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中国を排除した新国際通商協定の締結に向かう

ポイント
・トランプ政権の対外政策の本質を理解している向きからは長期的に製造業が中国で育つことを意図しているといった指摘が出ているが、中国の技術力はあくまでも盗み取ったものに過ぎず、底辺の裾野の部分を考えるとその見解はストレートには受け入れにくい。
・中国は財務基盤が脆弱な途上国に融資する「債務の罠」に陥らせようとしているとされているが、実際にはそれをやらせているのは習近平国家主席につらなる米系財閥直系の投資会社であり、そのうえで米権力者層は意図的に中国を“悪者”に仕立てている。
・米国はかつて、第二次大戦が終わり新国際通商体制としてガット体制を構築するにあたり、そこには自由主義的、資本主義的国家群に限定し、国有大企業をメーンプレーヤーとする計画経済体制下のソ連やその衛星国の加盟を認めなかった。
・米国はNAFTA再交渉を締結するにあたり、体制が異なる国とFTAを結べば他の加盟国がそれを破棄できる条項を盛り込み、日本やEUにもそれを求めていく姿勢を示しており、中国を追放した新たな国際通商体制を構築していく流れが見えてきた。


やはり中国は技術強要を塞がれると経済発展ができなくなる

 米国は中国に貿易戦争を仕掛けて長期化も辞さない姿勢で臨んでおり、持久戦の様相を呈しているが、状況は明らかに中国側が不利である。ドナルド・トランプ政権のこうした対外政策の数少ない本質を理解している向きからは、トランプ政権はあえて貿易戦争を仕掛けることで、長期的に中国で製造業が育つことでより覇権国化の道を進むことを支援していると唱えているが、筆者はこうした見解を“ストレート”に受け入れるのは慎重にならざるを得ない。
 なぜなら、中国の産業は少なくとも以前に比べると高度化してはいるが、その基本となるものはあくまでも外資から“盗み取り”した“コピー技術”に過ぎず、自力で技術革新をしていくだけの能力があるとは思えないからだ。通信分野で次世代型の「5G」では米国より先行しており、宇宙開発まで手掛けようとしているなどと言っても、所詮、基礎的な技術分野についてはその程度に過ぎないのであり、これは日本人の高度な技術を会得している“技術屋”の人たちが一様に指摘していることだ。かといって、政治的に思想や学問、宗教の自由がなく、社会土壌的にも儒教道徳が染みついているところに、米国が得意とするようなクリエイティブ性が必要とされるソフト産業も興隆し得ない。
 そのため、中国があくまでも技術強要が禁止されたうえでさらに経済発展していくには、単に外資に一定部分の資本金の受け入れを認めたり合弁企業を設立するのではなく、経営権や所有権をも完全に譲渡していき、さらに国家(共産党)による干渉もまったく受けないようにすることで、外資が本当の意味でそこに安心して技術を導入できる環境にする以外にないのである。


中国を蚕食しながら悪者に仕立てようとしている米系財閥

 これまで当欄で指摘しているように、米国はそれにより米系資本が中国を蚕食していき、習近平国家主席が提唱している「一帯一路」構想に乗って、これまで米国があまり進出していけなかったようなユーラシア大陸から中東を経てアフリカにまで進出していこうとしている。
 そうしたなかで、中国は財政基盤が脆弱な途上国に意図的に融資して「債務の罠」に陥らせ、返済に行き詰まると融資したインフラ物件の使用権を取り上げているとして非難されている。ただし、こうした相手を“借金漬け”にして思い通りに操るのは、本来的に昔からユダヤ金融商人が得意としていたものであり、本当は習近平主席とつながりが深い米ロックフェラー財閥直系のユダヤ系投資銀行家が暗躍して推進しているものだ。
 すなわち、米国は裏側で習近平主席を操って途上国を“債務奴隷化”していきながら、表向きにはそうしたことを喧伝して中国を“悪者”に仕立てることで、駐留している米軍が撤退していくことで独立させていく属国群と連携して「新冷戦」構造に持ち込ませようとしているのである。それで世界経済が浮揚していき、私たちにも恩恵が及ぶのであれば歓迎すべきことなのかもしれないが、それでも私たちはその裏側の“カラクリ”をしっかり認識すべきである。


自由主義国家群と個別に通商協定を結んで体制の異なる国々を排除

 かつて、第二次世界大戦が終わりソ連を相手に冷戦時代に向かうなかで、米国は貿易体制を構築するにあたりその参加国を自らの理念と同じ自由主義的、資本主義的な国々に限定し、国家が計画・管理し支援している国有企業が主なプレイヤーであるソ連を中心とする計画経済体制の国々の参加を認めなかった。そこで個別に自由主義国家の国々と貿易協定を結び、それを重層的に拡大させることで最終的に成立したのが「関税と貿易に関する一般協定(GATT=ガット)」体制である。
 その後、冷戦が終わって90年代になり、米国が世界で唯一の超大国になるとともにその世界覇権が絶頂期を迎えたなかで、多国籍企業がグローバル規模で生産拠点を築いていったり、また市場を開拓するうえで、中国はじめ旧共産圏諸国や途上国をも国際通商体制に引き入れる目的で構築されたのが世界貿易機関(WTO)体制である。
 しかし、覇権の斜陽期に転じた今、米国としては「世界の一大需要基地」としての役割を一身に背負って経常赤字を“垂れ流していく”システムを維持できなくなった。そこで個別に二国間で貿易協定を結びながらそれを重層的に拡大していくことで、政治・経済体制が異なり、同じ土俵で競争できない国々をそこから追放しようとしている。


中国とFTAを結べばFTA協定の破棄の条項が盛り込まれる

 先日の5日に、ウィルバー・ロス商務長官がメキシコやカナダと北米自由貿易協定(NAFTA)を見直すにあたり、加盟国が政治・経済体制が異なる国と自由貿易協定(FTA)を結べば、他の加盟国がそれを破棄することができる条項を盛り込んだことを明らかにした。
 そのうえで、日本や欧州連合(EU)との交渉でもこうしたことを盛り込むことを求めていく方針であることを強調した。いうまでもなくこれは中国を念頭に置いたものであり、日本やドイツを中心とする欧州諸国が中国と経済協定を結んだり、安易に同国に経済進出できないようにすることを意味する。それによりかつてのガット体制と同様に、最終的に中国やその衛星国を排除したうえで新国際通商体制が構築されていく方向性が見えてきたと言える。
 日本では多くの有識者が戦後70年以上にわたる属国統治を受けて米国の世界覇権への従順な協力者になるべく洗脳されているなかで、筆者はかなり以前からそうしたことを指摘してきたが、いよいよその実現性が現実味を帯びてきたということだ。時代の趨勢は確実に「新冷戦」体制の構築に向かっている。


 今週はこれで終わりになります。
 来週もこれまで同様に、週明け15日の月曜日から掲載していくのでよろしくお願いします。
 なにかありましたら書き込んでいただければ幸いです。出来る限り、ご返信させていただきたいと思います。
 また、懇親会のような少人数形式でもかまいませんので、筆者から直接、お話をお聞きしたいようであれば、お申し付けいただければ対応させていただきます。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。