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国際情勢から見た財務省問題の背景と安倍政権の対応

ポイント
・安倍首相の祖父の岸信介元首相は米国の要望通りに左翼勢力を圧殺して日米安保条約の改定をなしとげたものの、アジア共同体志向が強いその正体を見破られたことで退陣を強いられたが、現首相も退かざるを得なくなればそれと同じ運命をたどることになる。
・かつて、「世界皇帝」の威光を背景に小泉政権は国内のキッシンジャー元国務長官につらなる“御老体”勢力を攻撃して排除していったが、現在では同長官が復権したなかで、安倍首相はその逆襲に遭っているともいえる。
・安倍首相が攻撃さているのは、普通に考えれば米国が対北朝鮮融和路線に転じたなかで強硬路線を続けていることにあるといえる。ただ、米国はアジア極東から米軍を撤退させるうえで日本に国防体制の強化を求めていることを考えると、安倍首相が孤立化を嫌って日朝首脳会談の開催を模索したことにあるともいえる。



安倍首相の祖父も目的達成後に切り捨てられた

 かつて、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官の前任者としてホワイトハウスで主導権を握っていたジョン・フォスター・ダレス国務長官(当時)は、アジア極東で共産圏封じ込め政策を強化するために日米安全保障条約を改定し強化するにあたり、1950年代後半には右翼タカ派的な性格を買って安倍晋三現首相の祖父の岸信介首相(当時)を押し立てて、国内の左翼的な反対勢力を圧殺させたものだ。そのダレス長官の日本での受け皿の有力者の1人が、渡辺恒雄(通称ナベツネ)本社代表取締役主筆の前任者の読売新聞の創業者である正力松太郎だったものだ。
 ところが、ダレス長官は所期の目的を達成すると、岸元首相の背後勢力が戦前の「大東亜共栄圏」構想につらなるアジア共同体志向が強い性格であることが明らかになるとともに、60年には同政権の打倒に動いた。そのうえで、日本国民が共産主義勢力に取り込まれないようにするために経済発展を追求させるうえで、宏池会出身の池田勇人政権が掲げた「所得倍増計画」を支援したものだ――それにより多くの日本国民には幸福がもたらされたが。
 現在の安倍首相もこのまま財務省理財局の改ざん問題で打撃を受けてその地位から退かなくならざるを得なくなれば、まさに祖父の岸元首相と同じ運命をたどることになる。


小泉政権の弾圧政策の逆襲に遭っている安倍首相

 米国では89年11月のベルリンの壁崩壊や91年1月のソ連邦の解体以降、世界覇権の絶頂期を迎えるとともにキッシンジャー元国務長官の威光が低下し、共産主義的な世界単一政府系の親イスラエル左派的なデイヴィッド・ロックフェラーが「世界皇帝」として君臨するようになった。それ以降、特に00年代のジョージ・W・ブッシュ共和党政権下では社会主義的なトロツキズムを源流とする新保守主義(ネオコン)派が主導権を握り、イラク戦争はじめ「対テロ戦争」が推進された。
 そうしたなかで、日本ではその共和党系ネオコン派から後押しされた小泉純一郎首相(当時)や竹中平蔵元総務相を中心とする勢力は、まずプロ野球のドラフト接待問題を暴露して巨人軍のオーナーだったナベツネ主筆に打撃を与えた。そのうえで、中曽根康弘元首相に対しても終身的に衆議院での自民党の比例名簿第1位が約束されていたにもかかわらず、強引に引退させたものだ。ナベツネ主筆と懇意だった西武グループの堤義明オーナー(当時)は、バブル期には「世界一の大富豪」などと言われたが、インサイダー容疑で逮捕されてしまい、同グループの経営権や持ち株も“身ぐるみ剥がされて”しまっている。
 デイヴィッド・ロックフェラーが死去してキッシンジャー元国務長官が復権したことで、安倍首相は現在、その逆襲に遭っているということもできるだろう。


安倍首相が米国から陥れられつつある真因とは?

 安倍政権が陥れられそうになっている直接的な理由は、普通に考えればドナルド・トランプ政権が親イスラエル右派主導で年明けから北朝鮮に対して融和姿勢に転じ、特に最近では一段とそうした風向きになっているにもかかわらず、強硬一辺倒の姿勢を続けたことで、米国の方針と合わなくなってきたことによることが考えられる。
 とはいえ、そもそも安倍首相が強硬な姿勢を続けていたのは、北朝鮮の核兵器の脅威を強調することで日本の国防体制を強化して平和憲法を改正し、さらに将来的には自国も核武装化を成し遂げるためである。それは親イスラエル右派が在韓米軍を撤退させ、さらに将来的には沖縄からも退いていこうとしているなかで、中国を相手に「新冷戦」体制を構築するには避けられないことだ。
 だとすれば、安倍首相が米国から攻撃されているのは、南北及び米朝首脳会談の開催が迫るなかで、国際的に孤立状態を深めることを嫌って自らも北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長と首脳会談の開催を目指したのをキッシンジャー元国務長官が怒っているからと読めなくもない。これが正しいとするなら、かつて、米ソ冷戦時代においてキッシンジャー元長官が中国を取り込みに動き、米中間で国交の締結に動こうとした際に、それに先んじて田中角栄政権(当時)が日中国交回復に動いたのに怒り、ロッキード事件を引き起こされたのと同じ性格のものということができる。
 どちらが正しいかを判断するには、もう少し様子を見たいところだ。


 今週はこれで終わりになります。今週もご拝読いただき、ありがとうございました。
 来週もこれまでと同様に、週明け26日の月曜日から掲載していくので、よろしくお願いします。
 米国が知的財産権の問題を理由に中国に巨額関税をかけることを発表したことが、株価の大暴落も引き起こすなど大きな波紋を広げています。うまく分析作業をしたうえで頭の中でまとまれば採り上げたいと思います。
 なにかありましたら書き込んでいただければと思います。
 またご要望であれば、少人数形式でのセミナーもお引き受けいたします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。