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強気シグナルが出てまだかなり上値余地がある日米の株価

ポイント
・東京市場が休場だった17日まで中国株主導で新興国通貨不安が強い状態が続き、米国の対中国制裁関税の第3弾の関税引き上げ幅が小さかったことを好感して一転してリスク選好が強まるあたり、展開の主導権を握る米系投機筋のシナリオ通りの動きだったようだ。
・日経平均がそれまでの2万3,000円前後の強力な上値抵抗を完全に超えて上昇していき、ダウも主要3指標の中で唯一、史上最高値を超えていなかったダウが越えてきたので、日米の株価にともに強力な強気サインが出ている。
・米国が日本に自動車関税の25%引き上げをちらつかせて貿易摩擦で圧力を強めてくれば、大企業にベースアップの大幅な引き上げを促すことで内需が浮揚していき、中長期的には株価には強気要因といえるものだ。


米系投機筋はシナリオ通りに動いていた?

 国際金融市場では、東京市場が休場だった先週初17日までは米中貿易戦争への懸念から中国株主導でリスク回避が強い状態が続いていたが、ドナルド・トランプ米政権が中国に対する第3弾の制裁関税の導入を発表すると一転してリスク選好が強まった。
 中国及び新興国通貨不安の後退の要因として、関税の引き上げ幅が一気に25%に達するとの見方が一部で出ていたのが、当初は10%にとどまったことがその要因とされている。しかし、それよりは最初から展開の主導権を握っている米系投機筋が米国の制裁関税の発動前に新興国通貨や株式を売り込んでおいて、発表と同時に買い戻しや途転買いしていくシナリオで動いていたのだろう。
 米政府が第3弾の制裁関税の発動を発表すると、すかさず中国政府も600億ドル相当分の報復措置の導入を発表するなど両大国間の貿易摩擦が収束する気配がないのだが、市場ではそうしたことはそれほど材料視しなかったようだ。


日米株価にはかなりの強気のシグナルが出ている

 既に日本株は先々週13日にトルコ中央銀行が大幅な利上げに動く直前から先行して上昇を開始しており、週末14日時点では日経平均がそれまで強力な上値抵抗だった2万3,000円前後の水準に達していた。3連休を明けた18日にはそこで上値を抑えられることなく一気に高寄りして水準を引き上げていき、その後も連日、上昇し続けたことから、完全にそれまでの保合いを上放れている。
 また米国株も、S&Pやナスダックが既に史上最高値を更新していたのに対し、ダウは1月26日の2万6,616ドルの最高値をなかなか超えられなかったのが、先週20日にこれを超えて翌21日も続伸している。いわゆる「異市場間ダイバージェンシー」に陥ることが懸念されていたのが今回、これが否定されたことで、今後もしばらく上昇傾向を継続する公算が高まっている。

 今週は25日に日米貿易協議(FFR)が行われ、その結果を踏まえたうえで26日に日米首脳会談が開催される。貿易協議での米国側の出方次第では日本株には悲観的な要因になりかねず、それにより外為市場でも円高が進みかねない。また25~26日には米連邦公開市場委員会(FOMC)も開催され、利上げの決定が既定路線になっているなかでジェローム・パウエル連邦準備理事会(FRB)議長の会見の内容や、各委員による政策金利の見通しの分布状況(ドットチャート)の行方が注目要因になる。
 そうしたなかで、これまでの株高の進行によりそれらがある程度はハト派的な内容になることを織り込んでいる可能性があり、それが出尽くすとひとまず調整局面を迎えておかしくない。とはいえ、テクニカル的には日米の株価はともに強烈な強気サインが出ているだけに、下押してもまた買われていくのではないか――いわゆる相場格言で「初押しは買い」と言われる通りだ。


対日貿易摩擦は中長期的に強気要因

 そもそも、米国からの対日貿易赤字の縮小圧力が強まることは短期的には日本株には弱材料だが、中長期的には日本経済の構造改革が進むことで強気要因になり得るものだ。米国からの外圧により大企業が従業員に対するベースアップを引き上げたり、例えば最近の話題としては自動車保有税の引き下げが実現するなど、世界でも群を抜く貯蓄残高を誇りながら停滞している内需が浮揚していくきっかけをつかむ可能性が出てくるからだ。
 以前、当欄で指摘したように、ヘゲモニー・サイクルの下降局面の前半期におけるコンドラチェフ・サイクルの上昇局面においては、保護貿易主義こそが経済成長を促進させる重要な政策手段なのである。
 いうまでもなく、共産党による独裁国家である中国と、米国やそれから独立していく属国群との連合体との「新冷戦」構造による大規模な軍需の創出や、中国で習近平国家主席が掲げている「一帯一路」構想が軌道に乗るなどして、ユーラシア大陸からアフリカにかけての未開の地域が開拓されていくことも、世界経済成長に寄与して日本経済にも好影響を与えていくのだろう。


4、8年サイクルからは今回は強気サインが出て当然

 日経平均は4年サイクルとそれを二つ内包した8年サイクルがあることがテクニカル・アナリストから指摘されている。前回の4年及び8年サイクルが底入れしたのが、英国での欧州連合(EU)離脱の是非を巡る国民投票(ブレグジット)の翌日である16年6月24日の1万4,864円だった。そこを起点として次のサイクルが始まったが、8年サイクルの前半期の4年サイクルでは強気型のライト・トランスレーションになる傾向があるため、今回、株価に強気のシグナルが出たのは当然であるとの印象を受けている。
 しかも、筆者は足元の8年サイクルも強気型になり、現在の4年サイクルが天井を打っても次の4年サイクルの天井値はそれを上回ると見ているので、まだかなり上昇余地があると予想している――おそらく、東京オリンピックが開催される翌21年頃まで8年サイクルは天井を打たないのではないか。


 明日からの2日間では、先週20日に行われた自民党総裁選での結果を踏まえて、石破元幹事長が当初の予想より善戦した背景について考察します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。