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慌てて北朝鮮接近と日本取り込みに動く中国

ポイント
・最近、中国が積極的に北朝鮮にアプローチしているのは、朝鮮半島で休戦協定を平和条約に切り替えるにあたり、米国だけが主導権を握るのではなく、自らもかつての戦争の当事国として関与していけるようにするためだ。
・米国では在韓米軍の現状維持を図る勢力と撤退を目論む勢力で主導権争いをしていたが、トランプ政権で主導権を握っているのは後者の撤退を望む勢力だ。この勢力は中国に圧力を加えるために北朝鮮問題を利用していたに過ぎない。
・米国のこの勢力は海外に展開している米軍を撤退させて属国群を独立させていき、それらの国々に防衛力を強化させたうえで提携して中国と対峙し、「新冷戦」体制に持ち込もうとしている。そうした国々に大量に兵器を輸出することで貿易赤字を減らそうとしている。
・米国にとってその最大の得意先は日本であり、また米国に代わり極東では太平洋戦争以来となる軍事大国に仕立てようとしており、中国側もそうした米国の戦略を薄々感じ取っていることから、今のうちに日本に接近して取り込もうとしている。



中国が北朝鮮にまったく影響力を行使できなかったのは当然

 最近、中国が北朝鮮に対して積極的にアプローチしており、3日に王毅外相が訪朝して金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会談したのを受けて、今週7~8日に金委員長が大連を訪れて習近平国家主席と首脳会談が行われた。中国が北朝鮮に関与しようとしているのは、多くの識者が指摘しているように、この問題で自国ができる限り関与していき、排除されないようにするためだ。
 もとより北朝鮮の核兵器やミサイル問題については、米国が軍事攻撃するにしろしないにしろ、米国での権力者層の間での主導権争いに大きく左右されてきたのであり、中国はまったく主導権を握ることが出来ないでいた。それは、北朝鮮で主導権を握っている朝鮮人民軍が親イスラエル的な勢力に操られており、金正恩委員長自身も本当は米国の傀儡なのだから、中国がまったく影響力を行使できないでいたのは当然である。


在韓米軍の存続を図る勢力と撤退を目論む勢力

 米権力者層の間では、石油メジャーにつらなる軍需産業系が在韓米軍を維持する方向に動いていた。その中でも、主にジョン・ケリー大統領首席補佐官に後押しされたハーバート・マクマスター大統領補佐官(当時)に代表される職業軍人系が北朝鮮への攻撃を視野に動いたのに対し、レックス・ティラーソン国務長官(当時)が穏健外交を繰り広げた。前者は実際に攻撃することで在韓米軍の存在意義を高めようとしたのに対し、後者は現状維持を図ろうとした。一見したところ、両者は対照的な動きではあったが、ともに在韓米軍がそのまま駐留するように画策する動きであったのは共通していた。
 これに対し、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官に代表される親イスラエル右派的なナチズム系は最初から攻撃する気など毛頭なく、習近平主席が絶対的な権力を握るまでの間に、中国に対して金融分野の開放を含む資本取引の自由化を求め、また国有企業改革に取り組むように圧力をかける手段として利用していた。習主席が絶対的な権力を握った時点で一転して南北融和ムードを演出し、朝鮮戦争を終わらせて表向き非核化を実現(実際には完全に北朝鮮に核放棄をさせることは不可能であり、そうしたことはこのナチズム系の権力者層も織り込み済みだが)することで、在韓米軍を撤退させる道筋をつけようとしている。
 ドナルド・トランプ政権で主導権を握っているのはこの後者のナチズム系であり、実際に今、朝鮮半島を巡る情勢ではそのシナリオ通りに推移している。こうしたことはこれまで述べてきたことだ。


朝鮮戦争の平和協定締結に排除されそうになり慌てて動く中国

 そうしたなかで、中国はこれまで北朝鮮の核ミサイルで脅され続けてきたが、表向き非核化を実現しても実際にはそれを完全に廃棄するのが不可能ななかで、6カ国協議を再開するなど何らかの影響力を行使することを望んでおかしくない。特に朝鮮戦争を終結させようとするなら、当時、米国が韓国を支援したように、中国も北朝鮮に義勇軍を送り込んで支援しただけに、自らも当事国としてそこに関与すべきだと自負していておかしくない。
 ところが、先々週27日に南北首脳会談が行われた際に打ち出された「板門店(パンムンジョム)宣言」では、その休戦協定を平和協定に変えるにあたり、「南北米」または「南北米中」で協議を進めるとされた。そこでは中国は米国より“下位”に扱われており、場合によっては排除されて米国の意向だけで決まりかねない内容になっているために中国側が慌てており、今のうちに出来る限り北朝鮮に接近して取り込もうとしているわけだ。
 以前、朝鮮半島で融和ムードが一気に高まると日本が孤立していく兆しが見られ、実際に安倍晋三首相が慌てて水面下で北朝鮮との間で首脳会談の開催を模索する動きに出たことでキッシンジャー元国務長官の怒りを買ったものだ。ところが、4月17日にマールアラーゴでゴルフのプレーも交えながらトランプ大統領の説得工作が奏功したのか、今では安倍首相は北朝鮮に対する交渉に慎重になる一方で、中国側が慌てて動くようになっている。


国家戦略で日本に接近し取り込みを図る中国

 今週9日に東京で開催された日中韓首脳会談に中国側から積極的に李克強首相を派遣する意向を示したり、その李首相も単に首脳会談に出席するだけでなく、「視察」の名目で北海道を訪れることになるなど、最近では中国はかなり日本に対して接近してきている。そうした状況のなかで先週4日には安倍首相と習近平主席との間で電話首脳会談が行われたのであり、この会談は日本側から持ちかけたとされるが、それを中国側が受け入れたのはそれなりの国家戦略があると見るべきだろう。


米国は日本を軍事大国化させて新冷戦構造の構築を目指す

 米国は中国を相手に「新冷戦」体制を構築しようとしており、かつての旧冷戦体制とは異なり、在韓米軍に次いで沖縄からも米軍が撤退していくことで属国である日本を独立させたうえで、重要な兵器を次々に売却していこうとしている。そうすることで対日貿易赤字を削減するとともに、日本を太平洋戦争以来となる軍事大国にしていきながら中国に対峙させていこうとしている。
 今回、日本の防衛力の強化に向けて、これまでは“門外不出”とされた世界最強とされるロッキード・マーチン社のステルス性戦闘機のF22とF35の混合型の開発を打診してきたことが報じられている。日本が本格的に軍拡路線に踏み出すと、下請け的な高性能の部品の供給だけでなく、優秀なハイテク製造技術を駆使していずれFX戦闘機の国産化に成功する可能性があるため、今のうちに米国産の技術を日本に配備する戦闘機に植え付けておこうという意図が透けて見える。
 いうまでもなく、政府調達により購入することになるこれらの兵器の利権は、安倍首相及びその周辺が握っていくことになる。

 そうしたなかで、中国政府としてはそうした米国の意図を薄々感じ取っているため、今のうちに出来る限り日本を取り込んでおこうとしているわけだ。また安倍政権としても、キッシンジャー元国務長官はじめナチズム系ににらまれないように十分注意をしながら、「一帯一路」はじめ中国の対外膨張路線に乗って、日本の財界もユーラシア大陸に活躍の場を広げようとしている様子が見て取れる。


 明日は先週、行われた米中貿易交渉について考察します。
 米国は中国に対して削減額の要求を2,000億ドルに倍増させるなど無理難題を押し付けています。
 またZTEへの制裁やそこにファーウェイをも加える動き、「中国製造2025」への撤回要求といった内政干渉のようなことまで求めていますが、その背景について考えます。
 さらに今週は1日伸びて週末の12日土曜日では、米国が核合意から離脱するなど、イランとの対立が強まりつつありますが、それについて簡単にコメントします。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。