FC2ブログ

記事一覧

中国が米国に屈服し朝鮮半島問題が動き出す

ポイント
・米中貿易戦争では米国側は対中貿易赤字の縮小以上に「中国製造2025」や知的財産権、国有企業への補助金支給といった構造問題を要求していたが、それを取り締まるには中国の国家主権を侵すことになるので実現困難である。
・とはいえ、トランプ政権で主導権を握っているナチズム系の権力者層としてはこれ以上、中国を攻撃して“殺す”わけにいかないので、協議で決まる貿易及び構造改革の進展状況を定期的に確認し、違反していれば再び制裁関税を課す方向で落ち着くと予想される。
・2月末に開催されることが決まった2回目の米朝首脳会談では、昨年6月の首脳会談と同様に先に“会談ありき”の“見切り発車”と見る向きが多いようだが、実際には水面下で既に具体的な交渉が進んでいると見るべきだ。
・1回目の米朝首脳会談が行われた後、両国で核放棄や制裁の解除に向けて実務者間で協議が停滞した背景には中国が朝鮮半島北部の利権の獲得を主張したこともあったと思われ、貿易戦争で屈服してそれを放棄したことで2回目の会談が実現することになったのだろう。
・2回目の会談ではトランプ大統領が段階的な非核化で制裁の解除に動く可能性がある。中短距離ミサイルが残ることで中国はこれまで通り核ミサイルの照準にされ続け、日本ではその脅威が高まることで改憲や防衛力のさらなる増強に抜けた世論工作が意図されている。


米国が本当に求めていた中国の構造改革は実現困難

 話を米中貿易戦争に戻すことにする。
 米国が中国側に求めていたのは大規模な輸入の増大もさることながら、それ以上に本当に要求していたのはハイテク強国化政策「中国製造2025」の見直しや外資系企業に対する技術移転の強要の禁止、知的財産権の侵害に対する取り締まりの強化、国有企業への補助金支給の禁止といったものだ。中国側は「中国製造2025」において中国企業が独占するのではなく、そこに外資系企業の参入も認めることや、知財保護の問題についても司法機関にそれを専門的に扱う部署を新設する措置を打ち出す意向を見せている。
 とはいえ、なにしろ中国は“人治の国”であるだけに、制度的にそれを決めても実効性が伴わないと意味がない。そこで米国側は中国で米系企業が被害を受けた場合の司法管轄権を握ったり、それが治外法権だとして無理な要求であるのなら、次善の策として中国側が協定をしっかり守らなかった場合の罰則規定を設けることを求めているようだ。しかし、いずれも国家主権にかかわることであるだけに実現困難である。


米国は制裁関税の再導入をちらつかせて脅し続けることに

 とはいえ、中国を撃滅しようとしている親イスラエル左派的でリベラル的な世界単一政府志向のコスモポリタン系なら別だが、親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の権力者層としてはこれ以上、中国を攻撃して経済状態を一段と悪化させるわけにもいかない。
 おそらく、足元ではスティーブン・ムニューシン財務長官が中国に対する制裁関税の一部またはすべての解除を求めたのに対し、ロバート・ライトハイザー米通種代表部(USTR)代表が反対した際に提唱した路線で落ち着くのではないか。すなわち、米国は通商合意の条件として、中国が約束した貿易及び構造改革の進展状況を定期的に確認する提案をしており、中国側が合意に違反したと米国側が認定すれば再び制裁関税の導入に踏み切るというものだ。
 米国としては今すぐ中国に対して構造改革を実現させることができなくても、連邦準備理事会(FRB)の金融政策も含めていつでも中国経済を悪化させる手段を握っており、その発動をちらつかせて脅し続けることが出来る。その一方で以前、当欄で指摘したように、世界貿易機関(WTO)がしっかり機能していないことを白日の下にさらすことで、そこからの脱退と新国際通商協定の締結に向けた名分を得ることが出来るわけだ。


今回も先に“会談ありき”で見切り発車の憶測が支配的

 また、米中間の問題を考えるうえでは米朝間の問題とも密接に絡んでいるだけに、ここにきてその方面で具体的な動きが出てきたことにも注目すべきである。北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長が訪米して18日にマイク・ポンペオ国務長官と協議したうえでドナルド・トランプ大統領と会談し、ホワイトハウスが正式に2月末に米朝首脳会談が行われることを発表した。
 昨年6月12日に行われた1回目の首脳会談では先に“会談ありき”で、具体的な非核化措置や制裁の解除についてはその後の実務者間の協議に回した結果、表面的には両者で対立が深まって凍結状態になった。その後、少なくとも表面的には米朝間でそうした懸案の事項について協議が進んでいた形跡がなく、米政府は日本政府とともに非核化が実現するまでは制裁の履行をはじめ強硬路線を維持する姿勢を崩していない。
 そのため、今回も再び首脳会談を行っても、特に核放棄に向けた具体的なシナリオはまだなく、“見切り発車”ではないかとの憶測が支配的なようだ。トランプ大統領は政府機関の閉鎖が続いていることで米国内で批判を浴びており、そうした“内憂”を抱えているなかで外交に活路を見いだして失地回復を図ろうとしているというものだ。


2回目の会談では既に水面下で具体的な交渉が進んでいると見るべき

 ただ常識的に考えて、1回目の首脳会談なら首脳相互の信頼を築くことを名分にできるので、非核化に向けて実務者間で具体的な工程表の作成に向けて話が進展していなくても良かったが、2回目の会談を実現させるうえで水面下でまったく交渉が進展していないと考えるのは非現実的であり、既にそれなりの話が具体化していると見るべきだろう。
 そもそも、米中貿易問題や北朝鮮問題では昨年12月1日に米中首脳会談が行われる2週間ほど前に、ナチズム系の最大の大物クラスであるヘンリー・キッシンジャー元国務長官が“老体に鞭打って”訪中し、習近平国家主席に重要な指示を出している。その直後の米中首脳会談も、その会談で交渉していくことが決まった実務者間での貿易協議にしても、さらには2回目の米朝首脳会談の開催にしても、既にその頃には大まかな枠組みについては決まっており、その後の推移はそのシナリオに沿って進んでいると見るべきだろう。


中国が貿易問題で屈服し朝鮮半島北部の利権を放棄か?

 昨年6月に米朝首脳会談が行われたものの、その後両国間で核放棄に向けた動きが中断したのは日本人拉致問題による面もあるが、核放棄後の朝鮮半島北部での経済復興をめぐり、中国側としっかり調整がついていなかったのもその一因なのではないか。ナチズム系の権力者層はウラン鉱石をはじめとするその地域での資源開発をめぐり、基本的には日本の安倍晋三首相やロシアのウラジーミル・プーチン大統領を引き入れる一方で中国を排除しようとしており、それに中国側が反発しておかしくないからだ。
 だとすれば、おそらくその後、中国側は米国側から貿易戦争を仕掛けられて経済状態が極度に悪化したことで屈服してしまい、その地域の豊富な地下資源の利権を放棄したのだろう。それにより2回目の米朝首脳会談が開催できる条件が整ったと考えれば得心がいくというものだ。


トランプ大統領が段階的な非核化で合意する可能性も

 2回目の米朝首脳会談の開催が決まるにあたりもう一つ指摘すべきことは、これまでのところトランプ政権は日本の安倍政権とともに北朝鮮に対して強硬姿勢を続けていたが、今回の首脳会談では段階的な非核化で制裁の解除に動くことを決める可能性があることだ。それは表面的にはトランプ政権の大幅な譲歩と受け止められるかもしれないが、実はそうではなく、ナチズム系の権力者層の路線に沿った動きである。米政府は今回は米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の解体で合意しても、中短距離ミサイルについてはそのまま放置される可能性があるが、実はそれこそがナチズム系の権力者層の狙いなのである。
 もとより北朝鮮のミサイルは日本の米軍基地を狙っているのではなく、中国の人民解放軍の基地や西方の内陸部のミサイルや核兵器の格納庫を照準にしているが、その中国はこれまで通り北朝鮮の核ミサイルで狙われ続けることになる。
 それ以上に重要なことは、表面的な非核化の動きが軌道に乗ることで在韓米軍の撤退も視野に入るなかで、日本では北朝鮮の核兵器に対する脅威が高まることが予想されることだ。国内世論がそうした脅威に反応すればするほど防衛力の増強に、そして憲法改正に向けた勢力を後押しすることになる。ナチズム系の権力者層や安倍首相は“内心”ではそれを目論んでいるのであり、だからこそ足元では、北朝鮮と“前のめり”で接近しようとしている文在寅(ムン・ジェイン)政権下の韓国と意図的に関係が悪くなるように策動しているわけだ。


 今週はこれで終わりです。
 来週もこれまで通り、週明け28日の月曜日から掲載していくのでよろしくお願いします。
 なにかありましたら書き込んでいただければ幸いです。
 筆者から直接お話をお聞きしたいようであれば、少人数での懇親会形式での講演もお引き受けいたしますのでご連絡いただければと思います。
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

17894176

Author:17894176
永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。