FC2ブログ

記事一覧

中国のハイテク企業に圧力を強めるオール・アメリカン体制

ポイント
・米国で軍事的に利用されるのを警戒して中国の通信機器メーカーに圧力を強めているなかで、中国を撃滅させようとしているコスモポリタン系の勢力はもとより、ナチズム系も中国を相手に「新冷戦」構造に持ち込もうとしているのでそれに同調して当然だ。
・かつて、ソ連に対しては軍事技術への転用を防ぐために輸出を対象にココム規制を敷いたが、現在の中国は経済力や技術力が格段に強くなっているため、中国からの直接投資を事実上、禁止したり、通信機器メーカーに直接制裁を科せるようにしたのはそのためだ。
・米国は安全保障の観点から中国の通信機器メーカー2社を含む5社に対して警戒を強めており、軍事技術の盗用を防ぐためにその製品や部品の米公的機関への納入を、さらには5社と取引している他の民間企業からの納入も禁止されることになる。
・日本ではソフトバンクがファーウェイの基地局をかなり利用しており、また会員制の顧客に同社製のスマホやタブレットの貸与もしているため、米国の方針に難色を示しておかしくなく、4時間半も通信が止まったのは米CIAのサイバー攻撃の可能性を考えるべき。


安全保障面で中国に圧力を強めて当然

 中国に国有企業改革に取り組ませようとしていることは、華為技術(ファーウェイ)の幹部が逮捕されたことについてもいえることだ。
 以前、制裁の標的にされた中興通訊(ZTE)も含めて、米政府がそうした中国の通信機器メーカーに圧力を強め、同盟国にもそうしたメーカーの製品を使わないように要請しているのは、第5世代移動通信(5G)関連の技術力に優れているとされており、それが軍事的に利用されると米軍優位の国際軍事情勢を根底から覆しかねないからだとされている。実際、今回逮捕されたファーウェイの幹部の父親の創業者の会長は人民解放軍出身である。
 そうしたなかで、米国の世界覇権の維持を目指している親イスラエル左派的で米国の世界覇権の維持を目指しているコスモポリタン系の勢力は中国を撃滅しようとしているため、安全保障面で関連する分野で中国に圧力を強めて当然である。また親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の勢力も、世界的に駐留している米軍を徐々に撤退させて属国群を独立させていき、そのうえでそれら属国群に軍事力を強化させたうえで連携して中国と軍拡競争を繰り広げようとしているため、コスモポリタン系に同調して中国に圧力を強めておかしくない。


中国に対してはかつてのソ連より規制や排除の動きを強める必要がある

 実際、ソ連と敵対していた旧冷戦時代でも、軍事技術の転用を防ぐために「対共産圏輸出統制委員会(ココム)規制」を発足させたのと同じようなものだ。
 ただし、当時のソ連はそれほど技術力や経済力がなかったことから西側先進国からの輸出だけを統制していれば良かったが、現在の中国はそれに比べると技術力や経済力が格段に強化されているため、それを規制したり排除する動きもそれだけ強いものにならざるを得ない。海外からの直接投資をめぐり、対米外国投資委員会(CFIUS=シフィウス)による権限を強化して安全保障に関わる分野ではその承認を取り消すことができるようにして事実上、中国からの投資を締め出すことになったのも、ZTEやファーウェイに対して直接的に制裁を科すことができるようになったのもそのためだ。


中国の通信機器5社と関係している企業も米公的機関から排除へ

 米国はこれら2社に加えて、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、海能達通信(ハイテラ)の5社を安全保障上のリスクがあると見て警戒を強めてきた。いずれも習近平国家主席が掲げている「中国製造2025」の」中核企業であり、米国側はこれらの企業の通信機器を経由して中国側が軍事情報を盗み出していると見ているとされる。
 オール・アメリカン体制で政府と議会が一丸となって中国に圧力を強める姿勢を強化しているなかで、今年8月に「19年度米国防権限法(NDAA2019)」が成立したことで、第一弾として19年8月13日以降、政府機関や米軍にこれら5社の製品やその部品を組み込んだものを調達することが禁じられる。さらに第2弾として20年8月13日以降には、5社の製品を社内で利用しているだけで、その民間企業は米政府機関や米軍と取引がいっさい出来なくなる。
 なにしろ、例えばファーウェイは通信基地局のシェアではスウェーデンのエリクソンやフィンランドのノキアを抜いて世界首位のシェアを誇っており、スマートフォン(スマホ)の出荷台数でも米アップルを抜いて第2位に躍進しているだけに、その影響はかなり甚大なものがあるはずだ。日本では特にソフトバンクが基地局にエリクソンとともにファーウェイを採用しており、また顧客にも同社製のスマホやタブレットを大規模に貸与しているだけに、米政府のこうした政策姿勢を受けてこれからどのような対策を打ち出すのかが注目されるところだ。


ソフトバンクの通信障害の背景に米CIAの攻撃による可能性も

 そうした意味では、6日にソフトバンクで4時間半にもわたり通信障害が起こった背景に、そうしたことが大いに関係していることが疑われるところだ。
 その事故の原因についてはエリクソン社が納入したデータ通信用交換機の不具合によるものとされているが、米中央情報局(CIA)によるサイバー攻撃の可能性を考えないわけにいかないだろう。ソフトバンクとしては今さら通信基地局を変更するのは困難であり、また顧客に貸し出しているスマホやタブレットを他社製に交換しようとしても容易なことではなく、コストも相当な規模に達することもが想像に難くないからだ。米当局者に対してそれに異議を申し立てるなどしてその意向に容易に従わない姿勢を示したことで、その報復措置を受けておかしくない。
 年明けから始まる物品貿易協定(TAG=タグ)の交渉ではもはや自動車の大規模な輸出自主規制を受け入れざるを得ない(ただし、安倍晋三首相は財界の勢力を抑え込むために内心ではそれを望んでいるようだが)状況になっているなかで、トヨタ自動車はそれを受け入れているものの、日産自動車と関係している仏ルノーが、エマニュエル・マクロン政権の意向もあってそれに難色を示したことが、カルロス・ゴーン前会長の逮捕につながった一因であるのと同じようなものだ。


 週末の明日もこの続きを掲載します。
 明日は長期的な観点から見た日本の経済界に及ぼす影響について考察します。
 よろしくお願いします。
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

17894176

Author:17894176
永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。