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まだハト派色が強いECB理事会の政策決定

ポイント
・今回のECB理事会では既にフォワードガイダンスの修正をすることが決まっていたなか、必要に応じて量的緩和の拡充をするとの文言が声明から削除されたが、それ自体は予想通りだ。
・それ以外ではゼロ金利が相当期間続くことや、これまで買い入れた債券は再投資することも盛り込まれたが、現執行部がドラギ総裁はじめ現執行部がまだハト派で占められているので当然の結果である。



 それにしても先週から今週にかけては激動に満ちた要因が相次いだ。もとより先週は金融市場に直接的に影響する要因として8日に欧州中央銀行(ECB)理事会と8~9日に日本銀行(日銀)の金融政策決定会合の開催や、週末9日には米雇用統計の発表が、さらに外部要因として週初5日に中国で全国人民代表大会(全人代)の開幕が予定されていた。
 ただそれよりはドナルド・トランプ政権が打ち出した輸入制限措置の内容に注目が集まり、実際に8日に正式にそれが決まった。さらに北朝鮮問題でも6日に南北間で首脳会談の開催や朝鮮半島の非核化が謳われ、8日には米朝首脳会談の開催も発表されて世界を驚かせた。また国内でも、森友問題で財務省近畿財務局による決済文書の書き換え問題で野党が激しく追求したことから国会が紛糾した。
 当然のことながらそうしたことを考察しなければならないが、なにしろ非常に大きなテーマであるだけに、まず直接的に金融市場に影響する要因として、今日と明日はECB理事会と米雇用統計の内容について簡単に検証しておく。


予想通り量的緩和の文言が削除される

 まず8日に開催されたECB理事会では、前回1月25日に開催された際に、次回には声明で今後の金融政策の指針となるフォワードガイダンスの修正をすることが実質的に「宣言」されていた。
 もとよりECBは昨年10月26日に開催された理事会で、資産買い入れの規模を昨年末まで毎月600億ユーロのペースで続け、年明けからそれを300億ユーロに半減して9月末まで続けることを決定している。ただその際に、10月以降も量的緩和策を継続することがあり得ることや、信用不安が強まるなど状況により臨機応変で買い入れのペースをさらに強める可能性にも言及していた。
 今回の声明ではそうした必要に応じた量的緩和の拡充に関する文言が削除され、それ自体は予想通りといえるものだ。


本格的にタカ派的な姿勢に変わるのはまだ先の話

 とはいえ、それ以外については、量的緩和策が終わった後も現在のゼロ金利の水準が相当な期間にわたり続くことや、これまで買い入れた債券についても必要な限り再投資することが明記された。銀行がECBに預ける当座預金の金利がマイナス0.4%にまで低下していることが銀行にとっては重荷になっているが、その是正については触れられなかった。
 ECBではスペインのルイス・デギンドス経済相が次期副総裁に就任することが内定したことで、次期総裁にはドイツ連銀(ブンデスバンク)のイエンス・ワイトマン総裁が就任することが確実になった。それとともに、金融政策もタカ派的な姿勢に転換する公算が濃厚になっている。
 とはいえ、イタリア出身のマリオ・ドラギ現総裁を中心とする現執行部は南欧諸国出身者で占められているので、声明がハト派的な内容になるのは当然である。本音では緩やかなドル安志向が強い米トランプ政権からの圧力を受ける可能性はあるが、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ継続姿勢を示しているとはいえ、足元では株価が動揺していることが阻害要因になっている。
 ECBが超金融緩和策の出口に向けて本格的にタカ派的な姿勢を示すようになるのは、もう少し先のことになりそうだ。


 明日は米雇用統計について検証します。
 明後日以降は17日土曜日にかけて、先週に激震が走った北朝鮮問題について、米国の輸入制限措置も含めて考察します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。