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中国の模倣戦略封じ込めを意図した米国の真の目的

ポイント
・今回の米国が知財問題で強硬措置に出た理由の一つは、中国はこれまで「模倣戦略」により経済発展し強大国化してきたが、今後もそれが続くことを防ぐことにある。
・もう一つは、米国は表面的には軍拡競争を繰り広げながら中国内部に“蚕食”し、対外膨張路線に乗って利権を拡大していこうとしており、その目的を達成するために中国側に国有企業改革を推進し、完全買収を認めるように仕向けることだ。



米国の強硬措置の目的の一つは中国の模倣戦略の継続の防止

 米ドナルド・トランプ政権が中国に対して知的財産権の侵害問題で強硬措置に出る姿勢を見せていることについて、最後に最も大事なことを指摘する。
 今回、米国が強硬措置に出たのは二つの理由がある。一つは前回の当欄で述べたように、中国政府はこれまで世界貿易機関(WTO)体制を利用し、官民を挙げて提携する外資の技術を盗み、それを計画的に自国の産業に育成していく「模倣戦略」を推進することで発展し強大国化してきたが、それが今後も続いていくことを防ぐことだ。
 これから中国を相手に「新冷戦」体制を構築しようとしているなかで、これまでのように自分たちの先端技術を盗用されて自国の既存産業が脅かされる状態になるのを黙認していて良いはずがないのであり、国防に直結する産業であるならなおさらである。いわば、今回の措置はその意味では、ソ連を相手とした旧冷戦時代の「対共産圏輸出統制委員会(ココム)」規制のようなものといえるだろう。


模倣戦略を封じることで完全買収の促進を目指す

 二つ目は、これまで当欄で述べてきたように米国は絶対的な権力を握った習近平国家主席に国有企業改革を推進するように要請しているが、それにより顕在化する国有銀行の不良債権処理を推進するうえで米系金融機関に進出させようとしており、その際に完全な買収も当局が容認するように仕向けることだ。
 中国では政治的には抑圧されて自由のない共産党による一党独裁体制であり、経済的にも市場経済システムがしっかり機能していないので、自分たちで創造性を発揮して新産業を興したり技術革新を推進していく能力がない。そうしたところに「模倣戦略」が封じられてしまえばこれ以上の経済発展が望めなくなってしまうので、外資に国有銀行や代表的な国有企業を完全に買収させることで中国領域内に呼び込み、それに依存する以外に発展できなくなってしまう。
 米国としては表面的には中国を相手に軍拡競争を繰り広げながら、裏側では敵国に潜り込んで中国そのものを“蚕食”していこうとしている。それにより、米国が世界各地から後退していくのと引き換えに、中国が「一帯一路」構想をはじめ対外膨張路線を推進していくのに乗って、グローバル規模で利権を拡大していこうというわけだ。習主席は2035年や49年までに「社会主義現代化強国」を建設すると豪語しているが、それが実現できたとしても、その内部事情の実態が予想できるようになってきたといえそうだ。


 今回はこれで終わりです。
 来週も週明け2日から掲載していくので、よろしくお願いします。
 なにかありましたら、書き込みをしていただければと思います。
 また、小規模での懇親会形式でも構いませんので、講演会をご希望でしたらお引き受けいたします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。