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先週の動き・・・・北朝鮮やECB理事会、米ハリケーン等からドル安が進む

ポイント
・北朝鮮問題による地政学的リスクによる円高圧力や、ECB理事会を受けて10月にテーパリングの計画を公表する可能性が高まったことによるユーロ高圧力、米国でのハリケーンやFRBの利上げ観測の後退からドル安が進んだ。



 先週の国際金融市況は外国為替市場でリスク回避からドル安が進み、株価も前半に軟弱な動きになった。
 米株価はレーバー・デー(労働者の日)による連休を明けた週初5日に、3日に北朝鮮が核実験に踏み切ったことやハリケーン「ハービー」が米国で大きな被害をもたらしたことが嫌気され、ダウが前週末比234ドル安と急落した。ただ、翌6日にはドナルド・トランプ大統領が北朝鮮問題について「軍事攻撃は最初の選択肢ではない」と述べたことや、同政権と議会の野党民主党との間で連邦政府の債務上限の3ヵ月間の引き上げで合意したことが好感され、前日比54ドル高と反発した。
 その後、週後半の2日間は北朝鮮やハリケーン「イルマ」によるリスクが警戒された一方で、米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測の後退に支えられて動意薄になった。

 日本株も北朝鮮リスクに円高が加わって軟弱な動きになった。
 週前半は北朝鮮の核実験を受けたリスク回避から円高とともに急落し、日経平均は週初2日間で前週末比300円超も下げた。その後の2日間はリスク回避の後退から下げ圧力が緩和して小動きになったが、週末8日には翌9日に北朝鮮で建国記念日を迎えるのを前に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射が警戒され、前日比120円超も下げた。

 外為市場では北朝鮮問題にハリケーン関連が加わったリスク回避から円高に振れ、また欧州中央銀行(ECB)理事会での動きを受けてユーロ高も進んだため、主要国通貨の中ではドル安が進行した。

 ドル・円相場は前週末の時点では1ドル=110円台前半に上昇していたが、3日の北朝鮮による核実験や米国でのハリケーン「ハービー」による被害の拡大から下げ圧力が強まった。さらに、5日にはラエル・ブレイナード理事やミネアポリス連銀のニール・カシュカリ、ダラス連銀のロバート・カプラン両総裁といった連邦公開市場委員会(FOMC)委員がそろってハト派的な発言を繰り広げたことや、翌6日にはFRB執行部で主導権を握ってきたスタンレー・フィッシャー副議長が辞表を提出したことからFRBの利上げ観測の後退も加わり、6日の東京市場の終盤では108円台後半まで下げた。
 さらに翌7日のニューヨーク市場からは9日の建国記念日を控えて北朝鮮リスクが再び意識されたことや、「ハービー」の影響で週間失業保険申請件数が急増したこと、次のハリケーン「イルマ」への警戒感から一段安に向かい、週末8日の東京市場で108円を割ってニューヨーク市場では107円30銭台まで下落した。

 ユーロ・ドル相場は週初には1ユーロ=1.19ドルを挟む水準で推移していたが、リスク回避によるドル安圧力から強含んでいった。
 その後、7日のECB理事会では政策決定が据え置かれたが、会合後の会見でマリオ・ドラギ総裁が「量的緩和策に関する多くの決定は10月に行う」と述べたことから、次回10月26日の理事会でその縮小(テーパリング)に関する計画を公表する公算が高まったことからユーロ高圧力が一気に強まり、同日にロンドン市場で1.2ドル台に乗せた。さらにリスク回避によるドル安圧力も重なり、週末8日の東京市場では1.209ドル台まで水準を引き上げた。


1年サイクルが既に下降局面に入っていた可能性が高まる

 ドル・円相場は今年に入ってからの1ドル=108円台の下値の岩盤を割り込んだ。週明けの東京市場では108円台を回復しており、これを割り込んだのが“ダマシ”だったのか注目される。
 ただサイクル的な観点からは、4月17日の108円13銭の安値を下回ってきたことから、この安値を起点とする1年サイクルの上昇局面の途上にあるとの見方が否定されてしまい、7月11日の114円47銭の高値を天井にして、現在では既に下降局面に入っている公算が高まっている。
 その場合、来年4月頃にかけて、4月17日の安値と7月11日の高値の値幅の“倍返し”の水準である101円80銭前後に向けて下げていく可能性が高くなった――すなわち、昨年11月8日の米大統領選挙が終わった翌9日につけた101円19銭の安値の水準に“往って来い”になるということだ。


 今週は、明日からの2日間でフィッシャーFRB副議長が辞表を出したように、米トランプ政権で米系財閥が主導権を握ったことでドル安政策に転換した可能性について考察します。
 その翌日にはドル安政策のターゲットとなるユーロと特に人民元に焦点を当てて考えます。
 週末は3日の北朝鮮の核実験について、その背景を米国だけでなくロシアのプーチン大統領の戦略も含めて考察していきます。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。