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実態よりかなり悪化しており正念場の中国経済

ポイント
・火星が逆行期に入ったことから、米中貿易紛争については6日に実際に米国から340億ドル相当分の関税が発動されると危機が遠のく一方で、北朝鮮問題については米朝首脳会談まで順調に推移してきたので、これから緊張が再燃するかもしれない。
・中国経済は固定資産投資が落ち込み、個人消費もここにきて鈍化してきていることからGDP統計よりかなり悪化した状態にあることがうかがわれるが、米国との貿易摩擦で輸出が打撃を受ければ失速してしまい、バブル崩壊に拍車がかかる恐れがある。
・FRBの利上げ継続姿勢もあって人民元相場に下げ圧力が強まっており、今のところ人民銀行はそれを放置しているが、それは輸出下支えのためというよりは市場に足元を見られないためと思われる。


火星が逆行期入りでこれまでと変わるもの

 依然として米中貿易紛争がくすぶっている一方で、欧州での移民・難民問題やそれに伴うドイツの政局不安については、根本的な問題が解決されたわけではないとはいえ、欧州首脳会議(EU)首脳会議で一応の合意を見たことでとりあえず沈静化した。その一方で、6月12日に良好な雰囲気で米朝首脳会談が開催されるなど順調に進んでいたかに見えた北朝鮮の核問題については、依然として実務者間の協議が開始されていない。しかも、足元では米中央情報局(CIA)が北朝鮮は核実験やミサイル発射は停止しているものの、核兵器用の濃縮ウランの生産を続けていることを明らかにするなど、ここにきてやや不穏な空気も流れている。
 アストロロジーの観点でいえば、6月27日に火星が逆行期に入り、それが8月27日まで続くことが注目される。通常、逆行期に入るまでにリスクが高まっていると、その期間に入るとそれがひとまず沈静化して楽観的なムードが強まるのに対し、楽観的な状況で逆行期に入るとリスクが高まる傾向があるとされている。
 だとすれば、これから6日に米国側が中国からの輸入に340億ドル分の追加関税が発動されるのを機にひとまず米中貿易紛争が落ち着く一方で、北朝鮮問題が再燃していくのかもしれない。


中国経済の実態はGDP統計を大きく下回っている

 これまで当欄で指摘してきたように、米国と中国の間での“チキンレース”では、長引けば長引くほど明らかに中国側が不利である。実際、中国経済の動向を見るうえで、国内総生産(GDP)統計が著しく正確性を欠いている“インチキ統計”であることが知られているが、固定資産投資がかなり落ち込んでいるなかで、最近では社会消費品小売総額も低調になるなど個人消費も鈍化しており、中国経済の実態はかなり悪化していることがうかがわれる。
 直近1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比6.8%と前記と同じ水準を維持したが、各種の指標がかなり低迷してきていることを考えると、実際には5%程度まで落ち込んでいるのではないか。そこに貿易摩擦から米国向け輸出が打撃を受ければ経済活動が失速してしまい、バブル崩壊に拍車がかかる恐れが高まりかねない。実際、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速観測が高まっていることで中国株が軟弱な動きを続けており、人民元相場も下げ圧力が高まっているところにそれが見て取れる。中国としては、米国と“ガチンコ”で張り合うことができる状況ではないはずだ。


人民銀行が元安を放置しているのは足元を見られないため

 なお、人民元相場が下落していることについて、本来的に中国人民銀行が強力に介入してその動きを管理しているなかでそれが下がっているのは、輸出下支えのためにそれを容認しているからといった見方が出ているが、あまり妥当な解釈とはいえないだろう。一歩間違えると資本流出に拍車がかかってしまい、下げ圧力に歯止めがかからなくなることになりかねないからだ。また貿易摩擦で圧力を強めるドナルド・トランプ米政権に対し、通貨安誘導(本当は本末転倒な解釈のはずだが)により輸出を後押ししているといった批判を受けかねないことも指摘できる。
 それよりは以前、資本流出に見舞われた際に人民銀行が必死に元買い介入を繰り広げたことで市場に“足元を見られた”だけに、今回は慌てて動かずに平然としていることで市場に弱みを見せないようにしているのではないか。
 いずれにせよ、米軍がエネルギー供給網を遮断するといったことをしなくても、FRBの金融政策姿勢により、また市場で展開の主導権を握る米系投機筋がそれと一体的に動くことで、経済基盤そのものが崩壊しかねないほど中国経済は脆弱なのである。基軸通貨国の中央銀行の政策姿勢は、通常の新興国はもとより、世界第2位のGDPの規模を誇る(中国のGDP統計が巨大なインチキ統計であるなかで、裏事情通の間ではそれに疑問を呈する向きが少なくないが)大国ですらその例外ではないのである。


 明日はドイツでメルケル政権崩壊の危険性が出ていることもあり、欧州での移民・難民問題への対処がテーマになった先週末のEU首脳会議について考えてみます。
 週末の2日間では、米国と北朝鮮との間で核放棄の手順を決めるための実務者協議が開かれていない背景について考察します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。