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日米首脳同士の北朝鮮問題を巡る協議の真実

ポイント
・日米首脳会談の1日目の北朝鮮問題を扱った首脳同士の会談では、安倍首相はトランプ大統領から、在韓米軍の撤退や一括処理後も実際には核廃棄に至らず、短中距離ミサイルも温存されること、いっそうの防衛力強化を説明、説得されたと思われる。
・トランプ大統領の背後の権力者層は軍需産業系の息がかかった国務省系を排除するために朝鮮系の“某国”の工作員が介在してCIAの新組織に組み込んだため、3月下旬にポンペオ長官が訪朝して金正恩委員長と会談したのはおかしなことではない。
・米国が検証可能で不可逆的な処理を求めているのに対して北朝鮮側は「行動対行動の原則を主張しているが、北朝鮮側が一括処理するのと引き換えに米国側も在韓米軍を撤退させれば釣り合いが取れることになる。
・金正恩委員長の核実験やミサイル発射の中止、核実験場の廃棄の発表は、韓国では在韓米軍の撤退に不安を恐れる雰囲気があることや、廃棄後もそれを保有し続けることを暗に表明したといえなくもない。



1日目の日米首脳会談で説明され説得されたもの

 次に先週17~18日に開催された日米首脳会談と北朝鮮問題の補足説明について、これまで述べてきたことと重なることや紙幅の関係から簡単に述べておく。
 まず日米首脳会談では、1日目はゴルフのプレーも交えながら首脳同士の協議になったが、そこではどのようなことが話し合われていたのか定かではない。ただこれについては以前、当欄で述べたように、北朝鮮の核兵器や大陸間弾道ミサイル(ICBM)については一括処理と引き換えに在韓米軍を撤退させること、それでも北朝鮮から完全に核兵器が完全に除去されず、短中距離ミサイルも温存されること、そして日本はいっそうの防衛力の強化と核武装化への道を突き進むように安倍晋三首相はドナルド・トランプ大統領から説明を受けて説得されたと思われる。
 安倍首相が米朝首脳会談で拉致問題を採り上げるように要請し、トランプ大統領がそれを受け入れたが、これはあくまでも日本の政治面への配慮から首相に配慮したに過ぎず、米国側が米朝会談でそれを本格的に採り上げるとは思えない。それを採り上げるとまったく合意できなくなってしまうし、また実際に南北統一が実現する場合など実際に日本による大規模な資金提供が必要になる際に、この問題はそれを実現するための重要な「対価」になり得るからだ。


トランプ大統領と金正恩を仲介した人物

 またこの時に、米朝首脳会談の開催地として米国を除く5カ所が候補地として挙がっていることや、トランプ大統領の腹心のマイク・ポンペオ中央情報局(CIA)長官(現国務長官)が3月末に平壌(ピョンヤン)を訪れて金正恩委員長と会談したことが明らかにされた。
 このうち重要なのはいうまでもなく後者についてである。以前、当欄で述べたように、これまで親イスラエル勢力の“影武者”である金正恩委員長を操っていたのは朝鮮系の“某国”の工作員である。トランプ大統領やその背後の権力者層は北朝鮮側と交渉を行うにあたり、軍需産業系や石油メジャーの利害で動いている国務省の外交官に関与させないでその工作員と調整してきた。そこでCIAに新組織を創設して大統領の腹心のポンペオ長官の直属とし、そこにその工作員を組み入れて水面下で工作活動を推進してきたわけだ。
 だからこそ、首脳会談の“下準備”としてポンペオCIA長官が金委員長と会談するのは何らおかしなことではない。ただあえてこの段階でそれを明らかにしたのは、交渉がうまくいっていることを示すとともに、トランプ大統領に直接的につらなる系列で物事を推し進めているので、日本側は無用なことをしないように暗に牽制されたということができるだろう。
 これは年明け以降、一転して融和ムードが高まったことで日本が孤立してしまい、拉致問題も置き去りになるのを恐れて安倍首相が水面下で日朝首脳会談の開催を模索する動きに出たことがトランプ大統領の背後勢力の反感を買ったようだが、これからはそうしたことをしないように“釘を刺された”のだろう。


一括処理と在韓米軍の撤退は非現実的ではない

 今のところ、米国は北朝鮮に対して核兵器の検証可能で不可逆的な一括処理(CVID)を求めているのに対し、北朝鮮側は「行動対行動」の原則を前提に、段階的に放棄をしていくのと引き換えに支援を受けたり、朝鮮半島の非核化を目指すうえで米国も具体的な行動をとるような方式を主張しているとされる。
 それはすなわち、「行動対行動」の原則に従えば、米国の要求通りに北朝鮮が一括処理をするなら、戦術核を持ち込んでいるとされる在韓米軍も撤退すれば釣り合いが採れることを意味する。そのあたりが重要なところだ。
 今回、日米韓はトランプ大統領が大統領選挙での再選を狙う20年を非核化の期限と定めたとされるが、あと2年しか猶予がないとはいえあながち非現実的とはいえないだろう。


金正恩の核実験やICBM発射の中止発表の意味するもの

 先週末21日に金正恩委員長は核実験とICBMの発射の中止や、「豊渓里(プンゲリ)」と見られる核実験場の廃止を表明した。そこでは核放棄の意思を示しておらず、米朝首脳会談に向けて米国側と駆け引きを繰り広げるためのものであるとの見方が一般的だが、なかには非核化の意思がないことが明確になったとして、会談では合意が難しくなったとして悲観的な見方も聞かれるようになっている。
 実際、北朝鮮はこれまで6回もの核実験を行ってきたが、例えばインドやパキスタンは同じ回数の実験を行ったことでその技術を修得してしまい、国際社会から事実上、核保有国として容認されているあたり、北朝鮮もそれを目論んでいるといえなくもない。ただ、筆者はそこには二つの意味があると見ている。


在韓米軍の撤退を恐れている韓国

 一つは韓国への対策だ。韓国では野党の保守派はもとより、文在寅(ムン・ジェイン)政権を輩出している与党の親北朝鮮的な左翼政党でも、多くが在韓米軍が完全に撤退することを望んでいない。北朝鮮が完全な核放棄に応じるかどうか定かではなく、応じたとしても通常の戦力は残るなかで(本当は朝鮮人民軍の兵士は飢えがひどくて戦闘活動ができる状態ではないというが)、国防の後ろ盾だった在韓米軍が撤退することは脅威以外の何物でもないからだ。
 実際、米韓自由貿易協定(FTA)の改定を巡り、米国側がウォン相場の人為的な切り下げを封じる為替条項の挿入を求めるにあたりその撤退をちらつかせたことに、そうした状況が表れている。先週19日に文在寅大統領が北朝鮮は米軍の韓国からの撤退を望んでいないなどと発言したあたり、本音ではそれを恐れていることが透けて見える。
 そこで裏側で米国側とつながっている北朝鮮としては、米朝首脳会談までは完全に核放棄に向けた姿勢を打ち出さない方が得策だと見ているのだろう。


核廃棄後も持ち続けることを暗に表明?

 もう一つは米朝首脳会談の後のことだ。本当に完全な核放棄に応じて核拡散防止条約(NPT)に再加盟し、定期的に国際原子力機関(IAEA)の厳格な核査察を受けても、原子力施設や軍事施設といったところ以外に隠し持っていれば、そこは査察をする場所ではないのでわかるはずがない。
 おそらく、表面的には完全な核放棄に応じたように見せかけて実際には隠し持ち続け、中短距離ミサイルも温存したままの状態を続けることで中国を威嚇し続け、日本の核武装化も後押しするのだろう。そうしたことを、今回の金正恩委員長の表明は暗に示唆したといえなくもないだろう。


 明日は日米首脳会談での2日目の通商協議について簡単に考えることにします。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
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