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北朝鮮の非核化と米軍の撤退を巡る議論

米大統領が即決で米朝首脳会談の申し出を受け入れる

 また北朝鮮問題では、3月25~28日に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が電撃的に訪中して習近平主席と会談したのを皮切りに、今月27日には南北首脳会談が、5月下旬から6月には米朝首脳会談が開催されるのを前に、来週には安倍晋三首相が訪米して17、18日にフロリダ州のトランプ大統領の別荘「マールアラーゴ」で日米首脳会談が行われる。北朝鮮問題を巡り同国と周辺各国が目まぐるしく動いているだけに、ここではその焦点について考察する。紙幅の関係で要点だけを述べることにし、詳細については次回以降、機会があれば採り上げることにする。

 まず、北朝鮮の金正恩委員長は3月5日に韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の2人の特使と首都ピョンヤンで会談し、軍事的な脅威が解消されて体制が保障されれば朝鮮半島から非核化を実現する意思を明確に示した。これはすなわち、戦術核を持ち込んでいると見られている在韓米軍の撤退を米国との間で事実上の取引材料にしようというものだ。それが実現されれば、経済的なコストの問題と並んで政治的には北朝鮮の体制保障の問題が大きな障害になるが、それでも朝鮮半島の統一に向けて動き出す可能性が出てくる。それを協議するために、金委員長は南北首脳会談とともに米国との間でも首脳会談の開催を呼びかけた。韓国の特使がそれを米国のトランプ大統領に報告に行くと、ジェームズ・マティス国防長官はじめ周りの閣僚が性急な行動を諫めようとしたにもかかわらず、大統領は即決でその申し出を受け入れてしまった。


核放棄を巡る支援も含めた手段の議論は無意味

 この米朝首脳会談については、これまで北朝鮮は94年10月に締結された米朝枠組み合意のように核放棄を約束しておいて、実は密かに開発に向けて動き続け、結局反故にされた経緯から、交渉はまとまらないとの見方が多いようだ。また核放棄の部分だけは合意しても、米国側は核放棄を先行して実施させるリビア方式を求めているのに対し、北朝鮮は支援だけを“先食い”して廃棄の動きが立ち消えになり、実質的にインドに対抗して核保有を手にしたパキスタン方式を求めてくるといわれている。そこで仲介役の韓国は支援と核放棄を同時並行的に進める南アフリカ方式を提唱することで両者の合意を取り付けようとしているとされている。ただ筆者の観点では、金正恩委員長は“影武者”として米国の親イスラエル勢力の傀儡であり、米国を標的にした核兵器を搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に取り組んでいたといった“茶番劇”を続けながら、実際にはそのミサイルは中国を標的にしていたものだ。そのため、そうした議論はこれからも表面的には繰り広げられていくのだろうが、実際にはまったく無意味な議論だと思っている。


イラン攻撃を控えてシリアからの早急な撤退は得策でない

 まずここで大事なことは、トランプ政権で主導権を握っているナチズム系のキッシンジャー元国務長官は世界的に展開している駐留米軍を順次、徐々に撤退させていこうとしていることだ。その手始めとして中東では「イスラム国(IS)」の掃討を名目にいまだに駐留しているシリアから実際に撤退し、また極東では韓国から撤退するメドを着けようとしている。このうちシリアについては当面はまだ駐留し続けることになったが、これは職業軍人系を含む軍需産業系だけでなく、マイク・ポンペオ国務長官まで同調したという。トランプ大統領だけが撤退を主張しても、これからイランを攻撃しようとしているなかでシリアから撤退するのは得策ではないのはいうまでもないことであり、ジョン・ボルトン大統領補佐官も同じ意見だろう。


在韓米軍をすぐ撤退できなくても足掛かりの構築に意味がある

 ここで問題となっている在韓米軍については、今すぐ撤退させるわけにはいかないのは当然であり、あまりに性急に推進し過ぎると、韓国国内でも高齢層を中心とする保守層の勢力が健在であることから強烈な亀裂を引き起こさずにはおかないはずだ。とはいえ、それでも将来的に撤退の足掛かりを築くうえで、米朝首脳会談を開催する意義は十分にあるはずだ。おそらく、キッシンジャー元国務長官は北朝鮮の核放棄とともに在韓米軍の撤退を実現させるとともに、これまで同国の核ミサイルが果たしてきた中国を威嚇する役割は、将来的に日本に受け継がせようとしているのだろう。ところが、最近の安倍首相は周辺外交の孤立化や拉致問題が置き去りになるのを嫌い、水面下で日朝首脳会談の開催を打診するといった軟弱な姿勢を見せており、なんとも頼りないと思っているはずだ。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。