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ロシア元工作員の暗殺未遂事件が意味するもの

ポイント
・ロシア人の二重スパイの暗殺未遂事件により米欧とロシアとの対立が強まっているが、そうした事件を引き起こせばロシアが疑われてしまうため、あえてそうした“見え見え”のことをするはずがなく、この事件は“ヤラセ”であると見るべきだ。
・この事件が引き起こされた背景には、米国がイランを攻撃しようとしていることがあるようだ。イランの背後にロシアがいるため、米ロ関係が良好な状態にあると攻撃できなくなってしまうからだ。



ロシアの元工作員父娘の暗殺未遂はヤラセか?

 知的財産権の侵害問題を中心とする米中間の通商問題や北朝鮮問題と並び、米欧とロシアの対立が深まっていることも少し考察する必要があるだろう。
 英国でロシア人の元二重工作員(スパイ)が娘とともに毒ガスで襲撃されて意識不明に陥ったのを受けて、英国だけでなく他の主要な欧州諸国や米国までがロシアに対して厳しい制裁措置を打ち出した。例えば米国は国内のロシアの外交官60人を追放し、シアトルのロシア総領事館を閉鎖する措置に出たのに対し、ロシア側もその報復として同数の米国の外交官を追放し、サンクトペテルブルクの米総領事館を閉鎖させた。

 このように英国を含む欧州勢とともに米国とロシアの対立が強まっているが、筆者はこれは多分に“ヤラセ”のような印象を受けている。
 そもそも、以前にも英国でロシア人の元工作員の毒殺事件が起こったことから米欧との間で険悪な関係になったように、そうしたことをすると“真っ先”にロシアが疑われてしまう。そのため、果たして“見え見え”のことをあえてロシア側がするものなのかといった疑問が湧かざるを得ないからだ。
 どうやら、この事件は仕組まれた“ヤラセ”であることが示唆されると言わざるを得ないだろう。


イラン攻撃を示唆する米ロ間の対立激化

 ではこの時期にどうしてこうしたことが起こったのかというと、米ドナルド・トランプ政権でマイク・ポンペオ新国務長官とジョン・ボルトン新大統領補佐官という2人の“凶暴”な新保守主義(ネオコン)派に交代したことと無関係ではないだろう。前回の当欄で指摘したように、この人事は北朝鮮を攻撃したり威嚇するためのものではなく、イラン攻撃をにらんでのものである。
 だとすれば、このロシア人のスパイの暗殺未遂事件もやはり近い将来、米国がイスラエルやサウジアラビアを押し立ててイランを攻撃しようとしていることと無関係ではないだろう。攻撃の対象であるイランの背後にはロシアがいるため、米ロ関係が良好な状態にあると米国としてはイランを攻撃できなくなってしまうからだ。攻撃するためにはロシアとの関係が悪化していることが条件になるためだ。
 おそらく、そうしたことはその裏側で、米トランプ政権とロシアのウラジーミル・プーチン政権との間で了解事項になっているのだろう。


 今週はこれで終わりになります。
 今週もご拝読いただき、ありがとうございます。
 来週もこれまで通り、週明け9日月曜日から掲載していくので、よろしくお願いします。
 なにかありましたら、書き込んでいただければと思います。
 また、少人数での懇親会形式でもかまいませんので、筆者が実際に出向いてお話をお聞きしたいようであればお引き受けいたしますので、よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。