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米国の世界覇権とリセッション及び戦争の到来の必然性

ポイント
・現在の米国経済の高成長はもとより景気が底堅かったところにさらに人為的に浮揚させてもたらされているためにリセッションの到来を早めた可能性があり、20年の大統領選挙を控えてイラン攻撃が現実味を帯びる公算も。
・米国で10年に一度のペースでリセッションや戦争が起こったのは、その世界覇権をもたらしている最強の軍隊を維持するために必要なものだった。トランプ政権は覇権を後退させていこうとしているが、その支持基盤を考えるとイラン攻撃が視野に入ることも。


リセッション到来でイラン攻撃が現実味を帯びる

 気になるのは、株価は実体経済の有力な先行指標であるだけに、米国株がこのまま下げていくと米国経済が景気後退(リセッション)に陥る可能性を高めることだ。目先的には11月6日の中間選挙を控えて米連邦準備理事会(FRB)の政策姿勢がハト派的になったり、中国に対する通商面での強硬姿勢が和らぐ可能性がある。しかし、なにしろ根本的に中国を総攻撃する目的で動いているだけに、選挙が終わると再びタカ派的な強硬姿勢に回帰しておかしくなく、リセッションの到来がもたらされかねなくなる。
 もとより米国経済は以前から底堅く推移していたなかで、昨年末に大規模減税政策が決まったことで今年に入ってから一段と成長率が高まっているが、人為的に押し上げられたことで景気の波動が「山」を迎えて後退局面に転じるのを早める恐れがある。そうなると、20年の大統領選挙を控えているなかで、ドナルド・トランプ政権としては不都合な状況になってしまう。
 そこで抜本的な景気対策の発動が必要になるが、その最も強力な手段が戦争を引き起こすことだとすれば、そこでイスラエルの安全保障を目的にサウジアラビアはじめ親米的なスンニ派の諸国を“けしかけて”、イランへの軍事攻撃が現実味を帯びるのかもしれない。


10年に一度のリセッションと戦争到来の必然性

 もとより米国経済は10年に一度、西暦の一桁が「0」から「2」の年にリセッションに陥ることで、10年周期にそれが訪れる周期性があった。19年から20年にかけて本当にリセッションに陥ると、一桁が上記の年ではないとはいえ、現在の景気拡大がリーマン・ショックによる巨大な金融危機の到来から経済活動が激しく落ち込んだのを経て、09年7月から始まっているので、おおむね10年間でピークを打つことになる。期間としてはあり得ると言えなくもないところだ。

 そこで注目されるのが、これまではリセッションに陥ると決まってその直後に米軍が直接的に介入する戦争が引き起こされ、それが起爆剤となってそこにFRBの超金融緩和策も加わることで景気回復傾向に転じることが多かったことだ。
 実際、90年8月2日のイラク軍によるクウェート侵攻を経て、91年1月には湾岸戦争が起こった。また01年9月11日には同時多発テロ事件が起こって10月にアフガニスタン戦争に、さらに03年3月にはイラク戦争に突き進んでいき、それとともに米国経済も回復傾向に転じていったのを見れば分かることだ。
 リーマン・ショックにより景気が激しく落ち込んだ際には、金融機関への資本注入をはじめとする金融危機対応や大型の景気対策の発動から財政赤字が飛躍的に膨れ上がったなかで、危機を脱するとバラク・オバマ政権(当時)がその圧縮を優先して米軍の再編成を推進していったなかで、戦争を引き起こして軍事介入する余裕がなかった。しかし、現在のトランプ政権はその背後に親イスラエル右派的な勢力が控えており、キリスト教福音派から熱烈に支持を受けているだけに、そうした経済状態になるとイラン攻撃が視野に入っておかしくない。


米国の覇権の後退を目論むナチズム系も戦争の到来は必要に

 米国が10年に一度のペースでリセッションに陥り、その対策を目的に戦争が引き起こされてきたのは、その世界覇権を維持するうえで密接な関係がある。それを維持するには世界最強の軍隊を維持し続けなければならないが、そのためには戦争を引き起こすことで財政資金を手当てして軍需産業を潤わせ、古い兵器を使用して処分することで新しいものに切り替えていく必要があるからだ。
 もっとも、現在のトランプ政権で主導権を握っている親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の勢力は、それまで握っていた軍産複合体に代表される親イスラエル左派的でリベラル的、社会主義的な世界単一政府志向のコスモポリタン系とは異なり、世界各地に駐留している米軍を徐々に撤退させてその覇権を後退させようとしている。それでも、ナチズム系は属国群を次々に独立させていき、それらの国々にこれまで以上に多くの兵器を輸出していくことで貿易赤字を減らしていこうとしている。
 中国を相手に「新冷戦」構造に持ち込むのは、かつてのソ連を相手とした旧冷戦時代と同様にあくまでも大局的、長期的な性格のものであり、短期的に景気浮揚を目的にするなら中東で戦争を引き起こすことが最適なのである。


 今週はこれで終わりです。
 来週も週明け22日の月曜日から掲載していくのでよろしくお願いします。
 なにかありましたら書き込みその他、よろしくお願いします。
 また、筆者から直接お話をお聞きしたいようでしたら、小規模の講演会でもお引き受けいたしますので、ご連絡いただければと思います。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。