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先週の動き・・・・米中貿易摩擦やドイツの政局不安に揺れ続ける

ポイント
・米中貿易摩擦を巡り米国側が中国企業による米国企業への買収を制限する動きに出た一方で、トランプ大統領が自身の権限に拡大ではなく議会が審議している機関を活用する姿勢を示し、ドイツの政局不安も重なって株価はやや不安定な動きになった。
・外為市場ではドイツの政局不安からユーロ安に振れ、週末にはEU首脳会議で合意を見たことでそうした懸念が払拭されたが、その直後に発表されたコアPCE価格指数がFRBが目標とする2.0%に達したことからドル高にも振れた。


 先週の国際金融市況も米中貿易摩擦への懸念がくすぶって不安定な動きが続いた。
 米国株は週初25日には米財務省が中国資本が25%以上を占める企業に対して産業上、重要な技術を有する米国企業の買収を禁じる規定を策定していると報じられたことでリスク回避が強まり、ダウは前週末比328ドル安に、ナスダックも同160ポイント安と急落した。翌26日には米中貿易摩擦が一服したことからダウが前日比30ドル高とやや反発し、27日も中国企業による対米投資の制限を巡り、ドナルド・トランプ米大統領が自身の権限の拡大に動かず、議会がその権限の拡大に向けて審議している既存の対米外国投資委員会(CFIUS)を活用すると表明したことから当初は一段高になった。しかし、その後米中貿易摩擦が蒸し返され、長期金利が大幅に低下するとともに急反落して結局、ダウは同165ドル安に、ナスダックも同116ポイント安になった。
 28日には当初は前日後半の地合いを引き継いで続落したが、その後米財務省が米国内の銀行に対して実施していた健全性審査(ストレステスト)の結果の公表を控え(公表された内容はドイツ銀行を除くすべての銀行が合格となった)、良好な内容になるとの見方から急反発し、ダウは同98ドル高となった。週末29日には欧州連合(EU)首脳会議で紛糾していた移民・難民問題で合意し、ドイツの政局不安も沈静化に向かったことが好感されて当初は続伸し、ダウは一時同300ドル近く上昇した。しかし、その後週末から利食い売りが出たなか、米連邦準備理事会(FRB)が物価目標の指標に採用しているコア個人消費支出(PCE)デフレーターの前年同月比の伸びが2.0%の目標値に到達したことから、米利上げ観測が強まったこともあって上昇幅を縮小し、同55ドル高にとどまった。

 日本株も米中貿易摩擦への懸念から週半ばにかけてやや不安定な動きになった。
 週初25日は米国による中国資本に対する投資規制の動きからリスク回避が強まって円高とともに軟調な展開になり、日経平均は前週末比178円安になった。26日も当初は続落したが、その後米中貿易摩擦が一服したことで買い戻しが進み、前日比で小幅高に転じた。27日は移民・難民問題を背景とするドイツの政局不安が波及して同70円安になり、その後米国株も急落したが、翌28日にはそれも落ち着いて小動きになった。週末29日は下げ続けていた中国株(上海総合指数)がようやく反発したことから底堅く推移し、同34円高になった。

 外国為替市場ではドイツの政局不安からユーロ安に振れた。
 ドル・円相場は週初25日には米国が中国資本に対する投資規制の動きに出たことからリスク回避による円高圧力が強まり、ロンドン市場で1ドル=109円40銭割れに軟化した。ただ、翌26日には米中貿易摩擦がひとまず一服したことから戻り歩調となり、ニューヨーク市場で110円台を回復した。さらに27日には、中国企業による対米投資の制限を巡ってトランプ米大統領が議会の権限を尊重する姿勢を示したことからリスク選好ムードになり、28日もそうした状況が続いた。さらに週末29日も米国でPCE価格指数の発表を受けてFRBによる利上げ加速観測が強まったことから、ニューヨーク市場で111円近い水準にまで上昇した。

 ユーロ・ドル相場は週初25日には米国による中国企業の投資制限の動きからドル安圧力が強まり、ニューヨーク市場では1ユーロ=1.171ドル台まで上昇したが、翌26日には欧州中央銀行(ECB)のブノワ・クーレ専務理事やアイルランド中央銀行のフリップ・レーン総裁がハト派的な発言をしたことで反落した。さらに27日には28~29日のEU首脳会議を控えて移民・難民問題からドイツの政局不安が意識されて一段安になり、28日にはリスク選好によるドル高圧力も重なってニューヨーク市場では1.153ドル割れまで下落した。ただ、週末29日にはEU首脳会議で移民・難民問題で合意を見たことや、それに伴ってドイツでアンゲラ・メルケル政権も続投していくことが確実になったことから上伸し、ニューヨーク市場で1.1690ドルに達した。


 今週は、明日は今後の見通しのポイントから、最近、人民元相場や中国株が下げていたことも含めて簡単に採り上げたいと思います。
 明後日からの2日間では、ドイツの政局不安や移民・難民問題で揺れた先週末のEU首脳会議について、背後の米国による策謀もまじえて考察します。
 週末には、米中首脳会談が終わってもなかなか核放棄の手順の決定に向けて両国間で実務者協議が行われないなか、北朝鮮がウラン濃縮の生産を続けていることが報じられるなどやや不穏な状況になりつつある背景について考えます。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。