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後退しつつあるイタリア・スペイン不安

ポイント
・イタリアの政局不安に見られるような欧州の極右勢力の背後にはロシアや米国でもトランプ政権につらなる親イスラエル右派の勢力が暗躍しているが、この系列はしばらくはドル高が進んで信用不安が強まるような状況が訪れることを望んでいない。
・今回の欧州不安の黒幕は著名な大投機家であるようだが、この人物は親イスラエル左派系で世界単一政府志向系であり、トランプ政権の路線に反対してロシアゲート事件を引き起こしている勢力に行きつくが、主導権は握っていない。



イタリア不安に揺れたがピークを過ぎる

 先週は主に前半では、市場ではイタリアを中心にスペインも加わった欧州不安に見舞われた。イタリアでポピュリズム政党「五つ星運動」と北部ロンバルディア地方の地域政党で右派的な「同盟」による連立政権が成立すると、これら両政党はユーロ圏や欧州連合(EU)にとどまり続けることに懐疑的な姿勢を示していただけに、離脱への動きが強まることが懸念されたためだ。
 イタリアは先進7カ国(G7)の一角であり、ユーロ圏では、またEUでも英国が離脱していけばドイツやフランスに次ぐ経済大国であるだけに、離脱が現実化すればとてつもなく大きな衝撃が走ることが警戒された。特に29日には、新政権の枠組みが整ったうえでセルジョ・マッタレッラ大統領に提出した閣僚名簿のなかで、経済相にユーロ懐疑派の人物が名を連ねていたことから大統領が拒否したことで、緊張状態がピークに達した。
 しかし、その後両政党が経済相の人事を差し替えたことで、マッタレッラ大統領がジュゼッペ・コンテ政権の誕生を承認したことから不安が後退していった。


スペインはもとより大きな問題ではない

 またスペインでも、少数政党の多くが賛成に回ったことで不信任案が可決されたことから国民党のマリアーノ・ラホイ首相が辞任し、最大野党である社会労働党のペドロ・サンチェス書記長(党首)が新首相に就任した。
 ただ、なにしろ過半数に達していない少数与党による政権であるだけに今後も不安定な状態が続きそうだが、この左派政党は国民党以上に親EU、親ユーロ的であるだけに、それほど大きな波乱要因にはなり得ないものだ。欧州不安に市場の関心が向いている状況では“バラマキ的”な財政政策が不安視されても、市場心理が落ち着けばそれほど大きな関心を集めなくなるだろう。


イタリアやスペイン不安は本来的に大きな問題になり得ない

 イタリアに関していえば、五つ星も同盟もともに以前にはEUやユーロ圏にとどまり続けることに懐疑的な姿勢を見せていたが、今ではそうした姿勢を後退させており、特に五つ星のルイジ・ディマイオ党首はそれを明確に否定している。この政党はそのポピュリズム的な性格から一般民衆から高い支持率を得ているが、世論調査の結果に見られるように、多くのイタリア国民はEUやユーロ圏からの離脱に反対しているなかで、ポピュリズム政党がそうした世論に反する政策姿勢を推進できるはずがないからだ。
 さらにいえば、同盟のマッテオ・サルビーニ書記長はロシアのウラジーミル・プーチン大統領の“崇拝者”として知られており、五つ星には親イスラエル右派が支援しているようだ。米国のドナルド・トランプ政権で主導権を握っている勢力につらなるこの系列は、明日以降、述べるようにしばらくは信用不安が強まって株価が急落したり、ドル高が進むことを望んでいない。このため、いたずらに政局不安を煽って金融市場の動揺を長引かせようとすることをするはずがないといえる。


今回の欧州不安の黒幕

 そもそも、今回の欧州不安をテーマに信用不安を引き起こそうとしていたのは、一昨年の米大統領選挙でヒラリー・クリントン元国務長官を強力に支援し、欧州ロスチャイルド財閥とも密接なつながりのある“コスモポリタン”的な世界単一政府系の大投機家ジョージ・ソロス氏だったようだ。実際、この人物は欧州不安が極限に達した29日に、イタリア国債市況の暴落から欧州系を中心とする金融機関の資産内容が悪化しつつあった際に、「再び大きな金融危機に向かっている」などと脅していたものだ。
 先週末1日にドイツ銀行の格下げを発表したS&Pグローバル・レーティングの前身のスタンダード&プアーズは、まさについ最近まで「世界皇帝」として君臨したデイヴィッド・ロックフェラー直系とでもいうべき格付け会社である。


まだ波乱含みだが主導権はあくまでもナチズム系

 とはいえ、米大統領選挙でこうした系列が推していたクリントン元国務長官は、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官に代表される親イスラエル右派的でナチズム的な「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げているトランプ現大統領に敗れている。そのトランプ大統領も「ロシアゲート」問題を引き起こされているように、従来の支配勢力だった親イスラエル左派系の世界単一政府系からの抵抗が後を絶たず、今回のソロス氏の金融攻撃もその一環にほかならない。
 とはいえ、まだ不安定な状態にありながらもあくまでも主導権は親イスラエル右派系が握っており、金融攻撃が成功しそうもないことは当然の帰結だといえる。それは最近、ホワイトハウスの“イエスマン”であるジェローム・パウエル議長に率いられた米連邦準備理事会(FRB)の政策姿勢が、最近1~2カ月で急激にハト派的に変わったことに端的に表れていると言えよう。
 ただその本質を理解する前に、最近のFRBの姿勢がいかに米国経済の経済実態と乖離するようになったかを見るために、毎月恒例のことではあるが、先週末1日に発表された雇用統計の内容を簡単に検証しておく。


 明日は先週末に発表された米雇用統計がかなり良好な内容になりましたが、簡単にその分析をします。
 明後日からの2日間では、最近、FRBの政策姿勢が政策金利の天井が議論されるなど、1~2カ月前に比べるとハト派的になっていますが、その背景について、特に中国を中心に北朝鮮問題も含めて、米国の対外政策の観点から考察します。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。