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先週の動き・・・・米長期金利の急上昇から半ば以降リスク回避に

ポイント
・週前半には米国とカナダとの交渉が予想外に妥結したことでリスク選好が強まり株価が上昇したが、半ばにかなり良好な米景気指標が発表されたのを機に米長期金利が急上昇していったことから、リスク回避が強まりアジア株主導で軟弱な動きになった。
・外為市場では週前半にはリスク選好からドル高圧力が強まり、週半ばに米長期金利が急上昇していくとさらにそうした傾向が強まったが、それによりリスク回避が強まって株価が軟弱な動きになると、特に対ユーロで円高圧力が強まっていった。


 先週の国際金融市況は前半にリスク選好が優勢だったものの、後半になると米長期金利が上昇してリスク回避が強まった。

 米国株は週初1日には米国とカナダとの通商交渉が予想外に期限とされた30日までに合意に達し、メキシコと加えて「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の発足が宣言されたことが好感されて買い上げられ、ダウは前週末比192ドル高になった。翌2日もその余波が続いたことから続伸し、前日比122ドル高となって前々週21日の史上最高値を更新した。さらに3日には、イタリアの財政不安の後退から欧州株が急反発したのに追随して大幅に続伸して寄り付いたが、オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)社の雇用統計や米供給管理協会(ISM)非製造業景況指数が極めて良好な内容だったことから米長期金利が急上昇したことで上昇幅を急速に縮小し、同54ドル高にとどまった。
 4日になると長期金利の上昇がアジア株の急落(中国市場は休場)をもたらしたことで世界的に信用収縮圧力が強まって同200ドル安になり、それ以前から地合いが悪化していたナスダックは同145ポイント安と急落した。週末5日も米雇用統計の発表を受けて非農業部門の雇用者数(NFP)が事前予想を下回ったことで米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が後退したことから当初は強含んだが、その後失業率の低下に注目が集まったことで軟弱な地合いに戻り、ダウは同180ドル安に、ナスダックも同91ポイント安になった。

 日本株も週前半に堅調に推移したが、後半になると軟調な動きになった。
 週初1日は前週末にかけて中国株が急反発したことや、それもあって円安に振れたことから上昇し、日経平均は前週末比125円高になってバブル崩壊後の最高値を更新した。翌2日も米国とカナダとの交渉が合意したことで海外株が上昇したことから底堅く推移したが、米系投機筋が利食い売りに動いたことから上昇幅を縮小し、前日比24円高にとどまった。3日になると中国市場が休場だったなか、他のアジア株が崩れたことから円高に振れるとともに反落していき、同159円安になった。4日には前日の米国株が長期金利の上昇を受けて上昇幅をかなり縮小した流れを受けて、円安に振れたものの他のアジア株とともに続落して同135円安に、さらに週末5日はリスク回避による円高も加わって同191円安と一段安になった。

 外国為替市場では週前半にはリスク選好が強まり、また週半ばには米長期金利の上昇からドル高に振れたものの、後半になるとリスク回避による円高圧力が強まった。

 ドル・円相場は週初1日には予想外に米国とカナダとの交渉が合意したことでリスク選好から円安圧力が強まり、ロンドン市場で1ドル=114円台に達した。その後、2日にはイタリアの財政不安によるユーロ安圧力から対円でもドル安に振れたことでいったん113円50銭台に下押したが、3日のニューヨーク市場ではADP雇用統計やISM非製造業景況指数の発表を受けてドル高圧力が強まり、翌4日の東京市場の序盤では114円55銭まで上昇した。しかし、すぐに米長期金利が勢いよく上昇したなかで、アジア株が急落したことからリスク回避による円高圧力が強まっていき、ニューヨーク市場では113円60銭台まで下落した。週末5日のニューヨーク市場では米雇用統計の発表で失業率の低下から再びいったん114円台に乗せたが、すぐにリスク回避から株安とともに円高圧力が再燃し、113円50銭台まで下げた。

 ユーロ・ドル相場は週初1日には1ユーロ=1.16ドル台前半で始まった後、米国とカナダが通商交渉で合意したことによるドル高圧力から1.15ドル台半ば付近まで下落した。さらに2日もイタリアの財政問題で、連立与党「同盟」の幹部のクラウディオ・ボルギ下院予算委員長が「自国の通貨があればほとんどの問題を解決できる」と述べたことからユーロ安圧力が強まり、翌3日の東京市場では1.150ドル台に続落した。その後、イタリア政府が19年予算について対国内総生産(GDP)比2.4%の赤字としていたのを、その比率を引き下げる意向を示したことから欧州株高とともにいったん1.16ドル近い水準に戻したが、4日には米長期金利の上昇によるドル高圧力から再び1.146ドル台に下落した。週末5日のロンドン市場では英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)問題で、EU側が踏み込んだ自由貿易協定案を提示するとの報道からポンド高につれてユーロ高圧力が強まり、1.150ドルに再び戻していった。


 今週は、明日は先週末に発表された米雇用統計の内容を簡単に検証しておきます。
 明後日は米長期金利が急上昇している背景として、先週のFOMCでタカ派的な金融政策姿勢が打ち出されたのを介して、その背後の米権力者層の意向による策動的な動きに焦点を当てて見ていきます。
 週末の2日間では、そうしたFRBのタカ派的な姿勢や米長期金利上昇の背後でのオール・アメリカン体制による水面下での中国への総攻撃の動きを見ていきます。
 今週もよろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。