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グローバリズム的な点で共通するコスモポリタン系とナチズム系

ポイント
・FRBのタカ派路線による“中国叩き”の動きは、以前にはG30を配下に収めているコスモポリタン系主導で行われたが、今回はナチズム系主導で推進されている。
・ただし、ホワイトハウスの意向を受けてタカ派路線を推進しているパウエルFRB議長の路線は、オルタナ右翼系から影響を受けているトランプ大統領の言動とは明らかに異なるものだ。
・かつて流行した「新世界秩序」という言葉を創始したのがヒトラーであり、それを操っていた勢力であるナチズム系が米国に持ち込んだように、この系列もコスモポリタン系と同様に本来的にはグローバリズム系である。



米国の世界管理・統治運営に貢献する人材を育成し送り込む

 これまで、米連邦準備理事会(FRB)のタカ派的な路線による“中国叩き”の動きは、親イスラエル左派的なコスモポリタン系の勢力が主導権を握り続けていたなかで起こったものだが、今回は右派的なナチズム系に主導権が代わったなかで生じていることが注目される。
 そもそも、これまで当欄で指摘しているように、世界中の主要国・地域の中央銀行の金融政策を実質的に一元的に統轄・管理してきたのはグループ・オブ・サーティ(G30)だったが、そこで主導権を握っているのがロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の人脈である。英国のその経済大学にこれまで、米国の世界統治システムの運営に貢献する人材を育成することを目的に巨額の運営資金を寄付してきたのが米ロックフェラー財団だった。
 すなわち、世界の主要国の金融政策はこれまで、コスモポリタン的な世界単一政府志向である社会主義・共産主義者であり、米国の世界覇権の絶頂期に「世界皇帝」として君臨してきたデイヴィッド・ロックフェラーの意向に沿って、その“金融子分”たちが運営してきたわけだ。実際、ベン・バーナンキ元FRB議長はそのリフレ派的な性格から利用されただけだったが、その要職に就く以前にはイスラエル中央銀行総裁だったスタンレー・フィッシャー前副議長は、まさにそのG30の最高幹部の一員としてFRBに送り込まれていた。


トランプ大統領の言動と明らかに異なるFRBの路線

 今回、ホワイトハウスの意向を受けてジェローム・パウエルFRB議長が推進しているタカ派的な路線は、まさにかつて、フィッシャー前副議長が米国による一極繁栄構造の再現を目的に、特に中国を標的に「新興国生殺し」路線を追求したものと変わらないものだ。ドナルド・トランプ大統領自身やそこに強い影響を及ぼしているスティーブン・バノン前首席戦略官・上級顧問は、依然として米国の製造業に有利に作用するドル安が進むことを望んでいるのかもしれないが、それとパウエル議長率いる現在のFRB執行部が推進している路線は明らかに異なるものだ。


ナチズム系はグローバリズム的な点ではコスモポリタン系と不変

 左派的なコスモポリタン系がどうして特に中国を標的に新興国窮乏化的な米国一極繁栄路線を推進したかというと、米国の世界覇権構造の巻き返しを図ろうとしていたからだ。そもそもドル高政策自体が、米国の世界覇権システムで特徴的な多国籍企業主導によるグローバル生産体制を維持するために導入されたものだ。
 この経済システムでは米国は「世界の一大需要基地」として世界各地での分業体制により生産された製品を輸入し続けるにあたり、貿易・経常赤字の増大とともに海外に流出していくドル資金を証券投資の形で米金融市場に還流させていくにあたり、それを円滑に推進するにはドル高路線が好ましいものだった。95年に当時のロバート・ルービン財務長官が「ドル高は米国の国益」を標榜してこの政策が推進されて以来、少なくともデイヴィッド・ロックフェラーの意向が働いているまではこの政策が歴代の米政権の基本的な通貨政策だった。
 現在、米国ではそれに代わって右派的なナチズム系が主導権を握っているが、にもかかわらずその意向を受けて現在のFRBも当時と同じような政策を推進している背景としてまず指摘すべきことは、ナチズム系は表面的には国家主義的・民族主義的な性格が強いものの、本質的にはその裏側ではグローバリズム的な性格が強いという点では、左派的なコスモポリタン系と変わらないことだ。
 トランプ政権を構成している人脈でいえば、バノン前首席戦略官・上級顧問のように白人至上主義的で排外主義的な志向が強い「オルタナ右翼」と、ナチズム系の最大の大物であるヘンリー・キッシンジャー元国務長官とでは、その“肌合い”がまるで異なるのである。キッシンジャー元長官はじめナチズム系からすれば、オルタナ右翼の勢力は単に利用しているだけに過ぎず、“用済み”になれば切り捨てるだけである。


「新世界秩序」とはヒトラーが創始したナチズム系の用語

 89年11月にベルリンの壁が崩壊して91年1月にソ連邦が解体したことで東西冷戦が終わって間もなく、ジョージ・H・ブッシュ(父)政権でブレント・スコウクロフト大統領補佐官(当時)が「新世界秩序(ニュー・ワールド・オーダー)」という概念を提唱したが、この人物はキッシンジャー元国務長官の直系の子分である。
 その次のビル・クリントン政権になると、ジョージ・W・ブッシュ(子)政権を経てバラク・オバマ前政権までは、世界最大の石油メジャーであるエクソン(後にモービルと合併してエクソンモービル)の系列であるデイヴィッド・ロックフェラーの人脈が強くなるが、当時はまだもう一つの米系石油メジャーであるシェブロン(以前のソーカル、後にテキサコと合併)の系列であるネルソン・ロックフェラー元副大統領の人脈が根強い影響力を行使しており、その人脈が現在のトランプ政権で復活してきたといえる。例えば、中国を相手に貿易戦争で激烈に闘い、“最前線の司令官”の役割を担っているロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は以前、ロナルド・レーガン政権で活躍した人材だ。
 話を元に戻すと、この「新政界秩序」という言葉は、本当はナチズムの“総本山”であるドイツのアドルフ・ヒトラーが最初に標榜したのであり、この人物を操っていたのがネルソン・ロックフェラーの後見人のような存在だったジョン・フォスター・ダレス(後に国務長官)だった。米国に最初にその概念を持ち込んだのもネルソン・ロックフェラー副大統領(当時)であり、社会主義的なコスモポリタン系の性格が損なわれることを恐れたデイヴィッド・ロックフェラーの系列がそれを危険視して、ドナルド・ラムズフェルド大統領首席補佐官(当時、後に国防長官)に暗殺させたといった話まであるほどだ。
 いずれにせよ、コスモポリタン系が米国による世界一極覇権を前提に世界情勢を運営していたのに対し、ナチズム系は表面的に国家間で対立する概念を形成して運営していく傾向にあるが、本質的にグローバリズム的な性格自体は共通している。


 明日はこの続きとして、ナチズム系とコスモポリタン系が共闘路線をとることになった背景について考えることにします。
 週末の明後日には、中国で習近平がミニ・クーデターで特に経済政策面での実権を奪われてしまいましたが、その本質について検証します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。