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先週の動き・・・・米中貿易戦争への懸念からリスク回避が強まる

ポイント
・週初に米フェイスブックによる個人情報流出問題が起こり、さらに後半には米国が中国に対して知的財産権の侵害問題で大規模関税を課すことになったことでそれ以上にリスク回避が強まり、株価が急落した。
・外為市場ではリスク回避から円高圧力が強まり、週末には対ドルで下値の岩盤を割り込んだ。ユーロ・ドルはレンジ内のなかをやや強含んだ。



 先週の国際金融市況は米政府が中国からの輸入に対して大規模な関税をかける措置の導入を決めたこともあり、リスク回避が進んで株価が急落した。
 米株価は週初19日には一昨年の米大統領選挙の際に、ドナルド・トランプ陣営が利用した英コンサルティング会社が米フェイスブックの利用者5,000万人超の個人情報を不正に入手していたと報道されたことから急落し、ダウは前週末比335ドル安に、ナスダックも同140ポイント近く下げた。
 翌20日には米国内在庫の減少から原油相場が上昇したことで反発し、ダウは前日比120ドル近く戻した。21日には米連邦公開市場委員会(FOMC)での委員による年内の利上げの回数の見通しの中心値が3回と据え置かれたことから一時100ドル以上も上昇したが、すぐに来年以降も積極的に利上げを見込む向きが増えたことや米経済の成長率の見通しを引き上げたことが嫌気されてそれ以上に下がるなど、動意の激しい動きになった。
 そして22日には、トランプ大統領が知的財産権の侵害で中国からの輸入に500億~600億ドル相当の関税を課す大統領令に署名したことで、市場では急激に激震に見舞われた。これにロシアゲート事件での大統領側の弁護団の主任弁護士が辞任したことが報じられたことも加わって急速にリスク回避が強まり、ダウは同720ドル以上、ナスダックも同180ポイント近くも下げた。さらに週末23日もこの流れが続いてそれぞれ同420ドル以上、170ポイント以上もの大幅続落となり、ナスダックは7,000ポイントを割った。
 それにより、ダウは先週末2日間で1,150ドル近く下がるなど先週1週間で1,413ドル、5.7%も下がった。この下落率は1日で1,000ドル以上も下げた日が2日もあった2月5日から始まる週を上回るものとなった。またナスダックも先週末2日間で350ポイント以上も下がるなど、先週1週間で490ポイント近くも下落し、下落率は6.5%とダウをも超えるものとなった。

 日本株も円高圧力も加わって急落した。
 週初19日は財務省理財局の公文書改ざん問題から各社が発表している安倍晋三内閣の支持率が軒並み急落したことから軟弱な地合いになり、日経平均は前週末比200円近く下げた。翌20日も前日の米国株がフェイスブックによる個人情報の流出問題から急落したのを受けて軟調な動きになり、前日比100円近く続落した。
 休場を挟んで22日には自律反発を期待した押し目買いに加え、年度末を前に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)絡みの大口の買い物も見られたとの指摘が出たこともあり、前営業日比210円超も反発した。しかし、週末23日には知財問題での米国による中国に対する大規模関税の導入から世界的にリスク回避が強まったなか、下げ幅が前日比で一時は1,030円以上にも達し、引値でも970円近くに達した。

 外国為替市場ではリスク回避から円高が進んだ。
 ドル・円相場は週初19日には1ドル=105円台後半から106円台前半で推移した後、翌20日には米FOMCで米連邦準備理事会(FRB)の年内の利上げの回数の見通しが4回に引き上げられるとの見方からドル高圧力が強まり、ロンドン市場では106円60銭に水準を切り上げた。しかし、21日のニューヨーク市場ではそれが3回と前回と変わらなかったことから軟化し始めた。
 翌22日の東京市場でもそうした地合いが続いた後、ニューヨーク市場では米国による中国製品に対する大規模関税の導入の動きから米中貿易戦争への懸念が高まり、一段と下がりやすくなった。それにより、週末23日の東京市場では104円60銭台まで一段安になった後、ロンドン市場からニューヨーク市場の序盤にかけて、トランプ大統領が1.3兆ドルもの歳出法案に署名したことからいったん105円台に戻したものの維持できず、再び104円台に下げた。

 ユーロ・ドル相場はレンジ内での動きが続いたなか、前週には欧州中央銀行(ECB)執行部のハト派的な発言から軟化したが、今週は強含む展開になった。
 週初19日の東京市場では1ユーロ=1.22ドル台後半で始まった後、ロンドン市場ではECB関係者から来年4-6月期に利上げの決定をほのめかす発言が出たことから上昇し、ニューヨーク市場では1.23ドル台半ば超に達した。
 その後、米FOMCで利上げの回数の見通しが4回に増えるとの観測によるドル高圧力から再び1.22ドル台に下落した。21日にはそれが3回と前回と変わらなかったことから1.22ドル台に再び下落した後、22日には知財問題での米国による中国に対する大規模関税の導入から、週末23日のロンドン市場にかけて1.23ドル台半ばに水準を戻していった。


ドル・円は二段下げが続き元の木阿弥に

 ドル・円相場は今年に入ってから下げ続けてきたなかで、今月に入ってからは1ドル=105円台で下支えられていたが、中国に対する米国による知財問題での大規模関税の導入からリスク回避が一段と強まったことで、先週末にはこれをも割り込んできた。今週にすぐに105円台を回復して定着できれば強力な“底入れサイン”になるが、それは難しいかもしれない。
 回復できなければ、16年12月15日の118円65銭の高値を起点として、昨年11月6日の114円74銭を戻り天井とする二段下げの調整が続いていることになる。通常、こうした下降ウェッジは5波動で下げてくる習性があることから、底値は一昨年の下値の岩盤だった100円前後の水準が見えてくる――すなわち、一昨年11月8日の米大統領選挙の翌日に101円台の安値をつけてから急上昇したが、“元の木阿弥”の水準にまで下がるということだ。


 今週は、明日は先週開催されたFOMCの結果について簡単に振り返ります。
 明後日はフェイスブックの個人情報の流出問題を採り上げます。
 明後日以降は米国が中国に対して知的財産権の侵害を理由に大規模関税を課すことを正式表明したことを採り上げます。
 この問題については3日間にわたり掲載することにします。ですから、1日多く、31日土曜日まで掲載します。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。