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米系財閥の中国向け戦略と北朝鮮問題の性格の変質

ポイント
・欧州系財閥とは異なり米系財閥は中国を相手に「新冷戦」構造を構築しようとしており、習近平に強権力を握らせて積極的に対外膨張路線を推進させようとしている。
・かつて、ソ連と敵対するにあたり中国と提携したキッシンジャー元国務長官が、今度は中国と対峙するにあたりロシアと提携していこうとしている。
・米系財閥が主導権を握ったことで北朝鮮問題が変質しており武力行使の可能性も出てきたが、同国を核保有国に認定することで日本はじめ周辺国を核武装化させることで中国を威嚇する選択肢もあり得る。
・北朝鮮が日本近海や上空にミサイルを撃ち込むのは、中期防衛計画を制定させて、特に韓国だけでなく日本にもTHAADを配備する狙いがある。
・中国では習近平が専制権力体制を強化していく流れになりつつあり、それに伴って日本を取り込むために戦前、日本の軍部が推進した「大東亜共栄圏」構想を評価する声が出ている。



中国を相手に新冷戦構造の構築を目指す米系財閥

 欧州ロスチャイルド財閥が中国の“乗っ取り”を画策しているのに対し、米ロックフェラー財閥は共和党系新保守主義(ネオコン)派主導で中国を「悪の帝国」に仕立てて「新冷戦」構造を構築し、それにより巨大な軍需を創出することで世界経済成長を牽引していこうとしている。
 かつて、ソ連を相手にした「旧冷戦」が終わった90年代に、情報技術(IT)革命の進行もあいまって、多国籍企業は中国の安価な労働力を利用したグローバル生産体制を構築してきた。しかし、近年では加工組み立ての生産工場が集積している中国沿海部で人件費が高騰し、また「世界の消費基地」である米国でもリーマン・ショックによる巨大な金融危機を受けて格差の拡大が顕在化し、中間層が没落したことで家計の購買力が低下したため、多国籍企業の収益力が鈍化してしまった。そこで新たな収益基盤を確立して世界的な経済成長を牽引していくにあたり、冷戦構造を再構築することで巨大な軍需を創出していく必要性が高まってきたのである。
 そこで米系財閥はブラックストーン・グループのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)を介して操っている習近平国家主席に強大な権力を握らせたうえで、「中華民族(帝国)の夢」を標榜させて積極的に対外的な膨張路線を推進させようとしている。これはあたかもかつて、ソ連のヨシフ・スターリンを米系財閥が操って“恐怖政治”を繰り広げることで旧冷戦構造が構築されたのと同じようなものだ。


ロシアとの提携を目指すキッシンジャー外交戦略

 共和党系ネオコン派主導で新冷戦構造を構築していくにあたり、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官主導でロシアを中国から切り離して提携していこうとしている。これはかつて70年代に、キッシンジャー元長官が中国をソ連から切り離して提携していったのと反対の構図ではあるが、同じ発想による外交戦略である。
 ロシアのウラジーミル・プーチン政権は欧州ではフランスの国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首はじめ極右勢力やその指導者を支援してきたため、米国のドナルド・トランプ政権も含めて世界的な極右勢力と一体化しているとの見方がある。ドミトリー・メドベージェフ首相が欧州系金融資本や中国の江沢民元国家主席とのつながりが深いのに対し、プーチン大統領は日本の安倍晋三首相と親密な関係を築いているのに見られるように、アジア極東に深く“根を張っている”親イスラエル的で巨大な宗教集団と密接な関係があるので、確かにそうした見方は正鵠を射ている。
 ただ外交戦略面で見るなら、ロシアの“仇敵”である欧州と敵対するにあたり、各国の極右勢力を支援することで分裂の勢いを強めさせることで、欧州連合(EU)を弱体化させる方が有利であることが指摘できるだろう。


米系財閥主導で北朝鮮を攻撃する可能性について

 中国を相手に新冷戦構造を構築していくにあたり、北朝鮮問題はいかに米国側が地政学的、軍事的に有利な環境を構築するかという観点から対処していくことになり、必要に応じて条件が合えば武力行使の可能性を排除しないことになる。特に朝鮮半島北部は核兵器を量産し、原子力発電を積極的に推進していくうえで不可欠な原料であるウラン鉱石の世界最大の埋蔵量を誇るといわれているだけに、防衛力やエネルギー安全保障の観点から軍事的に占領して実質的に統治していく誘惑に駆られておかしくない。
 ただ、実際に北朝鮮を攻撃するにあたり中国の人民解放軍の介入を招き、実質的に米中間での軍事衝突になってはならない。そこで北朝鮮側に先に手を出させて米軍がそれに応じて空爆を実施し、実際に北朝鮮国内ではそこに駐留しているロシア軍に占領工作を任せれば中国としては手を出せないことになり、実際にそうしたオプションも選択肢に上っているようだ。

 ただし、軍事攻撃をせずに北朝鮮にこのまま核保有国としての立場を認め、表面的な“瀬戸際外交政策”を繰り広げることを続けさせる選択肢もあり得る。それによりそのたびに中国を牽制することができるだけでなく、韓国をはじめ日本や台湾も核武装させる名分を得られる。それが実現すれば米国の軍需産業が利益を上げることができるだけでなく、日本を筆頭に中国の周辺国をそろって核武装化させることで中国を威嚇することができるからだ。
 旧冷戦時代には米国はこれら属国群には核保有を認めなかったことで軍事的に統治することができたが、現在では米国は当時に比べると国力が衰えているので、米国の軍事的な負担を軽減させながら中国と対峙していくということだ。


本当は日本近海にミサイルを撃ち込む計画だった

 8日にトランプ大統領が「炎と怒り」発言をしたのに対抗して、北朝鮮側が翌9日に米領グアム島沖に中距離弾道ミサイル4発を撃ち込む計画を公表したことで米朝間の緊張が一気に高まった。
 その際に、北朝鮮側がミサイルが島根、広島、高知の各県の上空を通過すると表明したことで、日本政府が慌ててこの3県に地対空誘導弾パトリオット(PAC3=パックスリー)を配備した。この時、北朝鮮側がわざわざこの3県の名を出したのはいかにも不自然であり、それなりの意味があると見るべきだ。
 その本当の狙いは、終戦記念日(北朝鮮では独立記念日)である15日に日本近海に向けてミサイルを発射することで、日本でのミサイル防衛システムが実質的に機能していないことを白日の下にさらすことにあったという。それにより、日本では中国や野党が猛反対していたことで頓挫しかかっていた中期防衛計画(19~23年度対象)が成立しやすくなるからだ。
 この計画ではイージス艦やPAC3の増強に加えて、地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD=サード)の配備が盛り込まれている。米軍としては韓国だけでなく日本にもこれを配備することで、中国に対して強力なレーダー網を構築することができるようになるわけだ。それにより、米系財閥としては軍需産業や米軍を押し立てて新冷戦体制に移行していく準備が整うことになる。


習近平の専制権力体制の確立にメドが付く

 実際には15日には北朝鮮からミサイルが発射されることはなかったが、それでも29日早朝に日本列島を通過して北海道・襟裳岬沖にミサイルを発射したのは、日本で中期防衛計画の成立を後押しするためだったと考えることができるだろう。
 いうまでもなく、中国ではTHAADを配備した韓国に対する“嫌がらせ”が横行しているように、日本にもそれを配備することになれば中国側がどのように反応するかが焦点になる。いうまでもなく表面的には反発するだろうが、実際には裏側では既に話がついているとの声も聞かれる。中国がそうしたことを受け入れるはずがないと思う向きが多いだろうが、習近平主席が米系財閥に操られていることを考えるとまったくおかしなことではない。
 これらのことは増田俊男氏が会員向けメールで知らせていることだが、中国側がどうしてこれを容認する姿勢に転じる可能性があるのか、その詳細については明らかにしていない。ではどうしてかというと、北載河会議が終わり習近平主席が完全に専制権力体制の構築に向けて基盤を確立することに成功したことが指摘できる。
 水面下でかつて、日本の軍国主義が引き起こした「大東亜共栄圏」構想を、中国と日本が連携して西洋の“夷荻(いてき)”を駆逐するためのものとして肯定的に捉える考え方が、中国では超保守的で“ウルトラ愛国派”とされる儒教の研究者から出てきたのが注目される。こうした動きが出てきたのを受けて、安倍晋三首相も「一帯一路」構想に賛同する姿勢を示し、首相を支えているはずの共和党系ネオコン派を怒らせたという。

 どうして中国でこうした見解が出てきたのかというと、一つはこれまで、中国は国外に「敵」を作り出すことで国内の不満をそらして治安を安定させてきたが、習近平主席が完全に専制権力体制を構築するメドが付いたことでその必要性が薄れてきたことがある。そうであれば、むしろ親日的な姿勢を示すことで日本から豊富な資金や高度に優秀な技術を呼び込んだ方が有利である。
 また習主席が専制権力を掌握していく過程で、反日的な姿勢を続けてきた江沢民元主席の勢力が完全に打撃を受けてほぼ壊滅状態になったことも指摘できる。最も重要なのは、習主席を見出してその地位に就け、その権力基盤にもなっている親イスラエル的で特異な巨大宗教勢力が、主席が専制権力体制を構築したことで、多少なりとも前面に出てくるようになったことだ。


 週末の明日はこの続きとして、習近平が専制権力を固めつつある中国情勢と今後の展望について簡単に述べることにします。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。