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注目される双方の勢力につらなるペンス副大統領の来日

ポイント
・米国での主導権をめぐりナチズム系とコスモポリタン系の政策姿勢が中国総攻撃で一致したなかで、トランプ政権と議会共和党主流派とのパイプ役を期待されてその地位に就いたペンス副大統領の存在感が地味ながらも高まっている。
・ペンス副大統領は本来的に自由貿易論者でTPPへの米国の参加を主張していた経緯があり、日本の大企業との関係も深いため、トランプ大統領は副大統領の訪日以前に安倍首相が訪米する日程を意識して貿易摩擦で日本にも圧力を強める姿勢を打ち出した。



地味なペンス副大統領の影響力が高まる

 ナチズム系とコスモポリタン系の政策姿勢が中国への攻撃で一致しているのは、ドナルド・トランプ大統領と議会共和党主流派の中国に対する姿勢が共通するようになったことに端的に見て取れる。そこでは、トランプ大統領とは異なりその地味な性格からあまり表に出てこないものの、マイク・ペンス副大統領の存在感が高まっていることが注目される。
 ペンス副大統領はカトリック教徒でありながらキリスト教原理主義(エバンジェリカル)としてナチズム系とつながりがある一方で、自由貿易の推進論者としてコスモポリタン的な共和党主流派とも良好な関係にある。そこでヘンリー・キッシンジャー元国務長官をはじめとするナチズム系の権力者層が、その“窓口”の役割を担っている大統領の娘婿で、イスラエルの政権与党リクードともつながりのあるユダヤ教右派的なジャレッド・クシュナー上級顧問を介して、トランプ大統領に副大統領に据えさせたのである。


ナチズム系とコスモポリタン系の双方につながりのあるペンス副大統領

 そのペンス副大統領が11月17~18日にパプアニューギニアで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や、それに先立ってシンガポールで行われる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席し、それに合わせて日本も訪問することになった。これは、トランプ大統領がその保護主義的な性格から国際会議に出席すると孤立することを嫌っていることがあり、実際に昨年のその時期に開催されたそれらの会議では、大統領は日本や韓国、中国を訪れた後で出席したが、途中で嫌気がさして安倍晋三首相に一任してさっさと帰国してしまったものだ――11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)の締結をまとめ上げたこともあり、おかげで米国の影響力の後退とともに安倍首相の東南アジア地域でのその拡大を強めることになったが。
 ただペンス副大統領が来日する際には、当然のことながら年明けから始まるとされている日米物品貿易協定(TAG)を控えて麻生太郎副首相兼財務相との間で日米経済対話を開くだけでなく、北朝鮮問題や中国問題も焦点にならざるを得ない。そこでは、その背後の権力者層がナチズム系に偏在しているトランプ大統領より、コスモポリタン系も含めて双方につながりのあるペンス副大統領の方が、より実務的な話し合いができるのである。


ペンス副大統領の訪日以前に対日貿易摩擦を強めたトランプ大統領

 ただし、このペンス副大統領は本来的に自由貿易論者であり、TPPにも米国が参加することに賛成していた経緯がある。インディアナ州知事時代には日本企業の誘致を積極的に進めていた親日家――より正確に言えば親日本大企業家であり、特にトヨタ自動車との関係が深い。そこでトランプ大統領としては、ペンス副大統領が11月中旬頃に訪日する以前の9月下旬に国連の総会の開催を機に安倍首相が訪米して日米首脳会談が開催される日程を踏まえて、それに先立つ6、7日に日本に対しても貿易摩擦を強める姿勢を打ち出したのは、ペンス副大統領が訪日することを意識してのものだったのだろう。
 これまで当欄で述べてきたように、トランプ大統領は日本に対しても自動車業界に厳格な対米輸出自主規制を受け入れさせることで、対米従属的な政治家や官僚、財界、報道機関に取り囲まれているなかで、内需を浮揚させるべく構造改革の推進に向けて安倍首相の背中を押そうとしている。そこでトヨタ自動車とつながりの深いペンス副大統領が訪日して貿易問題で話し合う前に、日米首脳会談で輸出自主規制を事実上、既定路線化させたのである。


 週末の明日もこの続きを掲載します。
 明日は米中間で「新冷戦」構造に向かっている流れのなかで、米国がWTO体制を瓦解させて中国を排除した新国際通商体制の構築に向かおうとしていることを見ていきます。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。