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FOMC議事要旨で注目されるもの

ポイント
・株価は米中貿易協議の合意期待から反発してきたが期待先行の感が強く、3月1日の期限を控えて、非常事態宣言を出したことでトランプ大統領と民主党との対立が深まり、連邦政府の債務上限引き上げが容易に決まりそうもなく、今春頃に本格調整も。
・議事要旨が発表される以前には、その内容がハト派的なものになるとの見方が強かったが、実際には利上げについては年内に停止を続けるべきか再開すべきか「確信が持てない」とされ、それほどハト派的ではなかった。
・その背景には、株価が想定通り反発してきたのを受けて、ここにきてタカ派の間で年内に利上げ再開を求める発言が出ており、複数の中間派からも条件付きでそれを容認する姿勢が示されるなど、FOMC委員の間で利上げ見送り一辺倒ではないことが指摘できる。


期待先行の反動や債務上限引き上げ問題で本格調整も

 先週は前週に引き続いて米首都ワシントンで19~20日に次官級の米中貿易協議が、20日から閣僚級の協議が行われたことが注目され、また27~28日にベトナム・ハノイで開催される米朝首脳会談も迫ってきたことで注目を集めつつある。市場では特に大きな注目要因になっていた米中協議で、3月1日までの期限が延長されることになり、また同月下旬頃をメドに両首脳がトランプ大統領のフロリダ州の別荘で会談する方向になるなど、最終合意に至るとの期待からリスク選好が強まっている。米連邦準備理事会(FRB)が積極的にハト派的な姿勢を打ち出していることも重なり、先進国の株価以上に中国株が大きく反発しているのをはじめ、アジアを中心とする新興国市場に活発に資金回帰現象が進んでいる。
 もっとも、米中協議では構造問題については両国間でまだかなり大きな“ミゾ”が残っており、期待先行の動きに過ぎない。しかも、3月1日には米連邦政府の債務上限の停止措置の期限を迎えるが、メキシコ国境の壁の建設にこだわってドナルド・トランプ大統領が非常事態宣言を打ち出したことで野党民主党が激しく反発しているだけに、上限引き上げが容易に決まりそうもなく、今夏頃には米国債が債務不履行(デフォルト)に陥る懸念が強まる恐れがある。株価は米ダウが昨年12月24日の2万1,792ドルで、日経平均もザラバで26日に1万8,948円で底入れしたとしても、今春頃に本格的な“初押し”場面があっておかしくないだろう。


期待ほどハト派的でなかったFOMC議事要旨の内容

 ただ、米中貿易協議や米朝首脳会談について考察する前に、先週はその3週間前に開催された1月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の内容に注目が集まったので、その件について簡単に見ておく。年初からジェローム・パウエル連邦準備理事会(FRB)議長が積極的にハト派的な発言をしていき、他のFOMC委員も横並びでそれに追随する発言を繰り広げ、1月29~30日の会合では声明文で利上げについては「様子見」との文言が挿入されたことで事実上、一時停止が宣言された流れを受けて、先週20日に公表された議事要旨ではハト派的な内容になるとの見方が一般的になっていた。
 しかし、実際に公表されると、FRBのバランスシートの縮小措置についてはほとんどの委員が年内に停止させることを支持していたものの、利上げについては年内に停止措置を続けることを支持していたのではなく、再開すべきか停止を続けるべきか「確信が持てない」というものだった。市場では、それが公表されるまではドル安気味に振れていたものの、公表されるとそれほどハト派的ではなかったと受け止められたものだ。


すべてのFOMC委員が利上げ見送りを支持していたわけでなかった

 FOMC委員の間では必ずしも年内に利上げ見送りを支持する向きが支配的だったわけではなかったことは、ごく最近のタカ派的な委員の発言内容からもうかがわれるものだ。
 例えば、タカ派の代表格であるクリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁は年明けから概ね1月中はパウエル議長に追随して利上げ見送り姿勢を示していたが、株価が想定通り反発してきたのを受けて、ここにきて「経済が見通し通りなら政策金利をわずかに引き上げる必要がある」として事実上、年内に利上げ再開を求める見解を示している。それを複数の中間派の委員が、米国の実質国内総生産(GDP)成長率が2.5%程度の軌道を維持していれば、利上げ再開を容認する姿勢を見せていた。
 そうしたことを考えれば、議事要旨でほぼすべての委員が年内の利上げ見送りを支持するということはあり得なかったのであり、市場があまりに“前のめり”の認識をしていたと言えるだろう。


 明日もこの続きを掲載します。
 明日は利上げとは異なり、FRBのバランスシートの縮小措置についてはほとんどのFOMC委員が年内に終了させることを支持していましたが、その件について考察します。
 よろしくお願いします。
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プロフィール

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永山卓矢と申します。
有限会社ナリッジ・クリエイション代表です。
現在、マクロ経済の分野でアナリスト業務を中心に活動しています。
フリーの立場で従来のマクロ経済や金融市場分析に限らず、その背後の政治的な権力闘争に至るまで調査活動を行っています。
これまで、月刊誌『商品・証券・金融先物市場』とその後継の『フューチャーズ・マーケット』や投資日報社などの大部分のインタビュー記事の作成をはじめ、他の情報媒体の市況執筆に携わってきました。
また、『「実物経済」の復活』(副島隆彦著 光文社刊)』はじめ、著名評論家の著作本執筆の実質的な共著や補助などの業務に携わってきました。
どうぞ、よろしくお願いいたします。