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トランプ政権の指示通りに動く安倍首相とその報酬

ポイント
・日米首脳会談での共同記者会見では、安倍首相が日朝首脳会談の開催に意欲を示して国交正常化にも言及し、豊かな天然資源に恵まれている北朝鮮への経済進出にも期待を表明したが、それこそ右翼的なアジア共同体志向の勢力を背景とする首相の本音が出た可能性も。
・安倍首相は一時期、トランプ大統領の背後勢力の意向に背いたことがあったが、4月の日米首脳会談の際にしっかり指示や説得を受けたことで、その後大統領と同様に表向き北朝鮮に対して強硬姿勢一辺倒になった。
・だとすれば、日朝国交正常化が結ばれて巨額な賠償金を北朝鮮に支払えば、安倍首相は多くの拉致被害者を帰国させたとして歴史に名を残すことになり、また米国からの兵器の購入や北朝鮮への経済進出で利権を握れるために早期に支援をすることを望んでいる公算も。
・米国は北朝鮮との交渉に際しては、平和条約の締結までは協力を仰がなければならないが、基本的には中国を排除しようとしている。それは北朝鮮が本当はこれまで通り核・ミサイルを保有し続けることや、ウラン鉱石の利権を巡り中国を排除しようとしているためだ。
・福島原発の事故やエネルギー価格の低迷で大きな打撃を受けたことで原発事業の主導権が欧州系財閥から米系財閥に移行しているが、その米系財閥でも石油メジャーを握っている本流とは異なる勢力が今では主導権を握っている。



安倍首相の本音が出た共同記者会見

 先週の日米首脳会談での会見ほど、安倍晋三首相の“本音”が出たものはなかったといえるだろう。北朝鮮に対して非核化が実現するまでは制裁を継続することは確認したが、安倍首相自身も日朝首脳会談の開催に意欲を示し、日朝国交正常化にも言及した。しかも、北朝鮮は本来的に豊富な天然資源に恵まれており、核放棄をしっかり実行して対外的な姿勢を改めるのであれば、日本としても経済支援に向けた協力を惜しまないことを力説した――すなわち、米国とともに日本も産業界が積極的に進出していくことに名乗りを上げたということだ。
 本来的に安倍首相の背後の右翼的な宗教勢力は戦前の「大東亜共栄圏」の系譜を引いているだけに、アジア共同体的な経済発展志向が強い。今回の安倍首相の発言は、まさにそうした自身の出身勢力の意向がようやく前面に出てきたということができるだろう。


トランプ大統領の指示で安倍首相が強硬姿勢一辺倒に

 年明け以降、金正恩(キム・ジョンウン)委員長の姿勢が急激に軟化し、南北間だけでなく米国との間でも首脳会談の実施を呼びかけると、ドナルド・トランプ大統領が少し以前に北朝鮮への軍事攻撃を決断したハーバート・マクマスター大統領補佐官(当時)の反対を押し切ってそれに応じたことで、一気に融和ムードが高まった。それを受けて、それまで強硬路線を主張していた日本が孤立してしまい、拉致問題も置き去りにされて国内で反発が強まるのを恐れて、安倍首相も金委員長との首脳会談の実施を模索した。この時にはトランプ大統領の背後に控えているヘンリー・キッシンジャー元国務長官が怒ったとされ、実際に森友問題で財務省理財局による文書改ざん問題が表面化し、また自衛隊でも南スーダンでの活動記録である日報が相次いで発見されるなど、安倍首相はかなり追い詰められたものだ。
 その後、4月17~18日に日米首脳会談が行われた際には、特に1日目にはゴルフをプレーしながら2人きりで長時間にわたり話し合った際に、トランプ大統領から説得され指示を受けたようだ。それ以降、トランプ大統領が表面的にはジョン・ボルトン大統領補佐官の姿勢を受け入れて「リビア方式」での「完全かつ検証可能で不可逆的な核放棄(CVID)」を主張しているのに迎合し、安倍首相も強硬姿勢で一辺倒になったものだ。
 それが今回の日米首脳会談で日朝首脳会談の開催や、将来的には日朝国交正常化にまで言及し、それに対してトランプ大統領が明確に指示を表明したのは、米朝首脳会談の開催を前にして当初のシナリオ通りの動きになってきたのだろう。


安倍首相は早く北朝鮮に経済支援をすることを望んでいる?

 安倍首相は日本の行政機関の最高権力者として、また右寄りのタカ派的な政治家としての建前から、表向き拉致問題の解決を重視する姿勢を見せている。しかし上記のように考えると、安倍首相はその本音ではこの問題をさっさと解決して、北朝鮮への賠償金の支払いや経済支援を実施する段階になることを望んでいるかもしれない。
 おそらく、安倍首相はじめ日本側ではそれは「経済進出」であり、賠償金の支払いは「借款」といった程度で捉えられるのだろう。それによりトランプ大統領がノーベル平和賞を受賞する一方で、安倍首相も巨額の支払いを余儀なくされながらも多くの拉致被害者を日本に連れ返したとして歴史に名を残すことになる。
 またそれだけでなく、安倍首相はこれから駐留米軍が撤退していくことで防衛族の政治家が利権を失っていく一方で、米国から兵器や防衛装備品等を積極的に購入していくことでその利権を握っていくことになる。さらにそれ以外にも、北朝鮮に経済進出していけば、それにより米国から“お裾分け”をしてもらうことで、ウラン鉱石その他の天然資源の利権も握ることができるわけだ。


米国による中国排除の背後にはウラン鉱石を巡る利権も

 ところで、米国は北朝鮮問題を扱うにあたり、平和条約の締結を実現するにあたってはその協力を仰がなければならないものの、基本的には中国を排除しようとしている。
 それは一つには、これから中国を相手に「新冷戦」体制に持ち込むにあたり、表向き北朝鮮に核放棄をさせておいて実際には保有し続けさせ、また大陸間弾道ミサイル(ICBM)は破壊しても核兵器が搭載可能な中短距離型ミサイルを温存させることで、これまで通り「核の脅威」で威嚇し続けるためだ。
 またそれだけでなく、天然資源の採掘や事業化についても同様であり、特に核兵器や原子力発電の燃料であるウラン鉱石を巡る利権では中国を排除しようとしておかしくない。だからこそトランプ政権の背後勢力は、同様にナチズム系であるロシアのウラジーミル・プーチン大統領と提携しようとしている。実際、16年に大統領選挙が行われていた際にキッシンジャー元国務長官がロシアを訪れてプーチン大統領と会談した際には、ウラン鉱石の利権を巡る話を持ちかけていたとされる。


原発の優位性を巡り従来とは異なる系列の米系財閥が主導権を握る

 米国が世界中の駐留米軍を撤退させようとしているなかで、中東からもそうした動きを後押ししようとしているのは、自国内でシェール産業が活発になっているだけではない。世界最大のウラン鉱石の利権を握ることで原子力産業を興隆させていき、エネルギー面で火力発電から徐々にシフトしていこうとしているため、中東産の原油への依存度が低下しつつあることが指摘できる。
 その背景には、11年3月11日の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故や、その後の原油はじめエネルギー価格の低迷から欧州ロスチャイルド財閥傘下の原発事業が致命的な打撃を受けてしまい、主導権を米ロックフェラー財閥に奪われたことがある。
 ただ同じロックフェラー財閥でも、石油メジャーを握っている勢力とは異なる勢力が今では主導権を握っている。それは世界最大の石油メジャーであるエクソンモービルのオーナーとして、つい最近まで「世界皇帝」として君臨したデイヴィッド・ロックフェラーの神通力が失われて逝去したことでもたらされたものともいえる。エクソンの会長兼最高経営責任者(CEO)だったレックス・ティラーソン国務長官(当時)が穏健外交を繰り広げることで、石油メジャーや軍需産業の利権の維持を図ったことから、トランプ大統領やその背後の勢力の怒りを買ったのにはそうした事情がある。


 週末の明日は、先週末のシャルルボワ・サミットで米国と欧州が主に通種問題で対立を激化させましたが、その背後にどのような事情があるかを、ロシア問題も含めて考えることにします。
 戦後の東西冷戦期や米国の世界覇権の絶頂期での国際情勢の主要な枠組みだったNATOが危機に陥っています。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。