が戦争状態に踏み出すほど強硬姿勢を見せるようになったのも、通商その他の市場開放問題で中国側が一向に譲歩しない姿勢に転じたのを受けたものとする見方には、それなりに説得力があるだろう。

 とはいえ、中国では最近、現役の幹部と引退した長老が河北省の避暑地に集まって会合する北載河会議が行われており、今秋には5年に1度となる幹部人事が決まる重要な共産党大会の開催を控えて身動きが取れない状態にある。そうした状態にあるところに、米国側が交渉で大幅な譲歩を受け入れるように強要する目的で動くというのも道理に合わない話である。
 そもそも、今回のトランプ政権で主体的に動いており、北朝鮮をも操っているのは共和党系新保守主義(ネオコン)派であり、欧州系財閥とは肌合いが異なるはずだ。


共和党系ネオコン派や米系財閥の視点で見ることが必要

 では、中国が身動きが取れない時を見計らって共和党系ネオコン派が何を目論んでいるのかというと、結論から先に言えば、北朝鮮をめぐる軍事的な均衡を米国に有利な状況に持ち込むことではないか。
 これまで、当欄では北朝鮮のミサイル発射と核武装化、米国との軍事的な対立は、多分に中国に通常の通商面だけでなく資本取引面も含む市場開放を求めるうえで圧力を強めるためのものであり、多分に“ヤラセ”的な性格が強く、本当は戦争をする気はないと主張してきた。しかし、ヤラセとしての“性格付け”を変える必要はないが、そうした通商交渉での圧力強化といった見方はあくまでも欧州系財閥の利害関係から見た分析結果に過ぎない。米共和党系ネオコン派や、そうした勢力に米政権で主導権を与えている米系財閥の利害といった視点で判断すると、異なる風景が見えてくる。

 米系財閥が欧州系財閥による提携の誘いに乗ってトランプ大統領を擁立し、01年の「9.11同時多発テロ事件」を機に「対テロ戦争」を推進したジョージ・W・ブッシュ政権以来となる共和党系ネオコン派に主導権を与えたのは、中国を相手に「新冷戦」構造を構築するためである。だからこそ、ブラックストーン・グループのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)を介して米系財閥が取り込んでいる習近平主席が、強権的な性格を強めて専制権力体制を強化し、その地位の終身的な永続化を実現しようとしているわけだ。
 その習主席をその地位に就けたのが、イスラエルやアジア極東で“根を張っている”特異な宗教勢力と密接な関係にある長老及び有力な共産党幹部であることを考えるべきだ。習主席が推進している秘密警察部隊を中心とする治安機関を駆使した強固な強権体制や、対外膨張政策を推し進めるうえでのイデオロギー面での基盤になっている「中華民族(帝国)の夢」を標榜しているのは、まさにこうした長老や幹部の強い影響力を考えないわけにいかないものだ。


「新冷戦」構造の構築に向けてロシアとの提携に動く

 中国を相手に「新冷戦」構造を構築していくにあたり、米共和党系ネオコン派は新興国で中国に次ぐ軍事大国であるロシアを同国から切り離して提携していこうとしている。中国やロシアという二大国を同時に敵に回すと、いかに米国は世界最強の軍事力を誇っており、ドル基軸通貨体制を維持していることで経済・金融面で攻撃を仕掛けることで深刻な打撃を与えることはできても、それでも厄介であることに変わりはないからだ。
 かつて「旧冷戦」時代に、ヘンリー・キッシンジャー大統領補佐官(リチャード・ニクソン政権)、国務長官(ジェラルド・フォード政権、いずれも当時)はソ連と対峙していくにあたり、中国を同国から切り離して日本とともに国交の樹立に動き、提携していくことでその封じ込めに動いた。今回は当時と反対の構図になってはいるが同じ発想による外交戦略であり、そこにキッシンジャー元長官やその系列の影響力を考えないわけにいかない。キッシンジャー元長官を頂点とする国務省官僚群は米外交問題評議会(CFR)系と提携し、親中国的でソフトな外交路線を推進する傾向が強かったが、米権力者層が共和党系ネオコン派に主導権を与えることにしたなかで、その意向に従って「中国封じ込め」に動いたのではないか。
 ウラジーミル・プーチン政権下のロシアと提携するにあたり、バラク・オバマ前政権下で民主党系ネオコン派がウクライナ問題で欧州と提携してロシアと激しく対立したので、同じネオコン派でも共和党系に主導権を交代させる必要があったのだろう。米系財閥が欧州系財閥の誘いに乗って、オバマ前政権末期に次期大統領にヒラリー・クリントン元国務長官からトランプ現大統領を擁立することに乗り換えた真因がそこにあったと考えられる。


 週末の明日も今回の続きを掲載します。
 明日は北朝鮮において米権力者層の意向を受けてロシアが果たしている役割について見ていきます。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。