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欧州系財閥主導での北朝鮮問題の本質と保護主義者の利用価値

ポイント
・欧州系財閥は当初、中国の外貨準備を利用してユーラシア経済圏を構築に向かおうとしたが、中国が天文学的な債務を抱えている実態が明らかになってきたことでひとまずそれを諦めて米系財閥と提携し、トランプ政権を成立させた。
・それにより欧州系財閥はトランプ政権の保護主義的な姿勢を利用して中国に対して種々の市場開放を強要してきたのであり、北朝鮮問題はその手段であってその限りでは軍事攻撃はあり得ないものだった。
・バノン前主席戦略官は退任にあたり、トランプ政権が軍需産業やゴールドマン、欧州系金融資本に乗っ取られつつあり、自身は後者に利用されてきたと“爆弾発言”をしたが、この発言はほとんど報じられていない。



中国そのものの乗っ取りを画策する欧州系財閥

 今回はこれまで採り上げたことではあるが、北朝鮮問題の本質が以前と最近とでは変わってきていることについて、巷間では誤解をしている向きが多いようなので、欧州ロスチャイルド財閥と米ロックフェラー財閥との利害関係や主導権争いの観点から体系的に考察していく。
 問題の本質が変わったことは、18日にスティーブン・バノン前首席戦略官・上級顧問が更迭されたことに象徴的に表れているものだ。またそこには、中国で北載河会議を乗り切ったことで、習近平国家主席が自身の終身的な専制権力体制の確立に向けてかなりメドが付いたことも影響しているようだ。

 まずこれまで当欄で何度も指摘してきたことだが、欧州系財閥は中国の国有銀行や代表的な国有企業を破格の安値で次々に買収していき、中国そのものを“乗っ取った”うえでユーラシア経済圏の構築に向かおうとしている。欧州系財閥は米系財閥による世界覇権に対抗するうえで、習近平主席が唱えている「一帯一路」構想に相乗りし、中国が保有している巨額な外貨準備による信用を利用して大規模なインフラ建設を推進していこうとした。
 しかし、中国が天文学的な債務を抱えている実態が次第に明らかになってきたことでひとまずそれを諦め、米系財閥と提携して「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を唱えているドナルド・トランプ大統領を擁立した。トランプ大統領の保護主義的な姿勢を利用して通商問題で圧力を強めることで、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の正常化に動いているのを背景に人民元相場を崩落させながら、中国に対して厳格な保有資産の時価評価を原則とする国際会計制度の導入や、内外資本による買収工作も容易に推進することができる資本取引の自由化を中国に受け入れさせようとしている。


北朝鮮問題はあくまでも手段に過ぎなかった

 そこでは、北朝鮮問題は通商問題で中国に圧力を強めるための手段に過ぎず、核武装化や米国にも届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を阻止することを名分とする軍事攻撃はあり得ないことになる。北朝鮮で主導権を握っている朝鮮人民軍は親イスラエル的な共和党系新保守主義(ネオコン)派に操られており、核・ミサイル問題で米国と激しく対立しているように見えるのは多分に“ヤラセ”なのだが、それを“脅し”だけにとどめようというものだ。
 北朝鮮の現体制が崩壊して韓国主導で朝鮮半島が統一されると親米的な核保有国が隣国に誕生したり、中国との国境に駐留米軍が展開したり、難民が大量に中国領域内に押し寄せて都市部に暴動が連鎖していき、首都北京にまで至る恐れが高まるだけに、中国としては絶対に体制を崩壊させることができない。それを承知のうえで中国に対して北朝鮮向けの原油の供給の抜本的な停止といった体制の崩壊につながる可能性が高いことを強要しながら、水面下での通商交渉で圧力を強めていたわけだ。


削除されて知られていないバノン前戦略官の“退任の言”

 バノン前戦略官は政権から離脱するにあたり「政権の外から支えていく」と述べたが、それは裏返せば、足元ではその反対勢力が重要な部分を占めていて身動きが取れない状態にあることをうかがわせるものだ。また、バノン前戦略官は中国に対して圧力を強めるにあたり、自身が欧州系財閥に利用されていることを理解し、その脱却を図ろうとした面もあったと思われる。
 バノン前戦略官は退任するにあたり、「トランプ政権は自分たちの“敵”である、二つの巨大なグローバリズム勢力に乗っ取られつつある」と指摘したうえで、「その二つの勢力とは国家安全保障会議(NSC)を牛耳るようになった軍需産業系と、経済政策面や通商面を押さえているゴールドマン・サックスやそれにつらなる欧州系金融資本であり、自分たちはそれに利用されている」と述べたという。
 ところが、この発言は紙上にはまったく掲載されておらず、米国の権力者層によって削除されてしまったようだ。


 明日は本日の続きとして、主導権が米系財閥に移行していき、それにより北朝鮮問題の本質が変わっていき、軍事攻撃もあり得る状況になってきたことを考察していきます。
 週末の明後日はそれに関連する要因として、中国での政治情勢について簡単に検証します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。