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米国から保護主義的な措置で圧力を受ける中国が進む道

ポイント
・米国は中国に対し、北朝鮮に対する攻撃をちらつかせて難民の流入の恐怖を煽ることで圧力をかけてきたが、全人代で習近平国家主席が絶対的な権力を握ったのを機に、国有企業改革に取り組むのを促すために保護主義的な圧力を強める方針に転換させている。
・さらに米国は保護主義的な措置で中国への圧力を強めるにあたり、知的財産権の問題を持ち出してきたが、米国は「新冷戦」体制を構築するにあたりWTOルールを遵守する気がないとはいえ、この問題自体は中国側がそのルールに違反しているものだ。
・米権力者層は習近平主席に積極的に対外膨張路線を推進させることで表面的には軍拡競争を繰り広げながら、国有企業改革により顕在化していく不良債権処理を目的に米系金融機関が進出し、中国の大帝国化とともに対外的に利権を拡大していこうとしている。



全人代の開催を機に中国への脅しの手段が交代

 米国がここにきて北朝鮮に対して融和姿勢に転じる一方で、通商問題で保護主義的な姿勢を強めることで中国に圧力をかける手段を転換したのは、その同国で全国人民代表大会(全人代)が開催されていたのと密接な関係にある。昨年10月18~24日に開催された共産党大会と今回の全人代で習近平国家主席が絶対的な権力を握り、その多くが江沢民元国家主席の勢力が利権を握っている国有企業の改革を“大ナタを振るって”断行することができるようになるからだ。
 そうしたなかで、これから国有改革に踏み切ろうとする時に、北朝鮮に対する攻撃姿勢を強めて難民が流入していく恐怖心を煽るのは得策ではない。それよりは関税の引き上げを含む輸入制限措置に踏み出す方が、過剰生産能力を抱えている国有企業としては輸出による捌け口が失われてしまうので、“血を見る”覚悟で本格的に改革に取り組まなければならなくなり、米国としてはその方が有利であるからだ。
 また、中国としてはその経済構造上、都市部での購買力が増大しているとはいえ、農村部との間での絶望的なまでの貧富の格差の拡大から個人消費が経済成長に寄与する状態にはなっていない。依然としてそのかなりの部分を固定資産投資と米国向け輸出に依存しているなかで、その輸出が激減すると成長が失速しかねないことも、米国からの有効な脅しの手段になっている。


知財問題は本来的に中国がWTOルールに違反している

 米国は鉄鋼とアルミニウムの追加関税に続いて、その第2弾として知的財産の侵害の問題を出してきたが、今後も米企業が中国に進出する際に技術移転の強要の問題をはじめ、複数の対象を用意しているという。
 以前、当欄では相手に世界貿易機関(WTO)に提訴されても、そもそも米国は「新冷戦」体制を構築するにあたり、中国やその衛星国を国際通商体制から排除しようとしているのでWTOルールを遵守する気がないと述べた。しかし、最初の鉄鋼やアルミへの課税については確かに米国の行為がルール違反だが、知的財産権の問題は(対抗措置として相手国が高関税をかけるのはともかくとしても)中国の方が違反しているものだ。WTOのルールでは、コピー商品や“海賊版”のような問題は当該国の政府が責任をもって取り締まりを強化し、根絶していかなければならないはずであるにもかかわらず、これまではそれが黙認されて野放しにされてきたからだ。
 もっとも、その社会的な土壌を考えれば中国政府がそれを達成できるはずがないことを考えると、最初から中国は基準を守れない国際システムに加盟してしまったことになる。もしかしたら、米国はじめ世界を管理している権力者層は“安全弁”を確保するうえで、いざとなればこの問題を持ち出して攻撃できる手段を確保するために、中国政府を“欺いて”加盟させたのかもしれない。


米権力者層の掌の上で踊る超大国の中国

 いずれにせよ、これまで当欄で何度も指摘しているように、ドナルド・トランプ政権で主導権を握っている権力者層は習近平主席を後押しして積極的に対外膨張路線を推進させながら、表面的には中国を米国の世界覇権の秩序に挑戦する修正主義勢力と位置付けて軍拡競争を繰り広げようとしている。
 その一方で、国有企業改革を推進させて国有銀行の不良債権を顕在化させたうえで米系金融機関に進出させ、その国有銀行や代表的な国有企業に対して買収も含む資本参加をさせていきながら、「一帯一路」はじめ膨張路線に乗ってグローバル規模で利権を拡大していこうとしている。
 いわば、これから中国は表面的にはその覇権の衰退期に向かっていく米国を尻目にその対抗勢力に発展していくが、その実態は米権力者層に握られてしまい、その“掌で踊っている”存在になっていくということだ。それこそがまさに有史以来、ユダヤ人が繰り返し行ってきたことである。今回の中国に対する米国のさらに踏み込んだ通商問題での保護主義的な措置は、そうした体制の構築に向けた一環であるわけだ。


 明日、明後日は国内で最大の注目要因である日本の政局不安をもたらしている、財務省理財局による決裁文書の改ざん問題について採り上げます。
 筆者はあまり国内の政局については得意ではありませんが、可能な限り分析していきます。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。