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戦争を欲する軍需産業系と利用されたネオコン派

ポイント
・軍需産業系はレーガン政権以降、特にブッシュ政権の際にネオコン派を利用して戦争を引き起こして巨利を得てきたが、イラク戦争の戦後処理につまずいて同派を切り捨てた後も、ISのようなテロ組織を密かに育成し支援することで慢性的に戦争を続けてきた。
・イスラエルやサウジアラビアはイランの核保有を疑って米国に軍事攻撃を要請したのに対し、イラクの戦後処理の二の舞になるのを恐れた米国はこれを拒んできたが、今回、大統領補佐官にネオコン派のボルトン元国連大使が就いたことでその可能性が高まっている。



慢性的に戦争を続けてきた軍需産業系

 かつて、「世界皇帝」デイヴィッド・ロックフェラーは自身が抱えている石油・軍需産業系の利害を追求していくうえで、「世界中の独裁政権を倒して米国流の民主主義を普及させる」などと、“夢想論”を唱えている世界革命論的なトロツキズムの社会主義者である新保守主義(ネオコン)派を利用し登用した。
 最初にそうした傾向が強まったのが、80年代にソ連を「悪の帝国」と呼んで極端に国防費を膨らませたロナルド・レーガン政権だった。その後、特に00年に情報技術(IT)バブルが崩壊したのを受けて軍需主導で景気浮揚を図ろうとしたこともあり、ジョージ・W・ブッシュ政権下でそれが一段と顕著なものになった。
 軍需産業系がサウジアラビアの王室政府とはあまり関係のない王族グループを介してアルカイダに「9.11同時多発テロ事件」など相次ぐテロ事件を引き起こさせ、「対テロ戦争」を標榜して推進させることで、米国の財政赤字が極端に膨れ上がるとともに軍需産業は莫大な巨利を得てきた。その最たるものが03年3月に始まったイラク戦争であり、武力行使の口実としてサダム・フセイン政権(当時)が「大量破壊兵器を隠し持っている」などと“デタラメ”が唱えられたものだ。
 ところが、その後イラクの戦後統治に失敗したことでネオコン派の権威が失墜すると、それでも展開の主導権を握り続けた軍需産業系は密かに「イスラム国(IS)」のような“醜悪”なテロ勢力を密かに育成し支援していくことで、慢性的に米軍を戦争の泥沼状態に陥らせ続けてきた。それは08年9月にリーマン・ショックによる巨大な金融危機に見舞われ、その立て直しを目的にバラク・オバマ前政権下でおおむね主導権を握った外交問題評議会(CFR)系が国防費を切り詰めて財政赤字の圧縮に取り組んでいたなかでも慢性的に続いてきた。


新大統領補佐官の就任でイランへの軍事攻撃が現実味を増す

 そうしたなかで、イラク戦争の戦後処理につまずいたことでネオコン派は軍需産業系に切り捨てられてしまい、その後多くの同派の人たちは沈黙を守るようになった。しかし今回、大統領補佐官に就任したジョン・ボルトン元国連大使(当時)だけは、オバマ前政権下で締結されたイランと米国を含む6カ国との核開発問題の合意事項は無効であると唱え続けた。
 しかし、特にリーマン・ショック以降、米国では国防費の圧縮が必要とされていたなかで、軍需産業系はイランを攻撃するとイラク攻撃の“二の舞”になるか、より悪化した状態がもたらされかねないとしてこれに反対し、前記のように中東でテロ勢力をこしらえてそれを攻撃するという“茶番”を繰り広げてきた。それでも核開発を疑っているイスラエルやサウジアラビアは米国がイランを攻撃することを望んでいただけに、オバマ政権と関係が悪化したのは周知のことだ。
 そこでイスラエルの右派リクードを強力に支援しているシェルドン・アデルソン氏がボルトン元大使を押し立てて大統領補佐官に起用させたのである。これはマイク・ポンペオ新国務長官の就任と合わせ、北朝鮮問題の解決にそれなりにメドが付けば核開発合意が反故にされ、イランへの軍事攻撃が現実味を増すことを示唆するものと言わざるを得ない。


本当の保守派はトランプ黙認も決して支持をせず

 トランプ大統領が「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げながら、それでいてイランへの攻撃に向けて動いているのは、こうした保守的な親イスラエル右派の勢力に支援されているからだ。さらにいえば、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官を中心とするナチズム系も親イスラエル右派につらなっているのだから当然である。
 その一方で、超保守的なコーク兄弟が大統領選挙戦中、同じ孤立主義(アイショレーニズム)的だったことからドナルド・トランプ候補を黙認したものの、決して支持しなかったのはこのためだ。これは昨年中の議会対策で、トランプ大統領が選挙の公約である医療保険制度改革(通称オバマケア)の改正や大型税制改革の実現を目指すにあたり、保守的な「自由議員連盟(フリーダム・コーカス)」の反発に手を焼いたのを見れば容易にうかがい知ることができるものだ。


 週末の明日もイラン攻撃の可能性について考察するにあたり、最近の米国とロシアの環形悪化についてごく簡単に考えてみます。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。