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米国の中国への要求とその圧力の強さは時代により変化する

ポイント
・FRBが最終的に政策金利を4%近いところまで利上げをしていけば株価はかなり大きな調整に見舞われざるを得ず、信用収縮から中国経済には資本流出圧力が強まることでバブル崩壊が促進され、政府には国有企業改革に向けて強力な圧力がかかることになる。
・米国が中国に対して本当に求めているのは「中国製品2025」の廃止や技術強要の停止を強要することで国有企業改革を仕向けることだが、朝鮮半島の平和条約の締結にメドが立つまでは中国の協力が必要であるため、まだそうした方向性は具体化しそうもない。



いずれ株価は大きな調整に見舞われ中国に圧力がかかる

 以前、当欄で指摘したように、米連邦準備理事会(FRB)が最終的には4%かそれに近い水準にまで政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を引き上げていくとすれば、長期金利はイールドカーブがフラット(平坦)な状態が続くとしても5~6%程度までは上昇することになる。正常な形状にスティープ(勾配)していけば、7~8%にまで上昇する可能性もなくはない。
 そうなると株価はかなり大きな調整に見舞われざるを得ず、簿外で天文学的な債務を抱えている中国経済について、信用収縮が強まることで資本流出圧力が強まり、バブル崩壊が促進されざるを得ない。それにより、中国政府に対しては国有企業改革に取り組むように強力な圧力がかかることになり、また実際にバブル崩壊が進めばそれなりに国有企業の不良債務≒国有銀行の不良債権が顕在化することで、圧力をかけなくても必要に迫られる形で改革に取り組まなければならなくなる場面も出てくるだろう。
 ただし、朝鮮半島で平和条約が締結されるのはまだしばらく先の話であるため、それまでは基本的に株高傾向が続いておかしくない。


米中貿易協議でもしばらくは米国側の強硬な要求が回避される

 そうしたことは米中間の貿易摩擦についてもいえることだ。
 先週は17~18日に米ワシントンで2回目の貿易協議が開催されていた(実際には15日から協議が行われていた)が、そこでは中国側が農産物やエネルギー関連の輸入を拡大させる以外に、特に大きなことが決まらなくて当然だ。
 今回の協議では米国の対中貿易赤字の縮小や解消だけでなく、中国の通信機器大手の中興通訊(ZTE)への制裁の緩和や、「中国製品2025」の廃止も含めた国有企業への補助金政策の廃止や技術強要の禁止が焦点になっていた。米中間の通商問題といえば、米国の対中貿易赤字の問題やZTEへの制裁問題に焦点が集まりがちだが、米国が本当に問題視していたのは国有企業の補助金の支給や技術強要の問題についてである。
 これまで当欄で指摘してきたように、「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げているドナルド・トランプ政権が中国に対する通商問題で本当に目論んでいるのは、現行の世界貿易機関(WTO)体制が現在では機能しなくなっていることを白日の下にさらすことにある。中国の経済構造が共産党の指導を基盤とする国有企業を主体とする経済構造であり、それが民間取引をベースとする資本主義経済とは相いれない構造に対する不公平性を指摘し主張しようとしているわけだ。そうすることで、国際通商体制も「新冷戦」時代に適合するようなものに改変していくにあたり、民間取引ベースの構造と相いれないものを排除していこうとしている。
 ただし、朝鮮半島を巡り平和条約が締結するメドが立つまでは米国としても中国に対してそれほど強硬な姿勢を見せることが出来ないため、まだしばらくはそうした問題について抜本的に方向性が見える状況にはなりそうもない。


 週末の明日は今週、採り上げたテーマに関連付けて、安倍政権が密かに本当に目指しているものについて考えることにします。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。