FC2ブログ

記事一覧

中国危機の変遷と米国が中国に要求しているもの

ポイント
・人民元切り下げに端を発する第一次中国危機の主役は“中国乗っ取り”を画策していた欧州系財閥だったが、翌年初のフィッシャー前FRB副議長の発言を契機とする第二次危機の主役は米世界覇権戦略の維持を目指す米系財閥主導で引き起こされた。
・現在、トランプ政権の背後の主要勢力である米系財閥のもう一方のナチズム的な親イスラエル右派の勢力は過酷な要求を中国に呑ませるために、北朝鮮問題や通商問題を利用して強硬な姿勢を示している。
・その要求とは、北朝鮮の核保有を認めることや、WTO体制を瓦解させて新国際通商体制に中国やその衛星国を除外すること、国有企業改革や国有銀行の不良債権処理に取り組んで米系財閥系の銀行に買収を含めて中国市場に参入させていくことだ。



二度にわたる比較的規模が大きな中国危機

 13年5月に当時のベン・バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的緩和策の縮小開始に取りかかる意向を示したのを発端に、米国への資金還流から新興国通貨不安が時折り引き起こされてきた。そうしたなかで、中国問題を引き金にするものに限っても、シャドーバンキング(影の銀行)関連での理財商品の債務不履行(デフォルト)不安から信用不安が生じてきた。
 ただより規模の大きな中国不安といえば、やはり15年8月11日の人民元切り下げに端を発したものと、16年1月4日にスタンレー・フィッシャーFRB副議長(当時)が「年4回利上げをするとの見方は妥当」と発言したのを機に、投機筋がいっせいに人民元や中国株を売り浴びせたことで生じたものが想起される。
 このうち、前者の人民元切り下げを機に起こった第一次中国危機が欧州ロスチャイルド財閥系により引き起こされたのに対し、フィッシャー前副議長の発言が契機となった第二次危機の主役は米ロックフェラー財閥系が主役だったという相違点がある。


第一次中国危機の背景

 以前、当欄で述べたように、欧州系財閥は米系財閥の世界覇権に対抗するにあたり、中国の習近平国家主席が「一帯一路」構想を唱えているのに相乗りし、中国の外貨準備を利用して金融仲介業務を行うことでユーラシア大陸に大規模なインフラ建設に取りかかっていき、巨大な経済圏を構築させようとした。
 しかし、中国は天文学的な債務を抱えている実態が明らかになるにつれてひとまずそれを諦め、米系財閥と戦略的に提携したうえで、水面下で中国に対して資本取引の自由化や国際会計基準の導入を受け入れさせ、また人民元相場を売り崩そうとした。それにより破綻していく代表的な国有銀行や国有企業を次々に買収して中国そのものを乗っ取ったうえで、米国と対抗していこうと考えたわけだ。
 15年8月以降の中国危機はそうして引き起こされたものだ。


米系財閥主導で引き起こされた第二次中国危機

 これに対し、16年初頭以降の第二次中国危機は主に米系財閥系の投機筋によって引き起こされたが、それは南シナ海はじめ露骨な対外膨張路線を推進していた習近平主席を懲らしめるといった意味合いが強かった。
 いわば、米系財閥の世界覇権戦略に習近平主席の路線が衝突したからだが、それは米国が唯一の超大国としての世界覇権の絶頂期だった時代の戦略概念が当時はまだ健在だったことを物語るものだ。昨年3月20日に“大往生”で死去したデイヴィッド・ロックフェラーは既にこの時期には影響力が弱体化していたと思われるが、まだ当時はそれにつらなる世界単一政府志向の勢力が根強い状態にあったことを示唆するものだ。
 実際、第二次危機の“指南役”の役割を担ったフィッシャー前FRB副議長は、世界中の主要国・地域の中央銀行の金融政策を実質的に横断的に統轄・管理しているグループ・オブ・サーティ(G30)の最高幹部の一員としてFRBに送り込まれていた。このG30ではロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の系列が非常に大きな影響力を行使しているが、そこに英労働党の母体のフェビアン協会やイスラエル労働党と密接なつながりのある米ロックフェラー財団が巨額な資金提供をしている。
 これは、いかにデイヴィッド・ロックフェラーが社会主義的・共産主義的な世界単一政府志向であるかを物語るものといえよう。その甥に当たるビル・クリントン元大統領(ウィンスロップ・ロックフェラーの私生児)やヒラリー・クリントン元国務長官の夫妻もその影響下にあったわけだ。フィッシャー前副議長もLSE出身であり、FRB副議長に就任する以前にはイスラエル中央銀行の総裁を務めていた経緯がある。


親イスラエル右派にとり強硬姿勢は過酷な要求を中国に呑ませるため

 とはいえ、こうしたこともこれまで当欄で述べてきたように、現在のドナルド・トランプ政権の背後で暗躍しているヘンリー・キッシンジャー元国務長官を中心とする親イスラエル右派やナチズムの勢力は、中国を相手に「新冷戦」体制を構築しようとしている。また中国に不良債権処理をさせることで同国の銀行に資本参加や買収工作を繰り広げたうえで、「一帯一路」構想その他の形で対外膨張路線を推進させることでその利権を握っていこうとしている。いわゆる“豚は太らせて食え”ということだ。
 それには、ともにグローバリズム的な世界単一政府志向の欧州系財閥やデイヴィッド・ロックフェラーの系列のように、中国を売り崩して“殺す”のは得策ではない。あくまでも、投機的な「中国売り」や緊急輸入制限(セーフガード)、通商法301条の適用等を振りかざした通商問題、さらには北朝鮮問題での強硬姿勢は中国に対して過酷な要求を呑ませるための手段に過ぎない。


三つの要求を中国に突き付けている親イスラエル右派

 トランプ政権で主導権を握っているナチズム的な権力者層は中国に対して主に三つの要求を突き付けてきた。
 一つは北朝鮮の核保有を事実上容認することであり、これについては昨年末の段階で中国としては受け入れざるを得なくなってしまったようだ。それにより、中国は慢性的に北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされ続け、また将来的に日本の核武装化への道を提供したことになった。
 それ以外に二つ目が世界貿易機関(WTO)体制を瓦解させて、新国際通商体制から「新冷戦」の敵国である中国を追放することだ。そしてもう一つが習近平主席にしっかり国有企業改革や国有銀行の不良債権処理に取り組ませ、またそのうちのいくつかは米財閥系の銀行に超破格の安値で買収させることだ。
 今週9日に平昌(ピョンチャン)五輪が開幕する前日に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が大規模な軍事パレードの開催を宣言して中国を困らせているのも、また30日の一般教書演説でトランプ大統領がかなりの時間を割いて執拗に北朝鮮を批判・攻撃したのも、その目的を達成するために中国に圧力を強めるためのものだ。


 昨日までは今回が今週最後と申し上げましたが、明日もこの続きを掲載することにします。
 明日は中国の政治社会の本質を踏まえたうえで、現在、米トランプ政権で主導権を握っている親イスラエル右派の対中国姿勢をより掘り下げて考えていきたいと思います。
 よろしくお願いします。
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

17894176

Author:17894176
永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。