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安倍首相に反発する利権喪失の危機にさらされる防衛族議員

ポイント
・トランプ大統領が北朝鮮に対して核兵器の一括処理を求めているのは中国やロシアゲート問題を引き起こしている軍需産業系に付け入る隙を与えないためであり、金正恩委員長が本来的に米国の傀儡なので北朝鮮側がそれを受け入れることは十分あり得る。
・ただそれは在韓米軍が撤退することで、その利権を握っていた職業軍人系をはじめとする米軍需産業系や韓国の保守勢力には極めて大きな打撃となる。
・朝鮮半島の非核化を目指すことは、日本に駐留している米軍も核兵器を持ち込んでいるので日本からの撤退も視野に入ることになる。
・それにより、日本でも米軍が駐留していることで利権を握っていた自民党政治家が利権喪失の危機を迎えることになり、トランプ大統領につらなってこうした路線を推進している安倍首相に抵抗しているのは防衛族の議員が多い。




北朝鮮側が一括処理を受け入れることは十分あり得る

 どうしてドナルド・トランプ米大統領が核廃棄の一括処理にこだわっているかというと、一つには外交面では中国が介入してくる余地が出てくるのを防ぐためだ。ただそれ以上に重要なのが、時間的な余裕が出ることで、米国内ではヘンリー・キッシンジャー元国務長官の路線に反対し、ロシアゲート問題を引き起こしている軍需産業系に付け入る隙を与えないためだ。
 そして北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が本当は米国の傀儡であり、トランプ政権で主導権を握っている勢力の意向通りに動いているので、6月上旬に開催されると見られている米朝首脳会談で、在韓米軍の撤退と引き換えに一括処理を受け入れることは十分にあり得る。
 いうまでもなく、北朝鮮側がトランプ政権が求めている「完全かつ検証可能で不可逆的(CVID)」な核廃棄による一括処理をそのまますんなり受け入れるのは難しいと見られているなかで、あっさり認めてしまえば多くの利害関係者の間ではかなりの“サプライズ”になることだろう。特に米国の軍需産業系や職業軍人系のように、在韓米軍が撤退することで利権が失われる勢力の間では衝撃を持って受け止められるだろう。
 米国外ではその利権に与っている韓国の保守勢力だけでなく、日本でも例外ではない。


在韓米軍の撤退で日本の防衛族も利権を失われる危機に

 なぜなら、北朝鮮の体制保証を受け入れるために在韓米軍を撤退させるのであれば、沖縄やグアム島に駐留している米軍もその範疇に含まれる可能性が出てくるからであり、実際にトランプ政権の背後勢力はそれを望んでいるはずだ。そもそも、自民党政権が長年にわたり、「造らず、持たず、持ち込ませず」の「非核三原則」が守られていると主張し続けていたのは、沖縄の米軍基地にまつわる利権を手放したくなかったからだ。
 ところが民主党政権に代わった際に、沖縄には核兵器が搭載可能なミサイルや世界最大の核兵器の戦闘部隊が、また長崎の佐世保港に寄港している原子力空母ジョージ・ワシントンとそれを護衛するフリゲート艦が核武装をしていることが明らかになっている。北朝鮮側が核兵器の一括処理に同意してしまうと、こうした沖縄や佐世保に駐留している部隊も撤退せざるを得なくなりかねないため、そこの利権を握っている自民党の防衛族やその関係者の間では困ったことになってしまう。


安倍首相は日米首脳間のシナリオ通りに動いた?

 今回、南北首脳会談が行われ、朝鮮半島の非核化とともに朝鮮戦争の終結や在韓米軍の撤退の方向性が次第に見えてきたなかで、永田町では多くの政治家がもはやなす術がないとして傍観せざるを得ない状態に追い込まれている。
 そうしたなかで、官邸だけには事前にその首脳会談の結果が知らされていたようだが、特に安倍晋三首相は前週17日の日米首脳会談の1日目の際に、ゴルフのプレーも交えながらトランプ大統領からしっかり説明を受けて、また指示も与えられていたはずだ。安倍首相がトランプ大統領とともに北朝鮮の非核化が実現されるまでは最大限の圧力をかけ続けると主張しておきながら、今回の南北首脳会談を受けて河野太郎外相とともにそれを歓迎すると表明したのも、日米首脳間でのシナリオ通りの動きと言えなくもない。


安倍首相に敵対する防衛族議員

 注目されるのは、自民党内で安倍首相の路線に同調しない非主流派の勢力の中には、防衛相を歴任するなど防衛族議員が多いことだ。
 その最も代表的なのが石破茂前地方創生担当相だが、それ以外にも額賀福志郎元財務相は日韓議員連盟会長として韓国の在韓米軍の利権を握っている保守系議員とのパイプ役を務めており、今秋の自民党総裁選を控えて石破前創生相と連携していたものだ。当然のことながら、旧橋本派の幹部として青木幹雄元参議院議員会長の配下として、額賀元財務相とともに小泉純一郎政権を支援していた久間章生元防衛相もそれと同じ系列だ。
 さらにはその小泉元首相の系列からも、00年代に共和党系新保守主義(ネオコン)派主導のジョージ・W・ブッシュ政権と長期に渡り良好な関係を築いただけに、小池百合子東京都知事や武部勤元幹事長がおり、さらには宏池会出身であるとはいえ中谷元元防衛相も元首相の系列に近い。さらには、小泉元首相の盟友である山崎拓元副総裁も“長老格”として、かなり辛辣に安倍首相の路線を批判していたものだ。


 週末の明日もこの続きを掲載します。
 安倍首相に防衛族の議員が抵抗していますが、そのあたりの事情をもう少し詳しく見ていきます。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
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