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国務省が排除されて米国と北朝鮮との間で調整が行われる

ポイント
・昨年末には大統領補佐官が攻撃を決断したことで軍事攻撃の可能性が高まったかに見えたが、年明け以降、朝鮮半島では一転して融和ムードが高まった。
・その背後には、軍需産業系から送り込まれた職業軍人系が攻撃を主張していたのに対し、トランプ政権で主導権を握っているナチズム系はそれは中国を脅す手段としていたに過ぎず、最初から攻撃は考えていなかったことがある。
・金正恩委員長の外交政策は実に精巧なように見えるが、それを操っているのは某中東の工作員であり、それがトランプ政権やその背後の米権力者層との間に介在していた。
・トランプ政権は最初から北朝鮮との交渉において国務省を排除し、CIAに新組織を創設して長官直属とし、前記の工作員をそこに配置して対処してきた。さらに韓国の親北的な文在寅政権をそこに介在させて北朝鮮が外交の表舞台に出やすい環境作りを醸成してきた。
・ティラーソン国務長官の穏健的な外交姿勢は現状維持であり、在韓米軍を撤退できない状態にすることにあった。また世界最大のウラン鉱石の埋蔵量を誇る北朝鮮問題に関与することは、石油メジャーの利害を前提に動いている長官としては受け入れられなかった。
・金委員長が突如、中国を訪問して中朝首脳会談を行ったのは、もはや米国は攻撃することはしないので、金融市場を含む資本取引の自由化を行ったうえで安心して国有企業改革に取り組むようにメッセージを送ることが目的だった。



軍事攻撃の高まりから年明けに一転して融和ムードに

 次に北朝鮮問題について大事なことを、要点を整理して述べていく。
 この問題については、昨年中には北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返し、また核実験も行うなど強硬に核武装化への道を突き進んでいったのに対し、米ドナルド・トランプ政権はバラク・オバマ前政権が何もしないで放置してきたのを批判し、軍事攻撃も辞さない姿勢を示したことで対立が深まっていった。実際、昨年末にはマイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官があと3カ月もすれば、北朝鮮は米本土まで届く核兵器が搭載可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)を手にすると報告したのを受けて、ホワイトハウスで安全保障問題を担当していたハーバート・マクマスター大統領補佐官が攻撃を決断したという。
 ところが年明け以降、北朝鮮では金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が平昌五輪への参加を表明するなど、一気に融和ムードが高まったのは周知の通りだ。


軍事攻撃を考えていた勢力とそうでない勢力

 ここでまず指摘すべきことは、マクマスター大統領補佐官やジョン・ケリー大統領首席補佐官といった職業軍人系を閣僚に送り込んだ軍需産業系は本当に軍事攻撃を考えていたのに対し、トランプ政権で主導権を握っているヘンリー・キッシンジャー元国務長官を中心とするナチズム系は最初からそれを考えていなかったことだ。何度も指摘するように、中国に対して資本取引面を中心とする市場開放や国有企業改革に取り組むように強要していくにあたり、その手段として利用していたに過ぎない。
 年明けから融和ムードが高まったのは、中国で習近平国家主席が絶対的な権力を握ったことがある。これまで通り北朝鮮問題を煽って難民が流入する“恐怖心”を与え続けると、中朝国境に近く首都北京との狭間に位置している遼寧省では重化学工業部門の国有企業が多く、潜在的な失業者を大量に抱えていることから、大規模な暴動が引き起こされる危険性が高まるので、国有企業改革を後押しするにはかえって逆効果になってしまう。そこで年明け以降、この問題については一転して融和ムードを高める一方で、その手段を通商問題に切り替えることになったわけだ。
 昨年末の段階で軍事攻撃が現実味を帯びたように見えたのは、軍需産業系がロシアゲート事件を引き起こしてトランプ政権を攻撃し、キッシンジャー元長官が送り込んだマイケル・フリン元大統領補佐官が更迭されて前記の職業軍人系が閣僚に送り込まれたことによるものだ。


北朝鮮で実際に外交政策を担っていた人物群

 何度も指摘するように、トランプ政権で主導権を握っているナチズム系の勢力は、中国を対象に「新冷戦」体制に持ち込もうとしている。ただし、米国の世界覇権が斜陽期に転じたなかで、各地に駐留している米軍を撤退させて属国群を独立させて軍事力を強化させていき、そうした国々と連携することで対処していこうとしている。極東では在韓米軍を撤退させる機会をうかがっており、将来的には沖縄からも退いていくことになる。
 そうしたなかで、これまで米国の親イスラエル勢力は北朝鮮で「先軍政治」により主導権を握っている人民軍幹部を操り、核兵器の開発を推進させることで中国に圧力をかけてきた。金正恩委員長はスイスに留学して英才教育を受けたとされるが、本当は今、“表”に出ている人物は“影武者”である。その周囲に複数の「中東の危険な国」に所属している朝鮮系の諜報員が暗躍し、米トランプ政権やその背後の権力者層の間に介在していたという。
 金正恩委員長の外交政策は極めて洗練されていて精巧なように見えるが、本当にそれを担ってきたのはこの工作員が背後の権力者層の意向を受けて行っていたものだという。


最大手石油メジャー出身の米国務長官の穏健外交の真意

 そうしたなかで、トランプ大統領やその背後の権力者層は北朝鮮問題で外交交渉を行うにあたり、最初から軍需産業系の影響力が強い国務省の外交官がそれを担うのを排除しようとした。レックス・ティラーソン国務長官が穏健的な外交姿勢を示していたが、その意味するものは現状維持なのであり、いつまで経っても在韓米軍を撤退できない状態にすることにあった。
 さらに言えば、この北朝鮮問題は世界最大の埋蔵量を誇るとされる朝鮮半島北部のウラン鉱石の利権を、中国を排除して握るという意味合いもあったことも指摘できる。その地位に就任するまで石油メジャー最大手であり、つい最近まで米国の世界覇権の絶頂期に「世界皇帝」として君臨したデイヴィッド・ロックフェラーがオーナーだったエクソンモービルの会長兼最高経営責任者(CEO)だったティラーソン国務長官としては、どうしても石油産業の利害を前提に動く面があっただけに、原子力産業の優位性をもたらすこの問題に深く関与することは到底受け入れられなかったといえる。


韓国で保守勢力を排除して左翼政権に国務省の役割を担わせる

 そこでトランプ大統領は北朝鮮と裏交渉を行うにあたり、CIAに新組織を結成したうえでそれを腹心のポンペオ長官直属に置いて、前記の朝鮮系「中東の危険な国」の工作員をそこに組み入れて対処してきた。
 さらに韓国では、朴槿恵(パク・クネ)前政権をスキャンダルを暴露して陥れて打倒するなど、反北朝鮮的で日米韓の枠組みを重視する保守勢力を排撃していった。その一方で、親北朝鮮的な左翼勢力を支援し、文在寅(ムン・ジェイン)政権を成立させてその文政権に国務省のような役割を担わせることで、北朝鮮が外交の表舞台に出やすい環境を醸成するのに貢献させてきた。


金正恩の訪中は中国に攻撃はないとのメッセージを送るため

 米朝首脳会談やそれ以前の南北首脳会談の開催を前にして、北朝鮮の金正恩委員長は突如、3月25~28日に北京を訪れて中朝首脳会談を行い、6カ国協議への復帰にも前向きな姿勢を示した。巷間では、核放棄の廃棄を巡り米国と北朝鮮との間で見解の不一致があり、米朝首脳会談で合意するのが困難と見られているなかで、会談が決裂して米国の攻撃が現実味を帯びる際に、中国の後ろ盾を得るために金委員長が訪中したとの見方が根強いようだが、それは正しくない。
 その本当の目的は、その背後のナチズム系主導の米国がもはやこの問題で軍事攻撃をちらつかせることはしないので、金融市場開放を含む資本取引の自由化を実現させたうえで、安心して国有企業改革に取り組むようにメッセージを送ることにあった。米軍が攻撃すると大量の難民が中国領域内に押し寄せることが予想されるが、それが都市部の都市戸籍を持たない「民工」と呼ばれる貧しい出稼ぎ労働者を刺激し、大規模な暴動に発展する恐れがあるため、改革に向けて障害になるからだ。


 週末の明日もこの続きを掲載します。
 明日はそれを背景に、北朝鮮の核廃棄と日本がたどる道について簡単に考えることにします。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。