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軍事攻撃、米金融システムからの排除、通商問題による圧力

ポイント
・トランプ政権は通商問題で中国に対してさらに強硬姿勢を強めてきたが、先週の当欄で中国で全人代が開催されている期間をメドに、同国に対する圧力を北朝鮮問題から通商問題に切り替えると指摘したが、その通りの展開になっている。
・米国はこれまで中国に対し、北朝鮮問題では軍事攻撃をちらつかせることで難民が国境を越えて流入する懸念を強めさせ、また水面下で同国の銀行を米金融システムから排除すると脅してきた。
・親イスラエル右派が主導権を握る米国は習近平国家主席に対し、国有企業改革をしっかり推進させ、それにより顕在化する国有銀行の不良債権の処理を目的に、欧州系銀行を排除して米系金融機関を進出させることを目論んでいる。



米国が中国に対し一段と強硬措置を打ち出す姿勢に

 先週は北朝鮮問題ではそれほど大きな動きが見られなかった一方で、もう一つの米国による保護主義的な通商政策で、中国に対してさらに強力な措置を打ち出す姿勢が示された。14日に知的財産権の侵害を理由に、中国の製品の輸入に広範囲にわたり最大で600億ドルもの関税を課すことを検討していることが表明されたことだ。
 さらに同日には、前週7日にトランプ大統領がツイッターで同国に対して年間で10億ドルもの対米貿易黒字の削減計画をまとめるように要求することを表明していたが、ホワイトハウスがこれを同1,000億ドルの誤りであることを明らかにした。


先週も大きな動きが目白押しで起こる

 先週は、13日に米国でかねてからドナルド・トランプ大統領との関係が悪化していたとされていたティラーソン国務長官が解任された。中央情報局(CIA)長官から後任に指名されたマイク・ポンペオ新長官はキリスト教福音派の中でも右派の出身らしく、穏健的なティラーソン前長官とは正反対の強力な対外強硬派として知られており、それだけにトランプ大統領から厚い信頼を得ているといわれている。今後、首脳会談を控える北朝鮮問題はもとより、中東問題も含めて、トランプ政権の外交政策への影響が注目されている。
 それだけでなく、ハーバート・マクマスター大統領補佐官が更迭されるとの観測が出ており、ジョン・ケリー大統領首席補佐官とも関係がしっくりいっていないなど、トランプ政権は“辞任のドミノ”状態に見舞われている。

 また国内では、財務省理財局による森友学園の土地売却の決裁証書の書き換え問題が「改ざん」といわれるようになり、前理財局長だった佐川宣寿国税庁長官(当時)が辞任した。さらに証人喚問に呼ばれることも決まるなど、副首相である麻生太郎財務相の進退問題も含めて、安倍晋三政権の屋台骨も揺さぶられる事態になっている。

 そして最後に、英国でロシア出身の二重スパイの毒殺未遂事件で両国関係が悪化していたが、週末15日にはこれに米仏独も加わる4カ国でロシアに対して厳しい姿勢を示すことになった。さらに同日には米政府も一昨年の大統領選挙で同国が介入したことが明らかになったとして追加制裁を科した。


通商問題で一段と強硬措置に踏み出し圧力を強化へ

 このように先週も北朝鮮問題がやや後退しても、ほかにもいろいろと重要な問題が次々と噴出するなど目まぐるしく推移した。このうち、通商問題ではまさに先週、当欄で指摘した通りの展開になっている。
 先週の当欄では米トランプ政権で主導権を握っているナチズム的な親イスラエル右派は、これまでは北朝鮮問題で強硬姿勢を見せていたのは中国に対して圧力を強めるためであり、それが年明け以降、それも特に全国人民代表大会(全人代)の開催を機に通商政策面で圧力をかける方針に転換したと述べた。
 米ロックフェラー財閥系の軍産複合体を含む親イスラエル左派とは異なり、同じ米系財閥の系列でも右派の勢力は強硬姿勢を見せながらも最初から攻撃することは考えていなかった。攻撃姿勢を煽ったり、北朝鮮に対する制裁問題で中国の銀行を米金融システムから排除すると脅すことで、習近平国家主席に国有企業改革にしっかり取り組むように圧力をかけ、国有銀行の不良債権処理を目的に、欧州ロスチャイルド財閥系の銀行を排除させて米系金融機関に完全買収も含めて中国市場に参入させるように圧力を強めている。


難民問題と米金融システム排除で中国を恫喝

 米国が北朝鮮に対して軍事攻撃を敢行すれば難民が大量に中国領域内に大挙して押し寄せることで都市部で暴動が引き起こされる恐れが高まってしまい、共産党一党独裁体制の堅持を目指す中国政府にとっては最も困難な状況に陥りかねない。
 また中国の銀行が米金融システムから排除されて米銀との決済ができなくなってしまえばドル資金の調達ができなくなることで、国際業務を扱っている銀行は間違いなく破綻せざるを得ない。国内業務に特化している小規模な銀行は直接影響を受けるわけではないが、ドルとの兌換の保証や連動制の維持から国際通貨としての信用を維持している人民元のそれが失われることで、やはり同様に破綻の危機に見舞われることになる。
 そうなれば中国国内で金融危機が“燎原の火”のごとく拡大する危険性が高まるが、体制の維持のために都市部での暴動の発生をなにより恐れる中国政府としては、北朝鮮での軍事紛争の勃発による難民の流入とあわせ、絶対に避けなければならないものだ。実際に米国が排除したのは北朝鮮との国境付近に本拠地を置いている丹東銀行だけだが、水面下では四大銀行の一角もそうした制裁の対象に含めるとして脅していたようだ。


 明日もこの続きを掲載します。
 米権力者層が中国をどのように扱っていくつもりなのかを考えることにします。
 明後日からの2日間では、財務省の公文書改ざん問題で国内の政局が揺れているので、その件について採り上げることにします。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。