FC2ブログ

記事一覧

ロシアとの提携路線がもたらす摩擦の激化

ポイント
・停戦期間中に米軍がアサド政権軍に「誤爆」したことで米ロ対立が再燃しているが、この爆撃はいかにも意図的なものであると言わざるを得ない。
・その背景にはトランプ候補を支持している勢力がロシアと提携しようとしているのに対し、民主党系ネオコン派がそれに反発している事情がありそうだ。



ロシアとの提携路線への反発から米ロ対立が再燃

 前回までは米国とドイツの対立について述べたが、ドイツや欧州連合(EU)の問題を考察するには、それと対立する概念であるロシアの問題にも触れる必要があるだろう。最近、シリア問題やサイバー攻撃の問題で米ロ対立が再び高まってきているので、今週は最後の掲載原稿としてこの問題について簡単に見ていく。

 米大統領選挙でドナルド・トランプ候補を支持していた米外交問題評議会(CFR)系を中心とする勢力はロシアと提携しようとしているのに対し、ヒラリー・クリントン前国務長官を支持している民主党系新保守主義(ネオコン)派はもとより中国と新冷戦構造に突入する前にロシアを潰そうとしていたため、そうした路線に安易に乗れるはずがない。
 特に中国で構造改革路線を主張している李克強首相が国内経済対策で主導権を握ったことで、クリントン前長官を支持している金融資本≒ウォール街の勢力の影響力が増したことから、よけいにそうした傾向が強くなっている。
 そうしたなかで最近、米国とロシアの対立が再燃したきっかけは、シリアでの内戦をめぐり両国が停戦に向けて合意していたにもかかわらず、米軍がバッシャール・アサド政権軍を空爆したことで、ロシア側が国際連合(国連)の安全保障理事会の緊急会合の開催を要求したことによるものだ。

 この米軍のアサド政権軍に対する空爆は「誤爆」ということになっているが、いかにも意図的に爆撃しており、対立を再燃させることを目的としたものだと言わざるを得ない。トランプ候補を支持している陣営がロシアと提携しようとしている動きに反発している勢力によるものであり、クリントン前国務長官を支持している民主党系ネオコン派の意向を受けたものと考えるのが自然だろう。
 米政府は先週末7日に7月に民主党全国委員会へのサイバー攻撃をロシア政府が指揮したと断定したことを発表したのも、そうした流れの中で起こっていると考えられる。そもそも、攻撃の対象になったのが民主党全国委員会であるのは、民主党系ネオコン派による“自作自演”だった可能性が疑われるところだ。

 もっとも、米国がロシアと提携すること自体、極めて画期的なことであり、民主党系ネオコン派が妨害しなくても、何らかの形で米国内でもそれに反発する勢力が出てきておかしくなかったといえる。ただ、11月8日の大統領選挙でどちらの候補者が勝利するかによって、その後も反対運動がくすぶることは当然あり得るが、少なくともそれなりに決着がつく公算が高いのは間違いないだろう。

 ただし、ここにきていろいろな女性スキャンダルの問題が出てきて、トランプ候補が窮地に陥っている。こうしたスキャンダルが表沙汰になるのはいかにも仕組まれたものといわざるを得ないが、そのあたりの事情については対ロシア関係も含めて、そのうち明らかにしていきたい。
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

17894176

Author:17894176
永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。